第1話 ちくわさん前編
さて、あれから4時間、本当におでんなら、そろそろ長く煮る必要がある具を煮始めないとなんだが・・・
「こーあん!持ってきたし!煮て!」
うん?最初はちくわさんか。
「ちくわさん、何を持ってき・・・まぁ、おでんの具としては一般的ですが、今から煮ると形崩れますよ?夕飯18時過ぎる予定ですし。」
「あ、大丈夫だし。鋼鉄魚のすり身から作ったちくわだし!」
「・・・なるほど、4時間も経ってるのにちくわ?と思いましたが、取りに行って自作してたんですね?」
「ちょっと遠くの海系B級ダンジョンの固定BOSSだから、往復1時間、捌くのに1時間、すり身にするのに1時間、焼くのに1時間だし?」
「あー、うん。まぁ、討伐時間ほぼゼロに等しいのはわかりましたが、昼食食べました?」
「あ、忘れてたし。」
「鋼鉄魚、まだ残ってますよね?」
「鱗取り終わった半身と骨、頭が残ってるし!」
「大きいですからね。じゃ、半身の方はいくつか切り身具にするとして、骨と頭は出汁にしちゃいましょうか。あと、軽食に刺身も用意しますので。」
「よろしくだし!でも結構固いけど刺身にできるのかし?それにそもそも火を通さないと固すぎて嚙みきれないと思うし・・・」
「あぁ、大丈夫です。切るのは神器使いますし、火が通る寸前まで加熱して、出すんで。熱くても大丈夫でしょう?」
「・・・大丈夫だけど、それって味わかるのかし?」
「あー・・・少し前に試したので。」
「いつの間に・・・まぁ、お願いするし!」
「はいはーい。」
さて、鋼鉄魚は、鉄の魔力の影響で、鋼鉄より硬い。これを生食できるようにするには、まず、薄く、とても薄く切る。次に、白熱して溶ける寸前まで一気に加熱する。そうすると、とろっとした甘みのある刺身になる。ま、普通に食べる分には長時間加熱し続ければやわらかくなるし、他に知ってる人いないだろうけど。そもそも狩られた個体数もそんなに多くないし、平均ドロップ率は35%という高確率にしても、出回った数が少ないのかな?
「そう言えばちくわさん、何回くらいでドロップしました?」
「ん?あぁ、1回でドロップしたし。私、Luck100だし。」
「あぁ、なるほど。そうだったんすね。さて、骨と頭は鍋に入れましたし、刺身作りますよ~」
「おぉ!待ってたし。どうやって作るのか気になってたし。」
「まず、これを薄く切るのに耐えうる刃物を用意します。出番だ、不壊の剣」
「え?調理に神器使うのかし?」
「下手な刃物使うと刃こぼれしちゃうんで、壊れないこれが都合良いんですよね。他の刃物でも可能だとは思いますよ?」
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