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第三章 接近 第十二話「工藤、大使館関係者と接触」
一方、工藤と秋月は、横浜時代の伝手を辿り、イスラエル大使館関係者との接点を探っていた。
可児市内のホテルのラウンジで、工藤は一人の男と向かい合っていた。マーク・コーエン、セファルディ系の随行員だった。
「わざわざお時間を頂き、恐縮です」工藤が丁寧に切り出す。「私は横浜の探偵で、依頼の関係でこちらに」
コーエンは穏やかな笑みを浮かべたまま、答えを濁した。
「我々は単なる文化交流の視察団です。杉原氏の功績を偲ぶための、非公式な訪問でしてね」
「非公式にしては、随分と……その、警戒された動き方をされているように見えますが」
秋月が横から鋭く指摘すると、コーエンの目が一瞬、笑みの奥で光った。
「探偵さんは、観察眼が鋭い。ですが……ご心配には及びません。我々の目的は、あなた方に危害を加えることでは、決してありませんので」
その言葉の裏に、工藤は微かな緊張を感じ取った。(「危害を加える目的ではない」……つまり、何か別の目的が明確にある、ということか)




