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「記念の日」
数週間後、樋口家の敷地の一角に、ささやかながら風格のある石碑が建てられた。除幕式は、ごく限られた関係者だけが集う、静かなものだった。
一石、コーエン、ダヴィド、そして樋口家の当主とその家族。江戸川、安藤、工藤、秋月の四人。太田も、この日ばかりは店を臨時休業にして駆けつけていた。
そして、根古も、ヤマトを連れて参列していた。
石碑には、杉原千畝の功績と、樋口家との縁を静かに記した銘文が刻まれていた。派手な装飾は一切なく、周囲の風景に溶け込むような、控えめな佇まいだった。
「杉原さんも、こういう静かな形の方が、きっと喜ぶでしょうね」太田が呟いた。
一石が、除幕の紐を当主とともに引きながら、静かに言った。
「これで、我々の先祖が誓った約束は、果たされました。長い時間がかかりましたが……」
当主が、感慨深げに石碑を見つめた。
「先祖も、きっと喜んでいると思います」
西野薫牧師も、この式典に招かれ、静かな祈りを捧げていた。松平秀麿神主もまた、神道の作法に則った清めの儀を執り行い、異なる信仰が、一つの場に静かに寄り添う光景が広がっていた。




