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第一章 予兆 第五話「動き出す影」
第五話「動き出す影」
その夜、位山の祠付近では、一石誠二率いる一団が静かに動いていた。
「情報幹部殿、地元の探偵たちが動き始めています。今日で四人に増えました」
報告したのはジェイコブ・ラファエル。相棒のアンナ・レヴィが双眼鏡を下ろしながら付け加える。
「YouTuberのバイヤーが写真を撮っていました。拡散される前に対応が必要かと」
一石は表情を変えなかった。
「対応というのは、物騒な意味ではない。我々の目的は破壊ではなく確認だ。探偵たちは放っておけばいい」
マーク・コーエンが小さく首を傾げる。
「放っておいて、よろしいのですか」
「むしろ好都合だ」一石は微かに笑みを浮かべた。「彼らが動くことで、我々が表に出ずとも、真相に近づく者が現れるかもしれん。それならそれで、面白い見世物になる」
レイチェル・ミゲルとサロメ・ウリエルは、すでに周辺の警戒配置についていた。ナホム・アリエル、ヨセフ・シャローム、メサイア・ミカルの三人も、無言のまま夜の山道に散っていく。
多治見の町では、四人の探偵と一人の老人、そして一匹の黒猫が知らぬ間に、大きな流れの入り口に立たされていた。




