VS希望龍(前編)③④
ということで、10分かけて決めたクエストはE級討伐クエストの『ゴブリン50匹討伐』だった。二人で倒せばすぐ終わるだろうし、俺たちの実力でも死ぬ心配も少ないからだ。俺たちはテレポートでクエスト場所である【ゴブリンの里】に向かった。
「そういえば、ユイリちゃんって何の武器使ってんの?」
「あ、私は爆弾系統を主に使ってます。最初の初期ステータスのAGlが結構高めだったのでって......全部リルカさんが教えてくれたんですけど......」
あの野郎、俺にも教えろよ。
爆弾系統の武器にも様々な種類がある。消費武器の中でも一番の破壊力を持つ武器だ。しかし、爆発するまでに時間があるため、常に先を読みながらの攻撃が必要となるため、かなり扱いにくい武器だとも言われているらしい。操作型のものから遠投型のもの。設置型のものまで幅広い。状況に応じて使い分けるのが無難だ。
*もちろん、ウィキペディウス参照。
「そっか。俺のステータスおかしくてさー。LUK(運)以外皆無なんだよね」
「へぇ〜凄いですね〜......」
「あ、あれ?驚かないの!?」
「え、あ、いや......まだよく分かってなくて......すみません!!!」
「いやいや、そんな謝ることじゃないから!」
そっか、ユイリちゃんもまだ始めたばかりで分からないことたくさんあるよな。俺みたいにウィキペディウスで調べたりしないし。
「じゃあ、とりあえずさっさと50匹倒しちゃおう!」
「はい!」
すると、ユイリはバックから爆弾を取り出す。なんか似合わない......。ユイリは手に持った爆弾を30メートルほど先にいる、【ゴブリン】に投げつけようとしていた。ここのステージは【ゴブリン】系統のモンスターしかいない。【ゴブリン】の他に、強くなっていくと、【ゴブリンアーチャー】や【ゴブリンウィザード】、そしてボス級になると、ケイトと一緒に倒した【ビックゴブリン】などが現れる。もちろんここで出てくる【ビックゴブリン】はあの時よりも弱めになっている
「えい!!」
ユイリは思い切り振りかぶり、【ゴブリン】に投げつけた......のだが......。ユイリの爆弾は虚しく、自分の足元に思い切りドスッと激突した。
「あ、あわわわわわ!どーしよぉ〜!」
「だ、大丈夫だよ。気を取り直していこ!」
「ち、違うんですよ......。この爆弾、衝撃を受けた5秒後に爆発するんですよ......」
「え、ちょっと待ってよ。それを早く言ってくれえええええ」
俺の体は勝手に動いていた。ユイリを抱えるとすかさず爆弾から離れた。次の瞬間、ユイリの投げた爆弾が爆発して、その爆風でさらに吹っ飛ばされた。
「ぐほっ」
俺は壁に激突しながらも、ユイリちゃんを爆風から守ることができた。
「大丈夫?」
ユイリちゃんは泣いていた。そして、大粒の涙を流しながら俺に謝ってきた。
「ごめんなさいいい!!私のせいで死ぬとこだったよぉ」
「大丈夫だから泣かないでよ。それにゲームだから死なないし。」
その大粒の涙を俺は手で拭ってあげた。
「ほら、泣かないで。気を取り直していこ?」
「は、はいい......」
俺は頭をポンポンッと軽く叩く。そして、思った。こんな妹欲しかったぁ......と。
◆
「泣いてる場合じゃないよ。さっきの爆発で【ゴブリン】が集まってきた」
「ごめんなさい......」
「いや、謝らなくていいから。逆に好都合だよ。俺の破壊光線さえ出れば一発で【ゴブリン】達は灰にすることができる! ......出ればの話だけど......」
「それでお願いがあるんだけど」
「はい!なんでもします!」
「俺の破壊光線が出るのには、その〜......時間がかかるんだ。女の子に言うのもあれなんだけど、出るまで気をそらしててくれないかな?」
「了解です。任せてください。とっておきのスキルがあるんです!」
「とっておきのスキル?」
ユイリちゃんが言うとっておきのスキルというのはとても怖い気がしたが、俺は信じることにした。
「分かった。破壊光線が出る時は巻き込まれる危険性がある。発動する時は言うから気をつけて!」
「はい!」
そうして、ユイリは俺から距離をとっていく。一体なにするんだ?そして、ユイリはこう呟いた。
「挑発!」
挑発とは、相手モンスターを挑発させてその怒りを自分一人に攻撃を集中させるためのスキルだ。盾職が主に使っているが、爆弾職も設置型などを仕掛けて、引っかかせるために用いることがあるらしい。
でも、ユイリちゃん爆弾仕掛けてたっけ?
「ギャッギャーギャッギャー」
【ゴブリン】達は怒りをあらわにしたように棍棒を振り回していた。【ゴブリンアーチャー】は後衛からユイリを狙っているのが分かる。
そして、今だに破壊光線は出ない......。
ユイリちゃんの体から赤いエフェクトがムンムンと出ているのが分かる。しかし、次の瞬間自分の思いもよらない行動をとった。
「アッ、ヤー、サーサー」
手を下から上へ。下から上へ。そうこの踊りは......盆踊......り。え、盆踊り?しかもかなりて慣れている。動きに無駄がない。いきなりの行動に俺は空いた口がふさがらない。【ゴブリン】達はそれを見てさらに「ギャッギャーギャギャギャー!」と怒りをあらわにしていた。てか、効果あんのかよ!
「ちょ、ちょっと......どうした?いきなり盆踊りって」
「いやぁ、盆踊りしたら何か効果があるかもと思いまして。気になさらず続けてください」
そうか、天然なんだ。ど天然娘でしたか!......てか、集中できねぇよ!!
一斉にユイリちゃんに向かって突撃してくる【ゴブリン】ども。突撃してきても、盆踊りをやめないユイリちゃん。
「くっそ、さっさとあの盆踊りやめさせないと!お嫁に行けなくなる」
俺は思わず呟いていた。手に力が入る。さっさと出てこいやああああ!!
「うおおおおお!!!」
銃口から見えるは青いエフェクト。それが段々と膨れ上がるように大きくなっていく。きたああああ!
「ユイリちゃん逃げてえええ」
「は、はい!」
【ゴブリン】達は俺の銃口から見えるエフェクトに気づいたのかこちらに向かってくる。攻撃される前にやってしまおうというこんたんか。【ゴブリン】の動きは速い。
「どりゃあああああ、蹴散らせええええ」
膨れ上がる力を一気に解放した感覚。目の前が青白くなる。二回目の感覚。突撃してきた【ゴブリン】達は、灰と化していた。そして、一直線にのびた破壊光線の後だけが残っていた。
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