第二章 交錯 第十話「四人、正式に手を組む」
「らくか」にて、江戸川たちと工藤たちは、それぞれの依頼内容を突き合わせた。
「樋口家の依頼と、大使館関係者の動き……これ、間違いなく同じ線上にある話ですね」工藤が言う。
「俺たちだけじゃ手に負えない案件かもしれません」江戸川も認めた。
安藤と秋月、二人の元刑事が顔を見合わせ、頷き合う。
「よし、じゃあ正式に組もう。情報は全部共有する。それでいいな」
「異存ないですよ、秋月さん」
斎藤が嬉しそうにカメラを回そうとしたが、四人に同時に睨まれて渋々しまった。
太田がカウンターの奥で、四人分のコーヒーを淹れながら微笑む。
「これで、多治見に本格的な凸凹探偵チームが誕生したわけだ」
その様子を眺めていた根古は、湯呑みを置いて立ち上がった。
「若い者たちが頑張るのは結構なことだ。ただし……」
四人が振り返る。根古は戸口で、いつもの穏やかな、しかしどこか意味深な笑みを浮かべた。
「深追いはほどほどにな。この町には、儂らが知らん方がいいことも、案外多いもんだ」
そう言い残し、根古はヤマトを肩に乗せて店を出て行った。残された四人は、しばし顔を見合わせ、それから同時に苦笑した。
「……あの人、絶対何か知ってますよね」工藤が言う。
「知ってて言わないのが、あの人流なんだよ」安藤が答えた。
窓の外、木曽川の方角へ、根古の後ろ姿が夕闇に溶けていった。




