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「ヘイブンスの独白」
多治見市郊外、目立たない一軒家。ステーブ・ヘイブンス、五十七歳、表向きは「米国人ビジネスコンサルタント」として滞在しているが、その実態はNSAの幹部である。
彼は窓辺で、遠くに見える根古親司の家の方角を、じっと見つめていた。
「……親司、お前がまさか、こんな田舎で静かに暮らしてるとはな」
北村唯が、資料を手に部屋に入ってきた。
「ヘイブンス様、根古親司についての追加調査、いかがいたしましょう」
ヘイブンスはしばらく黙り込んだ後、静かに言った。
「あれは、大学時代の後輩だ。……いや、それだけじゃない。奴は昔、ある『事案』で、俺の命を救ったことがある」
北村と遠藤成気が、思わず顔を見合わせた。
「命を、ですか」遠藤が尋ねる。
ヘイブンスは古い記憶を辿るように、目を細めた。
「詳しくは話せん。だが……奴は、見た目通りの『ただの田舎の年寄り』じゃない。だからこそ、俺は本部に『根古には近づくな』と厳命した」
北村が慎重に尋ねる。
「では、今回の樋口家の件、東京の三人組の件……これらすべてに、根古氏が間接的に関わっているとすれば」
ヘイブンスは静かに頷いた。
「あの町で何かが起きる時、大抵、奴が中心近くにいる。理由は分からん。だが、これは俺の勘だ……そして俺の勘は、外れたことがない」




