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男が最弱な異世界。それでも最強を手に入れる。  作者: CHIKAY
Lv.3 tone~第1ダンジョン~
56/62

第55色 殺意



 俺には、子供の時から弱点がある。

 一撃で倒されるとかの、弱点ではない。

 精神的に追い詰められて、胃がキリキリするヤツだ。ふとした瞬間に色々思いだして、震えてしまう。


 そう…ただの弱み...。


 幼少から、その悩みは付きまとい。

 おばあちゃんの家に越してからも、学校で生活している時でも、俺の心の奥底にトラウマとなり住み着いている。


 今までこの世界に来るまで、彼女はいない。

 姉が失踪する、前から普通の状態でもいなかった。最近の若者は、そういった行動が早いとテレビで言っていたけど...それは、嘘だ。


 ファーストキスは、トーカの一撃...。

 マーカラさんのが、ちゃんとしたファーストキスだ。

 自分で言うのも何だけど、物心着いた時から変態の姉にも、された事がなかった...と思う。


 モテない...。

 多分違う…。出来ないのだ...と思う。

 言い訳と感じてしまうだろうけど...。

 そう思いたい。


 容姿は、そこまで悪くないと思う。

 昔は、チョコなんかも貰えたりした。

 小学校の時だけど…。


 それなら、おママゴトの様に、軽く付き合うとかあるかも...と思いきや...。

 俺の弱点が邪魔をするのだ。


 こと如く。


 そして、今日。


 今までの人生で最大のピンチを今迎えて居た。



 ☆



 「はぁはぁはぁ…はぁ…」


 やばいやばいやばいやばい...。


 無我夢中で、街中を滑走して逃げている。

 何分走っているかは、わからない。

 確かめている余裕なんてない。


 今までで最速。魔力も全力で走っている。

 体感した事のない感覚…。

 これがランナーズハイ?

 ってそんな余裕は、ない。

 頭の中でツッコミを入れる。

 ボケてる余裕なんてない。


 魔導書が、まったく使えない。

 転移か八色雷公を使えたらいいけど...。

 でも遠くに移動してしまうのは、マズイかもしれない...。

 皆に何かあるかもしれない。

 心配だから余り離れる事は、正解じゃないだろう。


 人の波に逆らって見た事もない、入った事のない裏道に入り、適当に道を変え逃走する。


 今俺は…鬼から逃げている。


 そうあれは、鬼。

 まさしく鬼…。


 寮の前で振り返った時に少しだけ見る事が出来た。

 本物は、見た事がないけどわかる。

 黒鬼なんてあれは、鬼すら生温い...。


 絶対に殺られる。


 何でこうなったっ!?

 俺が何した!!?


 振り返って思い出す短い人生…。

 ってまだ死んでたまるか...。


 やばいやばいやばいやばい!!


 思い出が蘇るな...この世界楽しかったな...。

 走馬灯かぁ...これが走馬灯かぁぁって違う違う違うっ!!!


 あっ!この角は、右に曲がったら死ぬな…。

 だから真っ直ぐっ!!!


 逃げ足だけには、自身がある。

 長年磨き続けた、危機管理能力もある意味シックスセンスの域に達したと思う。

 …胃は、いつもキリキリするけど。


 「いつまで逃げてるつもりですか?

 逃げてては、殺せません。

 ...楽には、殺せませんよ...。

 苦しみたいんですか?」


 何か聞こえる...。

 懐かしい声...。

 恐怖の声...。


 ヤバイ...アイツ本気だ。


 ...行き止まり...。

 多分誘導されたな...。


 「やっと、諦めましたか...。

 もういいですか?」


 「いやいや、まだ、やり残した事があるんでね...。久しぶりだね香月...。

 元気にしてたかい?」


 「ええ...本当に久しぶりでしたね...。

 会いたくて会いたくて会いたくて...。

 3日も会わなかったのは、生まれて初めてじゃないでしょうか...。

 日中から気配が途絶えたので、どうしたかと思いました。

 学校にも、家にもいない。GPSも反応しない。

 家の書置きを見て気絶しそうになりました...。

 折角2人だけの世界だと思っていたのに...。

 すぐ匂いを、辿って裏山に登りました」


 ...さすがは、香月。

 追い掛けてくるかもと思ったけど...。

 直ぐ来たのかもしれないな...。


 「洞窟みたいな場所に出てしまったので、お兄様に会うのが、少し遅れてしまいました。

 でもやっとの思いで見付けたら...。

 別の女と...。

 お兄様を殺して、アイツを殺して、関係者を殺して、私も死にます」


 「いや、いや、いや!ダメだよ香月。

 俺の大切な人だから」


『避けて下さい』


 咄嗟の、テオの声に大袈裟に避ける。

 クナイが顔すれすれに飛んでいく。


『マスター危なかったですね。

 ...あの方は、どなたですか?』


『わかってて聞いてるだろ...ヤンデレの妹だよ』


『...ヤンデレ?どんな世界のどんな言葉ですか?病んでる。なら笑えますね』


『いやいや、もう理解した上での100%の答えだよ...。テオ...召喚獣を呼んでくれ』


『目には、目を...。病んには、病んですね』


『うん...ホントにヤバイから本当にお願いね』


『冗談です...マイマスター♡』


 ...本当にこの可愛いテオちゃんのハイスペックは、可愛いくないね...色んな意味で...。


 「香月...危ないだろ。刃物を投げない」


 「お兄様のお言葉は、危険な刃物のより鋭利なお言葉だったので、反射的に投げてしまいました」


 「いや、確実に当たるからね...」


 俺、強くなってる筈だよな...。

 危険度増してないか...。


 ...《分析》が出来ない。

 こんな事は今までなかったよな...。


 多分香月は、かなり強いだろうな...。

 もしかしたら俺よ強いかもしれない。


 「香月...俺好きな人が出来たんだ...」


 「もう分かりました...。死んでいいですよ」

読んで頂いて有難うございます。


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