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「隣人たち」
江戸川探偵事務所のあるビルの隣、空き部屋だった一室に、いつの間にか新しい入居者が越してきていた。
「安藤さん、見ました? 隣、女性三人組が引っ越してきたみたいですよ」
江戸川が窓から覗きながら言うと、安藤も釣られて視線を向けた。荷物を運び込んでいるのは、いずれも二十代から四十代とおぼしき女性たちだった。
「西野千紗都、古田麻尋、星野由紀子……表札にそう書いてあるな」
「三人で共同生活なんですかね」
安藤の目つきが、探偵の勘というより、元刑事の勘に変わった。
「……荷物の運び方、素人じゃないな。動きに無駄がない」
太田が「らくか」で噂を聞きつけ、渋い顔をした。
「実はね、うちの常連さんから聞いたんだが……あの三人、関東方面で『何か』やってた噂があるらしい。真偽は分からんが」
「何か、って?」江戸川が尋ねる。
太田は声を潜めた。
「……物騒な意味での『仕事』をしてた、って噂だよ」




