第10話 セレネさん前編
さて、こんにゃくを茹でる時間は加速して、水に晒す時間も加速して、と。
次に、茹でる前の皮を取り除いた方の原液を細くして、普通のこんにゃくと同じように、と。よし。
「こんにゃくの準備は完了です。あとはおでんの鍋にぶち込むだけなので!」
「うん?そうなの?何か手伝えることあるかい?」
・・・そうか。
「あ!ありますあります!ぜひお願いしたいことが!」
「なんだい?」
「あの酔っ払いが寝ないように叩き起こして話し相手になってください。こたつで寝ると風邪ひいちゃうんで。」
「・・・りょーかい。」
さて、煮込み具合は・・・うん、大根に味が染みてるし大丈夫かな?煮込み過ぎると形崩れちゃうし一回鍋の時間止めて、と。
「こーあん!これ!」
セレネさんが赤い宝石のような球体を持ってきた。
「・・・いや、あの、せめて食べ物にしてくれません?」
「食べ物だよ!?宝石野菜の一種、紅玉トマト!大変だったんだからね!」
・・・いや、なんだこれ・・・?私知らんぞ・・・?そもそも食えるのか・・・?
「いや、なんですこれ?」
「えぇ!?・・・あれ?もしかしてこーあんに言ってなかったっけ・・・?」
”言ったつもりになっていた”ということか・・・
「知らないので聞いてるんですが。」
「私が貰った加護の一つ、飢える事無しの力で作った作物だよ!こーあんの祖母さんと一緒に作ったんだけど・・・まぁ、山一つ飲まれちゃって野生化して、その、ね?」
うーん・・・結晶化・・・祖母様・・・山一つ・・・野生化・・・
「・・・あぁ!うちの一族の里の近くにある、部分的に結晶化してる魔の森の最深部のあれですか。原因セレネさんだったんですね。」
「・・・わ、わざとじゃないんだよ?ただ、私が触れた食べ物が結晶化して栄養価満点、保存性抜群、味最悪になるから、結晶化したままおいしく品種改良してみよう、って話になっただけで・・・」
え?普通に飯食べてたよな・・・?
「そんな呪いがあったんですか?」
「祝福ね!祝福!今は克服したけどね!」
「なるほど。いや、知るわけないじゃないですか。というか、それ食べても大丈夫なんです?味最悪って・・・」
「いやぁ!それがね?種取り出して植えたら、おいしくなったんだよね!レシピは引き継がれてるって記憶してたんだけど・・・」
そんな得体のしれない物は食べたくないが・・・祖母様のお墨付きなら大丈夫か・・・?
「ま、とりあえず調理してみましょうか。まずは普通のトマトのように炙って皮を弾けさせて剥」
パァァァァン!
「うぉ!?」
「きゃぁ!」
「んあ!?何事かし!?敵襲!?」
「あ!やっと起きた!調理ミスっぽいんで大丈夫ですよ。それよりこーあんがこたつで寝るなと・・・」
「あ、ごめんだし・・・」
いやぁ・・・びっくりしたなぁ・・・
「・・・セレネさん」
「はい。」
「わかってました?」
「い、いいえ。調理したことはなかったから・・・」
「・・・そうですか。なら仕方ないですね。」
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