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第四章 依頼 第十七話「らくかの午後」
その日の午後、「らくか」には普段にない緊張感が漂っていた。太田は店を臨時休業にし、四人の探偵――江戸川、安藤、工藤、秋月――が奥のテーブルを囲んでいた。斎藤も「今日ばかりは撮影なしで」と念を押されて同席している。
定刻通り、静かに引き戸が開いた。
入ってきたのは、五十代半ばと見える、物腰の穏やかな男だった。一石誠二。後ろには護衛のように、マーク・コーエンとベン・ダヴィドが控えている。
「お時間を頂き、感謝します」
一石は丁寧に頭を下げ、四人の対面に腰を下ろした。太田が茶を出すと、一石は静かに一口含んでから、話を切り出した。
「まず、皆さんにご心配とご不便をおかけしたことを、お詫び申し上げます。位山での件も、樋口家への訪問についても、すべて把握しております」
秋月が鋭く切り込む。
「率直に伺います。あなた方の目的は何ですか」
一石は微かに微笑んだ。
「率直に。良い探偵の姿勢です。では、率直にお話しします」




