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禁断の剣

アドリアン・ルキア…伝説の聖剣”ブレイヴハート”を持つ勇者、人々の為に戦うという信念を持っている


ロット・ステイメン…主に回復や防御をおこなう僧侶、常に冷静沈着で戦術指示も出すチームの頭脳的な存在


ルース・ライオス…2m近い長身で屈強な戦士、一人で魔獣を倒したこともあり”魔獣殺し”の異名を持つ、兄貴肌な性格でチームの精神的支柱にもなっている


ギャレット・ゼファー…カードキャスターという珍しい職業だが非常に優秀、自分からチームに売り込みに来たが自分の事は話したがらない、いつも冗談を言って場を和ませるチームのムードメーカー


ライドン・ゾフィ…召喚魔術師の名門ライドン家の生き残りで五体ものドラゴンを操る事ができる凄腕、一族の間では”神に愛された至高の召喚魔術師”と言われていた


クルム・フリニオーラ…世界最強の魔法使いと言われたクルム・ハイドニールの弟子で師匠の仇である魔王を憎んでいた、史上最年少で”クルム”の名を継いだ天才魔法使い


木下藤吉郎秀吉…百姓から成り上がった織田信長の部下、のちの”豊臣秀吉”

竹中半兵衛重治…以前稲葉山城をわずかな人数で乗っ取ることに成功した天才軍師

        秀吉の熱烈な勧誘により秀吉配下に加わる

蜂須賀小六…元野盗の首領であり部下共々いくつもの死線をくぐって来た猛者

勇猛果敢ながら頭も切れる

斉藤軍と秀吉軍の戦いは30分程過ぎた頃


ほぼ体勢は決した


不破光治率いる東側の足止めの為の兵達も


数と勢いの差を見せつけられ戦線を維持できなくなり


ついには瓦解した、すると


東側から攻めていた秀吉兵の右翼軍も


斉藤軍本隊に攻撃に加わる事となり


ただでさえ劣勢だった斉藤軍の背後から


猛然と襲い掛かった、斉藤軍は兵が次々と


討ち取られていき、ついには逃げ出し始める


者まで現れ始め崩壊寸前まで追い詰められる


混乱の中、龍興の側近が叫ぶように話しかけた


「殿、もはや全滅は必至の状況です


 投降するか腹を切るか・・・


 いずれにしてもお覚悟のほどを!?」


斉藤龍興の側近である岸信周《きしのぶちか》がそう告げた


「ふざけるな・・・


 誰が織田なぞに屈するか!?


 殺してやる・・・


 あやつら全て皆殺しだ‼」


斉藤龍興は怒りに震えながらそうつぶやく


岸信周もその言葉に大きくうなづいた


「そうですな、最後まで敵と戦い


 華々しく討ち死にもある意味


 武士の誉れでござるな・・・


 わかり申した、どこまでも


 お供仕りますぞ殿‼」


その時、龍興の目が赤く光る、そして


怪しげな黒いオーラが背中から大量に


湧き出る様に発せられた


「おのれ~どいつもこいつも殺してやる


 ワシが全てを殺し尽くしてやるわ‼」


その声に呼応するかのように


龍興から発せられた黒いオーラはどんどん膨らみ


龍興の周りにいた十数名の家臣達を


巻き込むように覆うと


その家臣達の様子がガラリと変わった


敵軍に囲まれ敗戦濃厚の雰囲気の中で


悲壮感があふれていた顔つきが急に一変し


皆、ヘラヘラと不気味な笑みを浮かべ


殺意に満ちた狂気の表情に変わっていったのだ


「ヒャハハハ~殺せ、全てを殺せ~


 殿と共に戦い、織田軍全てを


 殺し尽くしてやるわ!?」


龍興を中心に暗黒のオーラを纏《まと》った兵達は


ギラギラと目を血走らせ狂気の笑みを


浮かべながら舌なめずりをする


そして次の瞬間、信じらない事が起こった


斉藤龍興を含む十数名の集団が秀吉軍の


主力である西側の左翼兵に突撃し


圧倒し始めた、まるで無人の野を


駆けるがごとく物凄い勢いで秀吉軍を


蹴散らし始めたのだ


「一体何が!?」


予想外の展開に顔をしかめる竹中半兵衛


しばらくその光景を茫然と眺めていた


「信じられない事ですが・・・


 我が軍の左翼が押されております」


絞り出す様にそう告げる半兵衛


それを聞いて驚愕の表情を浮かべる秀吉


「そんな馬鹿な、左翼と言えば


 小六がおる我が軍最強部隊ではないか!?


 何かの間違いでは無いのか!?」


驚きの表情を隠せないまま問いかける


秀吉に対し苦渋の顔で答える半兵衛


「小六殿だからこそギリギリ


 持ちこたえているのです


 普通の兵ならばとっくに


 崩壊しています・・・


 しかしそれも時間の問題かと」


秀吉軍が敵に徐々に押され始め


戦況が悪化していく中で


秀吉達と少し離れたところで


ルキア達がジッと戦場を見つめていた


「何だか旗色が悪くなって来たな」


「ええ、なんかヤバくないこれ?」


「何か変ですね・・・一体何が


 起こっているんでしょう?」


その時ライオスがフッと笑った


「何が起こっているかは


 わからんがこのままじゃ


 負けるって事だけは


 わかる・・・」


そう言うと一人だけ秀吉に近付いて行き


真剣な表情で戦況を見つめる


二人の背中に声をかけた


「秀吉さんよ、何か雲行きが


 怪しくなって来たな、良ければ


 俺が参戦してこの状況を


 打破してやろうか?」


そんなライオスの提案に


一瞬明るい表情を浮かべる秀吉


しかしすぐに思いとどまり激しく首を振った


「いや、今回は拙者の力で


 勝たねばならぬ


 少なくとも他の諸侯には


 そう見せなくては


 ならんのだ・・・


 非常に有難い提案で


 ござるが・・・」


苦渋の表情を見せながら


絞り出す様に言葉を発する秀吉


「でもよ、そんな事言ってて


 この戦に負けてしまったら全て


 お終いなんじゃねーのか?」


ライオスの言葉にうなづく半兵衛


「ライオス殿の言う通りです秀吉様


 この戦いに負けてしまったら


 全ての事が水の泡なのです・・・


 本意では無いかもしれませぬが


 ここは素直に助力を頼みましょう」


半兵衛が諭す様に秀吉に話しかける


「しかし・・・しかし


 この戦だけは・・・」


秀吉は顔をしかめながら両拳を硬く握りしめ


うつむきながら苦渋の決断を迫られていた


秀吉のそんな姿に少し微笑みながら


語りかけるライオス


「アンタにも譲れないモノが


 あるって事か・・・


 だったらしゃあねえな」


ライオスは静かにそう言うと


おもむろに身に着けていた鎧を外し始めた


「一体何をするつもりですか


 ライオス殿?」


その仕草を不思議そうに見つめていた


秀吉が思わず問いかけた


「要するに俺達が手を貸した


 って事がバレなければいいんだろ?


 だったら俺がアンタの部下を装って


 戦ってやるよ、鎧と刀を貸してくれ」


秀吉の後ろにいた兵に甲冑と刀を


貸せと手を伸ばすライオス


声をかけられた兵は慌てて


自分の身に着けている甲冑と刀を外し


ライオスに手渡す、それを受け取ると早速


甲冑を身に着け、借りた刀をゆっくりと


鞘から抜くとそれを試すかのように


右手一本で力強く振り下ろす


”ビュン”という豪快な風切り音と共に


刀による風圧で秀吉の髪が少し揺れ動く


「しかし軽い刀だな・・・まあいいか


 今回、俺達は何も手を貸さなかった


 誰に何を聞かれても知らぬ存ぜぬで


 通してやるよ、それでいいんだろ!?」


ライオスはそう言いながら刀を鞘に納める


秀吉は感激しながら深々と頭を下げた


「かたじけないライオス殿


 そなたの男気溢れる気遣い


 この秀吉一生忘れませぬ‼」


そんな秀吉の言葉にクスリと笑い


誰にも聞こえないような小さな声で


「別にそんなんじゃねーよ・・・


 だから忘れてくれていいぜ」


そうつぶやくと秀吉達の顔も見ずに


一夜城の窓から身を乗り出し


20mはあろうかという高さから


飛び降りて地面に着地した


「木下藤吉郎秀吉が配下


 ただの一兵卒、いざ参る‼」


ペロリと舌を出し嬉しそうに


戦場へと駆け出していくライオス


そんな後姿をため息交じりで


見つめるメンバー達


「あらら、行っちゃったわよライオス


 本当に戦うのが好きよねぇ」


「全く戦闘狂というか


 剣術馬鹿というか


 本当に野蛮だねぇ~」


ゾフィとゼファーが呆れ気味に言い放つ


「でもライオスは単純に


 戦いたいだけじゃないんだ


 ただ強い相手と戦いたい


 純粋にそれだけなんだよ」


ルキアがフォローするかのように付け足した


しかしライオスはまだ敵の位置まで


到着していないため


戦況は悪くなる一方だった


そんな状況を皆がジッと見つめていると


独り言のような声が聞こえてきた


「あれ?いやでも・・・


 そんなまさか・・・


 でもそうとしか・・・」


戦況を見つめながらフリニオーラが


一人首を傾げながら不思議そうに


ブツブツつぶやいていた


「あなたも気が付きましたか


 フリニオーラ・・・」


そんな彼女に向かって深刻な表情で


声をかけたのはステイメンだった


その疑問を裏付けるかのような言葉に


思わず振り向き問いかけた


「やっぱりそうですよね!?


 何か変だとは思っていたのですが


 でもこの状況は・・・」


両者がその内容を検証するかのような話ぶりに


秀吉と半兵衛もメンバー達に加わり質問した


「拙者たちにも是非


 教えてはくれませぬか?」


「一体何が起こっているのでしょうか?」


それにゾフィも続く


「私達にもわかる様に説明してよ

 

 何で急に相手が強くなったのか


 一体何が起こっているのか


 さっぱりよ!?」


ステイメンとフリニオーラが


お互い顔を合わせてうなづくと


フリニオーラが静かに説明を始めた


「今、敵の首領 斉藤龍興と


 周りの兵が異常なまでの


 戦闘力を発揮しているのは


 暗黒魔術の一つ”悪意的狂騒《マァリィストゥプロスぺロス》”


 という魔法を使用している


 と思われます・・・」


その事実に驚きを隠せない


メンバー達と秀吉、半兵衛


そしてゾフィが食い気味に問い掛けた


「だったらあの斉藤龍興って


 奴は暗黒魔法の使い手


 って事なの!?」


それには首を振るステイメン


「いえ、そうではありません


 あの”悪意的狂騒《マァリィストゥプロスぺロス》”は暗黒魔術


 の一種なのですがそれと同時に


 魔族の指揮官クラスがよく使う


 スキルでもあるのですよ・・・」


ルキアが目を細め重い口調で質問する


「ではあの斉藤龍興という男は魔族なのか!?」


そんなルキアの問いに首を振るフリニオーラ


「いえ、あの敵の首領 斉藤龍興は


 間違いなく人間です」


ゾフィが益々怪訝そうな表情で首を傾げる


「じゃあ何?あの斉藤龍興って男は


 魔族でもないし暗黒魔法を使っても


 いないけど”悪意的狂騒《マァリィストゥプロスぺロス》”という魔法だか

 

スキルだかを使用しているって事?


 それどういう事?


 全然意味わかんないわよ!?」


コクリとうなづくフリニオーラ


「だから謎なのです・・・


 誰かが暗黒魔法を使用した場合


 必ず大気に闇の波動が生じます


 私がそれを見逃す事は


 絶対にありません


 だからあれは暗黒魔法では無いと


 断言できるのです・・・」


それにステイメンが続いた


「そして彼が魔族だった場合


 我々の誰かが必ず気づきます


 いくら正体を隠そうとしても


 我々全員を誤魔化す何て事は


 たとえ魔王でも不可能です


だから彼が魔族では無く人間だと


 断言できるのですよ」


その説明を聞き皆が益々困惑し


何が起こっているのか全くわからなかった


そんな時一人ジッと戦場を見つめていた


ゼファーがフッと笑い静かにつぶやいた


「なるほど・・・そういう事か


 ようやくカラクリが解けたぜ!?」


その言葉に皆の視線が一斉にゼファーに集まる


「何かわかったのですかゼファー!?」


「一体何が起きているんだ!?」


「どういう事か説明してください


 ゼファーさん!?」


皆の質問が一斉にゼファーに向けられた


しかしゼファーは”慌てない慌てない”


といった仕草で皆を制すると


ルキアとステイメンに向かって語りかけた


「なあルキア、ステイメン


 あの敵の首領の持っている


 刀をよく見てみな」 


二人は言われた通り斉藤龍興の


持っている刀をジッと見つめた


「すまないゼファー


 俺には普通の刀にしか


 見えないが・・・」


「私もです、何の変哲もない


 刀にしか見えませんが・・・


 あの刀がどうかしたのですか?」


その答えに目を閉じ微笑むと


独り言のように話始めるゼファー


「そうか・・・二人とも武器は


 専門外だったな、あの一見


 何の変哲もない刀に見える代物


 あれ”ギルティソード”だぜ!?」


その言葉に驚愕し一瞬言葉を失う二人


「ギルティソードだと!?


 本当かゼファー!?」


「あれがギルティソードですか!?


 本当に実在していたんですね・・・」


視線を動かさずジッと戦場を見つめながら


ゆっくりうなづくゼファー


「ああ、俺も実物を見るのは初めてだ


 レスティアレ・ラドスでも


 お目にかかれなかったモノを


 まさかこっちの世界で見る事


 になるとはな・・・」


三人は驚きを隠せない様子だったが


意味を把握しきれないゾフィが


思わずフリニオーラに問いかけた


「ねえフリニオーラ、貴方は


 ギルティソードって何か知ってる?」


その問い掛けにゆっくり首を振る


「私も武器は専門外でよくは


 知りません”呪われた剣”だと


 聞いた事がありますが・・・」


「私も似たようなモノね


 不吉な剣とか呪いの剣とか


 その程度の認識しかないわ・・・」


そこに秀吉と半兵衛がゼファーに問いかけた


「ゼファー殿、我々には


 何の事やらさっぱりわかりませぬ


 できれば拙者たちにもわかる様に


 説明願えませんかな!?」


「不勉強で申し訳ないです


 できればその剣の事を


 ご教授願えますでしょうか?」


ゼファーは少し戸惑い困った顔をしたが


何かを思いついたようにニコリと笑う


「そういう事でしたら私より


 ルキアの方が説明は上手いですから


 彼にやってもらいましょう


 先生どうぞ!?」


唐突に説明を振られ少し困惑するルキア


しかしすぐに思い直すと


仕切り直すかのように話し始めた


「ではまず剣の事から説明いたします


 我々の世界では様々な力を持った剣


 が存在します、そんな中でも特に


 長い年月を経て強力な力を持った


 剣の中には刀自身が意思を持つ


 特別なモノがあるのです」


半兵衛が驚きながら食い気味に問いかけた


「刀が自分自身の意思を持つのですか!?


 とても信じられませんが・・・」


そこにゼファーが説明を付け足した


「まあ代表的なモノが


 聖剣とか魔剣とか


 呼ばれている剣だな


 これらの剣は自分自身


 強烈な意思を持っていて


 基本的には両方ともほぼ


 同じ能力を保有している


 力と意思のベクトルが


 聖なる力で正義なのが聖剣


 闇の力で邪悪なのが魔剣と


 考えてくれれば間違いないぜ」


ステイメンがそれに続く


「その聖剣の代表的なモノが


 ルキアの持っている


 ブレイヴハートです


 この剣は勇者であるルキアしか


 使う事ができません


 まあ正確に言えば剣本来の能力を


 発揮させることができるのは


 勇者であるルキアだけなのです」


”ほぉ~っ”と感心しながら


話に聞き入る半兵衛と秀吉


「ではそのギルティソードというのは


 今説明のあった魔剣なのですか?」


その問い掛けに首を振るルキア


「いえ、ギルティソードは


 魔剣ではありません」


ゼファーが両手を広げ


首をすぼめて説明する


「そもそも普通の人間に


 魔剣なんかとても使えない


 聖剣が勇者にしか使えないように


 魔剣も魔王クラスの者しか


 使いこなせない代物だからな」


三人の説明を聞きながら


徐々にイラつきだすゾフィ


「じゃあそのギルティソードってのは


 魔剣じゃないなら一体何なのよ!?」


ルキアが真剣な表情で再び話始めた


「ギルティソードというのは


 ある程度力のある剣に禁断の秘法を


 用いて魔剣の意思と力を無理やり


 封じ込めた物・・・


 いうなれば魔剣の模造品とでも


 言うべき代物だ」


その説明を聞き驚くフリニオーラ


「そんな事が可能なのですか!?


 その理屈ですと魔剣を量産する事すら


 可能という事ですよね!?」


その質問に優しく答えるルキア


「もちろん不可能だ、というより


 ギルティソードはデメリットの多い


欠陥だらけの剣なんだ・・・


 例えばもし小さな器に


 大量の物を詰めこんだら


 どうなると思う?」


思わぬ質問に少し戸惑ったが


冷静に答えるフリニオーラ


「それは・・・物が器に


 入りきれずに溢れ出すか


 器が壊れてしまうかの


 どちらかではないでしょうか?」


「その通りだ、ギルティソードも


 同じ理屈で剣本体が封じられた


 力と意思に耐え切れず


 すぐ砕け散るか


 収まりきれずにあふれ出した


 力と意思が使用者の精神を蝕み


 精神崩壊を起すかの二択になる


 太古の昔に数多く作られたと言われる


 この剣が現存していないのも


 それが理由だと言われている」


その時秀吉と半兵衛が”あっ”っと


声をあげ思わず顔を見合わせた


「どうかしたのですか秀吉殿、半兵衛殿?」


秀吉が慌てて説明しだす


「実は昨日、半兵衛と話していたことが


 ありまして、あの斉藤龍興という男は


 以前はあそこまで酷い人間では無かった


 のですが急に人が変った様に豹変したと


 ・・・」


ゼファーがニヤリと笑う


「それ間違いなくギルティソードの


 影響だぜ・・・てゆうかよくまだ


 精神崩壊を起さずにいれるな


 今まで力を使ってなかったんだろうけど


 元々図太い人間だったんだな!?」


そしてゾフィが口を挟んだ


「でもそんな危険で欠陥だらけの剣を


 なんで作るのよ、耐久性は無いし


 使い手の精神を破壊するんじゃ


 苦労して作る意味無いじゃない!?」


それにはルキアが静かに答える


「確かにギルティソードは


 欠陥だらけの剣だ・・・


 しかし一点だけ大きな


 メリットがある、それは


 普通の人間でも魔剣に近い


 力を使用できるという事だ」


その説明に皆息を飲む


「ではライオス殿は


 そんな恐ろしい剣を相手に


 普通の刀で立ち向かって


 いるのでござるか!?」


そんな秀吉の言葉に誰も答えなかった


そして自然と皆の視線がライオスに集まった




「だ、だめだ頭《カシラ》


 こいつら何か変だ!?」


「そうですぜ、ここは一旦逃げましょう」


秀吉軍の左翼兵の中心、蜂須賀小六率いる


精鋭部隊は思わぬ苦戦を強いられていた


「馬鹿野郎、俺様には負けるとか


 逃げるとかはねーんだ、奴らは


 たった十数人じゃねーか!?」


「しかし頭《カシラ》あいつら


 どう見ても異常ですぜ!?」


そうこうしている内に斉藤龍興と”悪意的狂騒《マァリィストゥプロスぺロ

ス》”に


率いられた家臣達が小六達の目の前に現れた


真っ赤な目で小六を睨みつける龍興、吐く息は


白く、体全体から湧き出す負のオーラが


龍興達の尋常ならざる状態を知らしめた


小六を始めその部下達もいくつかの死線を


かいくぐって来た歴戦の猛者たちである


そんな彼らだからこそ龍興達のヤバさを


肌でヒシヒシと感じていたのだ


「こりゃあシャレにならねえな・・・


 しかし秀吉の旦那の為にここは


 逃げる訳にはいかねーんだ!?」


小六は死をも覚悟し龍興に対峙する、その時である


「ぐわあぁぁぁ~‼」


龍興の率いる十数人の部下の内


一番後ろにいた家臣がバッタリと倒れた


何事か!?と龍興が振り向くと


そこには2m近い大男が息を切らせながら


刀を構えこちらを見つめていたのだ


「ハァハァハァ・・・


 ようやく追いついたぜ


 ここまで来るのに随分


 走ったからな・・・


 いいウォーミングアップ


 になったぜ!?」


ペロリと舌を出し嬉しそうにそう呟《つぶや》くライオス


「なんだ貴様は、高々雑兵風情が


 殿に向かって何と無礼な・・・


 肉片も残らないくらい


 その身を切り刻んでやるわ‼」


龍興のそばにいた家臣の内の三人が


手に持っていた刀を上段に構えると


ライオスに向かって猛然と斬りつけて来た


三人とも狂気を含んだ笑みを浮かべ


人を殺す事が嬉しくてしょうがないといった


歓喜の表情で向かってきたのだ


傍で見ていた小六の部下達ですらゾッとする


光景に一人だけ、どこか嬉しそうなライオス


「ヒャッハッハッハ~~


 死ね死ね死ね死ね死ね~‼」


愉悦の表情を浮かべ大声で叫びながら


三人が同時にライオスに斬りつけた


その速度は常人とは思えない程速く鋭かった


しかし次の瞬間、肉片となり切り刻まれたのは


龍興の部下達であった、血しぶきが舞い


返り血を浴びながら逆に狂気の笑みを浮かべる


ライオスの姿は龍興達にも引けを足らない程恐ろしく


こちらも尋常ならざる雰囲気を発していた


「どうした、そんなもんか!?


 弱い、弱いぞテメーら・・・


 いいから全員で掛かって来いや‼」


目をギラつかせながら口走るその挑発


とも取れる言葉に反応したのか


龍興を除くすべての家臣達が一斉に


ライオス目掛けて斬りかかって来た


もはや声とも言えない謎の奇声を発しながら


目を血走らせ殺意の塊となって目の前の


獲物に向かって襲い掛かるその姿は


もはや人間の動きと顔つきでは無かった


まるで獣の様な速さと動きでライオスに


飛び掛かっていく斉藤家の家臣達


しかし戦いは意外な程あっさり終わった


あっという間に斬り刻まれたのは


龍興の家臣達であり、ライオスに


かすり傷一つ負わせる事も出来ないまま


次々とその首や腕が次々と宙に舞った


一瞬で全ての者は斬り倒され


ただの肉片と化した龍興の家臣達の


死体がバタバタと地面に転がる


そんな光景を夢でも見ているかのように


茫然と見つめる蜂須賀小六とその部下達


「あんた一体・・・」


ライオスはニヤリと笑うと


「秀吉さんに頼まれてな・・・


 アンタ達が何とか戦線を支えてくれた


 おかげで俺も間に合った、ここは俺に


 任せて軍の立て直しをしてくれ」


ライオスと小六の目が合い力強くうなづく


「わかった、ここはアンタに


 任せるぜ死ぬんじゃねーぞ!?」


「お前もな」


ライオスと小六は視線を見合わせニヤリと笑った


「おのれ・・・おのれ・・・


 許さんぞ・・・


 絶対に許さんからな~~‼」


家臣達が全て殺されても怯む様子も無く


一人残った斉藤龍興は独り言のように


呪いの様な言葉を吐き捨てる


その形相は人のモノとは思えない程憎悪で歪み


もはや自意識すら保てているのか怪しい状態であった


「おもしれえじゃねーか


 許さなかったら


 どうするんだ!?」


ライオスはギラギラした視線を


龍興に向けながら再び刀を構えた


その時不意にライオスの頭に


ステイメンの声が聞こえてきた


『ライオス聞こえますか?


 今、貴方が相手をしている


 斉藤龍興の持っている刀は


 ”ギルティソード”です


 今あなたの持っている刀では


 とても相手できる代物ではありません


 いったん戻って自分の剣で


 戦ってください、我々も


 助太刀いたしますから』


ステイメンの魔法によるテレパシー通話で


ライオスに語りかけて来たのだ


「へぇ~ギルティソードとは・・・


 そんな珍しい獲物だったのか


 聞こえるかステイメン、一旦戻る


 何て面倒な事やってられるか!?


 俺はこのまま戦う、それから


 助太刀など無用だ、てゆうか


 俺の戦いの邪魔をするな


 邪魔するなら例えお前らでも


 許さねえからな‼」


ライオスは目の前にいる龍興を睨みながら


ステイメンからの助言と加勢の提案を


一方的に拒否したのだ


それを聞いたステイメンは呆れ顔で首を振り


メンバーにその事を報告した


「ライオスからの返事を伝えます


 ”そのまま戦うから邪魔をするな”


 との事です」


メンバーはため息をついて苦笑した


「全くライオスの喧嘩好きにも


 困ったモノね」


「本当に野蛮だねぇ~嫌だ嫌だ」


「強い敵と戦いたいという気持ちは


 わからなくもないですが


 一方的に不利な武器で戦う


 というのは理解できません


 ライオスさんは一体何を


 考えているんでしょうか?」


その時ルキアが微笑みながら答えた


「ライオスは何も考えてないよ


 あいつの闘争本能に火がついたら


 誰も止められない、それだけさ」


メンバーはそれぞれ色々な事を言っていたが


そんな光景を見て不思議に思う秀吉と半兵衛


なぜなら誰も真剣にライオスの身を


心配していなかったからである


勿論ステイメンの治癒魔法があるから・・・


という理由もあるが、なによりメンバー全員が


ライオスの強さを絶対的に信じていて


どんな不利な条件だろうが勝利を確信している


様にすら見えた、圧倒的不利な状況に置いて


これほどの信頼・・・半兵衛は頼もしさより


恐ろしさで少し背中が寒くなった


そして一つ疑問に思っていたことを口にする


「皆さんはよくあんな遠くの戦いを


 見る事ができますね?


 我々には全体的な戦況くらいしか


 見えませんが・・・」


その質問にはルキアが答えた


「我々は魔法や、能力、アイテムなどで


 視力を強化していますから・・・


 敵の姿をいち早く発見したり


 敵の遠距離攻撃を瞬時に見極める為に


 視力の強化は必須なんです」


ルキアの説明に皆がうなづく


「じゃあ秀吉さんや半兵衛さんにも


 わかる様にライオスの戦いぶりを


 みんなで見ましょうか!?」



ゾフィがそう言いながら小さな魔獣を


数体召喚した、その魔獣は水でできている


かのような半透明の体で小人の様な姿を


しており、その数体が重なり合って


巨大なレンズの様なモノと


白く巨大な壁を形成した


そして空中に巨大な壁をスクリーンとし


映写機の様にそれに投影したのだ


「あんなに離れた場所での


 戦いをここで拡大して見る事が


 できるのですか!?」


驚きながら問いかける半兵衛に


ゾフィがニコリと笑ってうなづく


「ここからライオスの戦っている


 場所までは結構遠いけど


 遮蔽物も無いし日が高くて


 明るいからね、楽勝よ」


茫然としながらスクリーンを見つめる半兵衛


そんな半兵衛に秀吉がボソリと呟いた


「彼らのやる事にイチイチ驚いていたら


 身が持たないぞ、仕組みや理屈を考えず


 ”彼らは何でもアリ”と考えを改める事を


 勧めるぞい」


秀吉の助言に苦笑いを浮かべ助言通り


無理やり納得する半兵衛だった。


 

 


 









 


今回のお話は前回と違って中二全開の内容になってしまいましたが

どうでしたでしょうか?竹中半兵衛や蜂須賀小六といった個性あふれる

武将達は大好きなので自分なりの解釈で好き勝手に書かせていただきました

違和感を覚えた方はすみません、この”美濃編”は次話にて完結です

また懲りずにおつきあいください、では。

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