秀吉軍快進撃
アドリアン・ルキア…伝説の聖剣”ブレイヴハート”を持つ勇者、人々の為に戦うという信念を持っている
ロット・ステイメン…主に回復や防御をおこなう僧侶、常に冷静沈着で戦術指示も出すチームの頭脳的な存在
ルース・ライオス…2m近い長身で屈強な戦士、一人で魔獣を倒したこともあり”魔獣殺し”の異名を持つ、兄貴肌な性格でチームの精神的支柱にもなっている
ギャレット・ゼファー…カードキャスターという珍しい職業だが非常に優秀、自分からチームに売り込みに来たが自分の事は話したがらない、いつも冗談を言って場を和ませるチームのムードメーカー
ライドン・ゾフィ…召喚魔術師の名門ライドン家の生き残りで五体ものドラゴンを操る事ができる凄腕、一族の間では”神に愛された至高の召喚魔術師”と言われていた
クルム・フリニオーラ…世界最強の魔法使いと言われたクルム・ハイドニールの弟子で師匠の仇である魔王を憎んでいた、史上最年少で”クルム”の名を継いだ天才魔法使い
木下藤吉郎秀吉…百姓から成り上がった織田信長の部下、のちの”豊臣秀吉”
竹中半兵衛重治…以前稲葉山城をわずかな人数で乗っ取ることに成功した天才軍師
秀吉の熱烈な勧誘により秀吉配下に加わる
美濃の国、斎藤家の居城稲葉山城
金華山の頂に建ち城下を
見下ろすかのようなその雄大な城は
のちに岐阜城と呼ばれ織田信長が拠点とし
【天下布武】を目指した名城である
そんな稲葉山城の中では今日も美濃の国領主
斉藤龍興の高らかな笑い声が聞こえて来ていた
「わはははは、憂い奴よの~
お前らの為にわざわざ取り寄せた
銘酒じゃ早く飲め」
「さすがはお館様、お酒もお強いですね!?」
まだ日は高く昼を過ぎたばかりの
時間であるにもかかわらず
龍興は数人の女性をはべらし
酒を飲んで上機嫌であった
周りの家臣達はその姿を
苦々しく見つめていた
「殿・・・日中からの飲酒は
お控えください、お体にも
触りますし、なにより他の者に
示しがつきませぬ!?」
美濃の重鎮 不破光治は
そんな龍興の姿を見て思わず
意見せずにはいられなかったのだ
しかし家臣からの思わぬ忠告に
龍興の表情が一変する
手に持っていた盃を光治に向かって
投げつけると烈火のごとく怒り
大声で怒鳴りつけたのだ
「おのれは誰に向かって
言うておるのじゃ‼
このワシに意見など
何様のつもりじゃ‼
分をわきまえよ
即刻この場で
打ち首にされたいのか
このたわけが‼」
そばにいた女性達すらも
怯えの表情を見せる程の怒号が
稲葉山城の天守閣に鳴り響く
それでも龍興の怒りは治まらず
勢いよく立ち上がると腰の刀に手をかけた
それを見た家臣達が慌てて制止する
「お待ちくだされ、光治殿の言葉は
全ては殿の事を思っての事で
ございますれば・・・
なにとぞ平にご容赦のほどを」
龍興はまだ興奮冷めやらぬ感じではあったが
複数の家臣達による必死の説得に
渋々ながら怒りを治めた
「仕方がないのう・・・
運よく命拾いしたな光治
お主には追って沙汰を下す
それまで謹慎しておれ
ワシの寛大さに感謝せよ・・・
フン、貴様のせいで興が冷めたわ
新しい酒を持て、早くせぬか!?」
その時ドタドタと慌ただしく廊下を走る
足音が近付いてきて息を切らせた家臣が
入って来ると、ただならぬ雰囲気を
漂わせながら急いでひざまづき
神妙な面持ちで龍興に報告した
「お館様に申しあげます
墨俣の地にて織田軍と思しき
城を発見との事でございまする‼」
その報告に龍興のみならず
そこにいた全員が驚愕した
「まことかそれは!?」
「有り得ぬ、織田軍が
我が領地に城を築城していた
何て報告は聞いておらぬぞ!?」
「何かの見間違いであろう
城なぞ一朝一夕でできる
ものでは無いのだぞ!?」
伝令の兵は皆の目を真っ直ぐに見つめ
力強く反論した
「以下の報告は事実でございまする
そして昨日の時点ではあの地に
城など無かったというのも
本当でございます‼」
龍興は再び烈火のごとく怒り
目の前にあった数々の料理が乗っている膳を
思い切り蹴り上げひっくり返した
「たわけたことを申すな!?
ならば城が天から降ってわいた
とでもいうのか貴様は‼」
息を荒げ伝令の兵を睨みつける龍興
少しの間、緊迫した静寂が訪れた
一呼吸置くかのように少し間を空けて
不破光治が伝令兵に問いかけた
「その話はまことなのだな?
昨日の時点では無かった地に
いきなり城が現れたのだと」
その質問に力強くうなづく伝令兵
それを聞き”ふ~”っと大きく息を吐き
静かに語りかける光治
「ならば答えは一つでしょう
敵は昨晩の内に築城したとしか
考えられません・・・」
光治の言葉にさらにザワつく城内
「一晩で築城などあり得るのか
そんな事が!?」
「そんな馬鹿な・・・
奴らは神仏の加護でも
受けたというのか!?」
「いや城などでは無くそれに似せた
まやかしのハリボテではないのか?」
「確かに信長という男は
その手の奇妙な策を
好むと聞いておるしな」
推測や憶測が飛び交い城内がざわつく
一通り皆の意見が出たと思われたところで
それをまとめるかのように
光治が伝令兵に問いかけた
「それでその城はどんな城なのだ?
簡単な砦に偽装を施した物を
大袈裟に城と言っている
のではないのか?」
その問い掛けに激しく首を振る伝令兵
「いえそのような事はございませぬ
あれは間違いなく城と呼べるものに
ございます、しかし外観が非常に
特殊だったことは事実であります」
「特殊な外観?具体的には
どのように特殊なのだ!?」
「はい、通常の城とは違い
外観がゴツゴツしている
と申しますか非常に歪で
ありまして、あと一番の特徴は
全体が黄金色の金属に
覆われているという事です」
再び一同かザワつく
「黄金色だと、奴らは城に金箔でも
貼りつけたとでもいうのか!?」
「馬鹿な、京の金閣寺じゃ
あるまいし」
「しかし一体何のために
そんな事を!?」
皆が城の正体を推測し論争を始めるが
まさか一晩で魔法により築城し
”オリハルコン”でコーティング
されているために黄金色をしている・・・
などとわかるはずも無く、ああでもない
こうでもないと議論が続く
しばらくの間黙って家臣達のやり取りを
聞いていた龍興は、我慢の限界とばかりに
大声を上げ立ち上がった
「やかましいわこの無能共‼
愚にもつかん話し合いを
いつまでやっておるか
たわけが、このワシが
直接見て確かめてくれるわ‼」
吐き捨てるようにそう言い放つと
その場から足早に出て行く龍興
それにつられるように家臣達も後に続いた
龍興達は馬を飛ばし墨俣へと急ぐ
するとつい先日まで何も無かったその地に
見慣れない黄金色に輝いたオブジェが
そびえたつ様に建っているのが目に入った
その光景に馬を止め絶句する龍興とその家臣達
「この目で見るまではとても
信じられませんでしたが
本当の話でしたな・・・」
その時黄金色に輝くその異形の城の頂上付近から
ひょっこりと顔を出した男が見えた
「やあやあ、そこにおるのは
美濃の馬鹿殿と噂に名高い
斉藤龍興ではござらんか!?
どうやらその様子では噂の方が
やや控えめだったようでござるな
はっはっは」
上から見下ろす様に龍興を挑発したのは
今回の織田軍総司令官である秀吉だった
「ほれ悔しかったらかかって来い
どうした、怖くて来れないか?
じゃあこれでも喰らえ!?」
秀吉は城の上からなんと立小便を始めたのだ
そのあまりの挑発行為に
龍興の怒りは頂点に達した
「おのれおのれ~これほどの屈辱
もはや腹に据えかねたわ‼
あ奴を八つ裂きにでもしないと
気が治まらぬ、弓隊前に出て
あ奴を射殺せ、そしてこの奇怪な
城を穴だらけにしてやれ‼」
龍興の指示で弓隊が前面に出てきて弓を引き絞る
慌てて奥に引っ込む秀吉を尻目に
斉藤軍の弓が一斉に放たれた
すると”キーン”という甲高い金属音と共に
全ての弓が弾かれたのだ
「何をしておる、再び矢を放て
火矢も試してみよ!?
鉄砲隊はおるか!?」
斉藤軍による通常の矢と火矢による攻撃が
交互に放たれる、複数の矢が弧を描き
目標である一夜城に次々と襲い掛かるが
それらは穴どころかかすり傷一つ
付ける事は出来なかった
そして鉄砲を持った5人が前に出て来ると
片膝を付き構えを取る
「鉄砲隊前へ、放て‼」
”パーン”という乾いた音が青空に響いたが
再び”キーン”という金属音が聞こえてきて
斉藤軍の皆は全ての者が
弾が弾き返された事を悟った、そして次の瞬間
斉藤軍の兵の一人がうめき声をあげた
「ぐあっ!?」
振り向くとその兵は鎮痛の表情で
腕を押えており、そこから
ポタポタと血がしたたり落ちていた
「我が軍の鉄砲による
跳弾が腕に当たった
ようですな・・・」
その報告に歯ぎしりしながら
益々怒りの表情を浮かべる龍興に対し
そんな様子を見て笑いながら
さらに挑発を続ける秀吉
「なんじゃなんじゃ!?
こちらが何もせずとも
あっちは勝手に
怪我してくれるぞ!?
楽でいいのう
もっとやって見せい
わっはっは」
大袈裟な態度で挑発を続ける秀吉だが
その内心はヒヤヒヤものだった
『こんな相手を怒らせるだけの行為が
本当に必要なのか!?
そもそもこの一夜城内には
兵はほとんどいない
というのに・・・』
そんな事を思いながらこの作戦を考えた
半兵衛の事をチラリと見る秀吉
その視線に気づきニコやかにうなづく半兵衛
そしてボソリと呟いた
「そろそろですかね・・・」
その頃稲葉山城では留守を任された武将
長井道利が落ち着かない様子でソワソワしながら
家臣の報告を待っていた、なぜ彼がこれほどまでに
狼狽えていたかというと正体不明の兵が
この稲葉山城に押し寄せて来ていたのだ
イラつきながら今か今かと報告を待っていると
そこに一人の甲冑を身に纏った連絡兵が
ガチャガチャと音を立てながら走って来て
長井道利の前で片膝をつきようやく
待ちに待っていた報告を始めた
「申し上げます、ただ今この
稲葉山城に接近している
兵を確認したところ
稲葉様、安藤様、氏家様の
旗印を確認いたしました
どうやら西美濃三人衆の兵の模様です」
驚愕の表情を浮かべ連絡兵を見下ろす長井道利
「西美濃三人衆の兵だと!?なぜ彼らが
この城に兵を向けておるのじゃ!?」
「それはわかりませぬ、しかし
西美濃三人衆の方々が仰いますには
何やら至急長井様とお話し致したい事が
あるとの事でございますれば・・・」
しかめ面を浮かべ首を傾げる長井道利
「わかったワシが話をしよう」
長井道利は下の階へ急いで降りると
門の外にはすでに西美濃三人衆の兵が来ており
長井道利が来るのを待っている様子であった
城の窓から顔を出し下にいる西美濃三人衆に
大声で話しかける長井道利
「此度は一体何事ですかな
稲葉殿、安藤殿、氏家殿!?」
呼ばれた三人は声の方向を見上げると
西美濃三人衆を代表して稲葉一徹が答えた
「おう、長井殿!?
我らは殿より命を受け
援軍に駆け付けた次第じゃ
実は尾張の織田軍が
ここに向かって来ておってな
もう一刻の猶予もござらん
早く城に入れてくだされ!?」
その言葉に戸惑う長井
「そんな話は聞いておらん・・・
それに殿が帰ってくるまで
絶対誰も入れるなと厳命されて
おるのじゃ・・・すまぬが
城に入れる訳にはいかぬ」
その返答に見る見る内に表情が強張り
激怒する稲葉一鉄
「なにをたわけたことを!?
敵が迫っておるのだぞ
城にも入れぬというのは
我らにここで死ねというのか‼」
「そうは言っておらぬが
殿の命令に逆らう訳には
いかぬ・・・
何と言われても
聞けぬものは聞けぬ」
その長井道利の返答に
稲葉一鉄を含む西美濃三人衆は門の前で
馬を反転させ引き返すそぶりを見せた
「ならば我らは引き返そう
織田家の大軍相手に
こんな所で犬死には
御免でござるからな
そして殿の命令で参上した
我らを入れぬというからには
殿にはこう報告させていただく
”長井道利に謀反の疑いあり”
と・・・精々首を洗って
待っているが良いわ‼」
稲葉一鉄の言葉に思わず
血の気が引く長井道利
今の斉藤龍興は非常に疑り深くなっており
謀反の疑いなどかけられたらそれだけで
確実に更迭されてしまうからだ
「ちょっと待たれよ稲葉殿!?
委細承知いたした・・・
今、門を開けるでござる!?」
そしてしばらくすると稲葉山城の城門が
ゆっくりと開いく、その時
稲葉一鉄の口元がニヤリと笑った
「全軍突撃、稲葉山城を占拠せよ‼」
その掛け声と共に西美濃三人衆の兵が
一斉に城内になだれ込んだ
意表を突かれた城の兵達はなす術も無く
次々と倒されていった
「な、これは一体・・・
何の真似ですかな稲葉殿!?」
アタフタしながらも必死で問いかける長井道利
「だから言ったであろう
織田軍が攻めて来たと
そういう事だ・・・」
稲葉一鉄は不敵に笑いながらそう言い放った
長井道利にとってそれがこの世で
最後に聞いた言葉となった・・・
墨俣の一夜城では斉藤軍の攻撃が
次々と繰り広げられていたが
何の効果も見受けられずにいた
歯ぎしりしながら恨めし気に
一夜城を見上げる斉藤龍興
「殿、ここは一旦退きましょう」
家臣たちが度々そう助言するが
完全に頭に血が上っている斉藤龍興は
全く聞く耳を持たなかった
その時、稲葉山城の方向からのろしが上がり
それを見てニヤリと笑う半兵衛
「今です、秀吉様」
その言葉にコクリとうなづく秀吉
「これ、そこの馬鹿殿様!?
お主らが愚にもつかない事を
延々とやっている内に
今しがたお主らの居城である
稲葉山城が我が軍の手に落ちたぞい」
その言葉にザワつく斉藤軍
「たわけた事を申すな!?
我が稲葉山城がそう簡単に
落城する訳なかろう
虚言も大概にせい‼」
龍興の吐き捨てるような反論に
今度は半兵衛が顔を出し淡々と語った
「嘘ではございません、先程
我が軍に寝返った西美濃三人衆から
稲葉山城を占拠したとの知らせが
届きました、もうあなた方に
帰る城はありませんよ」
半兵衛がそう言い放つと斉藤軍に益々動揺が走り
兵が皆浮足立った、その時西と東の方向から
馬の蹄の音と嘶きが聞こえてきて
この場に兵が迫って来ているのがわかった
「殿、織田軍が西と東から
迫って来ている様です
どうやら我らはまんまと
ハメられたようです・・・」
ワナワナと怒りに震え唇をかみしめる龍興
しかしそうしている内にも西と東の方向から
どんどん迫って来る秀吉軍の姿が見えてきた
「殿、このままでは我々は
挟み撃ちにされます
私が500の兵で東側の敵を
何とか食い止めますから
その隙に西側の敵軍を突破し
逃げてくだされ!?」
不破光治がそう告げると龍興の返事も聞かずに
500人の兵を率いて東から迫る秀吉軍に
猛然と突撃していった
「殿、不破殿が東側から来る敵を
食い止めている間に
西側から来る敵を突破し
撤退いたしましょう‼」
家臣が龍興にそう告げる、その瞬間
一夜城から斉藤軍の頭上に向けて
数本の矢が飛んできたのだ
実際今、城の中にいる秀吉の兵は
10名程しかいないのだが
斉藤軍はそんな事知る由も無い
兵達は益々混乱しパニック状態になった
「皆の者、落ち着いて隊列を立て直せ
そして殿を守りつつ西側より迫る
敵軍を突破し撤退するぞ、急げ‼」
龍興の家臣の声が戦場に響き渡る
ギリギリのところで軍の崩壊を
防いだ斉藤軍は何とか建て直し
西側から迫る秀吉軍に突撃していった
今回、戦いには参加しない予定のルキア達は
その様子を城の上から眺めていた
「この采配ぶりをどう見るステイメン?」
ルキアの質問にフッと笑うステイメン
「見事です、敵大将をここに引き付け
その隙に敵城を占拠、そして
その事実を敵に伝え動揺を誘い
伏せていた兵で左右から挟撃する
ケチのつけようがありませんね」
その様子を見て感心していたのは
秀吉も同じであった
「半兵衛、全てがお主の言う通り
になったのう・・・
しかしどうして斉藤龍興が自ら
ここに来るとわかったんじゃ?」
その問い掛けに優しく答える半兵衛
「今の斉藤龍興殿は人を信用していません
何人家臣がこの一夜城の事を報告しても
自分の目で見ない事には信じないでしょう
ですから必ず自分自身で確かめに来ると
思っていました」
腕組みをして感心しながら話を聞く秀吉
「なるほどのう・・・
しかし半兵衛、龍興は
お主の予想通り西側の兵を
突破して撤退しようと
動いたが、あっちに行くと
わかっていたなら西側の兵の数を
もっと増やしておいた方が
良かったのではないか?」
それにはゆっくりと首を振る半兵衛
「いえ、敵が西の軍に向かうと
予想できたのはあくまで
西側と東側の兵の数が
同じであったからです
西側の兵の数を増やして
しまっていたら敵は
兵の数の少ない東側に突撃し
突破を図っていたでしょう
斉藤軍から見れば西側の方が
最短距離で撤退できると
いうだけなので、東側の兵が
少なければ多少迂回しても
そちらを選んでいたはずです
敵にしてみれば突破できれば
いいのですからね」
「なるほどのう・・・
しかし斉藤軍と我が軍の西側は
見たところ数的には五分だぞ
本当に大丈夫なのか!?」
秀吉の質問を予想していたかのように
ニコリと笑う半兵衛
「はい大丈夫です、西側と東側の
兵は数こそ同じですが質が違います
あちらには我が秀吉軍の最精鋭を
配置していますから・・・」
秀吉軍の西側の兵の中心には
野武士風の男達数十名が馬に跨り
ヘラヘラと不敵な笑みを浮かべながら
嬉しそうに言葉を交わしていた
「頭、あいつら本当に
こっちに来ましたね!?」
「あの半兵衛とかいう新参者
中々やりますね、頭」
頭と呼ばれたそのリーダー格の男は
ムッとした表情で部下を睨みつけた
「馬鹿野郎、頭って
呼ぶんじゃねー、いつまで
野盗気分でいやがるんだ
テメーらはよ!?
まあでも今回のおいしい所は
この蜂須賀小六様がごっそり
いただくとするか・・・
行くぞ野郎ども‼」
そんな頭の言葉に”おお~‼”
っと奮起する蜂須賀小六の部下達
そしてそのまま斉藤軍と激突した
小六率いる秀吉軍の西側兵は
その勢いそのままに見る見る内に
斉藤軍を蹴散らしていく
「ヒャッハ~‼弱いぞコイツら!?」
「そんなもんかよ、どうした侍!?」
「どいつもこいつもぶち殺せ
遠慮はいらねーぞやっちまえ‼」
まるで宴でも楽しむかのように凄まじい勢いで
戦う蜂須賀小六の兵達、押されっぱなしの
斉藤軍は何とか立て直そうと必死に踏ん張る
「何としても殿を守るのだ‼
押し返せ、敵の数はそれほど
多くないぞ!?」
龍興の周りにいる側近たちが必死でそう叫ぶも
戦況はジリジリと押されており
斉藤軍は隊列を維持するのがやっと
という状況に追いこまれていた
そんな戦場の様子を冷静に見つめる半兵衛
「もう時間の問題でしょう・・・
そろそろ東側の兵も
斉藤軍の足止め兵を蹴散らし
背後から襲い掛かれるはずです
そうなれば理想的な挟撃体制を
確立できます、あと一刻程で
敵の首領 斉藤龍興殿を討ち取る
もしくは捕縛する事ができるでしょう」
もはや誰の目にも勝敗の行方は明らかと思われた
しかしこれから起こるまさかの展開は
半兵衛は勿論、ルキア達ですら
誰も予想だにしなかった。
今回はルキア達の出番はあまりありませんでしたがどうでしたでしょうか?
作中に出てくる”蜂須賀小六”ですが、盗賊上がりの無頼漢で秀吉を支えた
武将・・・という私の中のイメージで登場させましたが、最近の調べでは
そんな事実は無く、むしろ知的な優将だったらしいです、そして盗賊、山賊的な
イメージがずっとついていて一族的に迷惑だった・・・とのことらしいですね
まあしかし例のごとく”野盗上がりの無頼漢”イメージで突き進みました一族の方
御免なさい(笑)次話から少しづつ物語の本質に向って行く予定ですのでまた
懲りずにおつきあいください、では。




