一夜城と暗雲
アドリアン・ルキア…伝説の聖剣”ブレイヴハート”を持つ勇者、人々の為に戦うという信念を持っている
ロット・ステイメン…主に回復や防御をおこなう僧侶、常に冷静沈着で戦術指示も出すチームの頭脳的な存在
ルース・ライオス…2m近い長身で屈強な戦士、一人で魔獣を倒したこともあり”魔獣殺し”の異名を持つ、兄貴肌な性格でチームの精神的支柱にもなっている
ギャレット・ゼファー…カードキャスターという珍しい職業だが非常に優秀、自分からチームに売り込みに来たが自分の事は話したがらない、いつも冗談を言って場を和ませるチームのムードメーカー
ライドン・ゾフィ…召喚魔術師の名門ライドン家の生き残りで五体ものドラゴンを操る事ができる凄腕、一族の間では”神に愛された至高の召喚魔術師”と言われていた
クルム・フリニオーラ…世界最強の魔法使いと言われたクルム・ハイドニールの弟子で師匠の仇である魔王を憎んでいた、史上最年少で”クルム”の名を継いだ天才魔法使い
木下藤吉郎秀吉…百姓から成り上がった織田信長の部下、のちの”豊臣秀吉”
無茶を承知で懇願する秀吉、深々と頭を下げ
どうにかして欲しいと頼まれたものの
どうしたものかと考えていたルキア達は
返答に困りお互いの顔を見合わせている
「人手が必要ならばコチラで
なんとかするでござる
何かいい知恵はありませぬか?」
秀吉の提案にライオスが冷たく答えた
「いくら人手があっても
時間が無いんじゃ無理だろ
一晩しか無いのならば精々
材料運びでお終いだぜ!?」
その時何かを思いついたかのように目を輝かせ提案する秀吉
「そうだ、材料となる材木を川に流して
運ぶというのはどうでござろうか!?
それならば時間と人手の問題を
かなり解消できるのでは
ないですかな!?」
明暗を思いついたと言わんばかりに嬉しそうに話す秀吉
しかしゼファーが残念そうに首を振った
「そりゃあ机上の空論だ、材木を
川に流すのはかなり無理があるぜ
全ての材料が目的地まで上手く
流れるのか甚だ疑問だし
暗がりの中で川から材木を回収するのも
かなりの困難が予想される
それこそ材料を回収するだけで
一晩なんかすぐ過ぎてしまうぜ」
腕組みして首を傾げる秀吉
「そうでござるか・・・
いい案だと思ったのでござるが
そうだ!?この際ですな
あなた達の得意な魔法でパパッと
城を出す事はできませんか!?」
顔を上げたと思ったらいきなり明るい表情で
とんでもない事を言い出す秀吉
再び呆れ顔で答えるステイメン
「そんな都合のいい魔法なんか
有りませんよ」
秀吉はあからさまに肩を落としてため息をつく
「そうでござるか・・・
まあいくら魔法でもできる事と
できない事があるでしょうからな
所詮魔法と言っても人間のやる事で
ござるし、そこまで求めるのは
酷でござったか・・・」
その言葉にピクリと反応した者がいた
フリニオーラである
「今の言葉は聞き捨てなりませんね
魔法は最高にして最強の技術です
魔法にできない事などありません
貴方の言われる様にパパッと
やってみせましょう‼」
その言葉にステイメンは思わず
天を見上げ大きくため息をついた
ゼファーは両手を広げ苦笑しながら
ゆっくり首を振った
ライオスとゾフィに至っては
もはや呆れて言葉が出なかった
「おお、やってくださるのか
フリニオーラ殿‼
さすがは天才魔法使いと
言われただけはありますな
おみそれしました!?」
秀吉の判りやすいヨイショに皆は呆れてしまったが
フリニオーラがどう収拾を付けるのか見守っていた
しかし当のフリニオーラは
ブツブツ独り言をつぶやきながら
一人で考え事をしていた
「材料、運搬、基礎工事、築城・・・」
そしてしばらく考えていたが考えがまとまったのか
ふと秀吉の方を向く
「秀吉様、材料の材木となる種類の
苗木は手に入りますか?」
「苗木でござるか?
まあ手に入らなくはないですが
そんな物一体どうするのでござるか?」
不思議そうな表情を浮かべ質問する秀吉、しかし
既に次の事を考えていたフリニオーラの耳には
聞こえていない様子であった
「ゾフィさん、貴方の召喚魔獣の中に
液体を腹の中に貯めて
霧状に吹き付ける事が
できる魔獣はいますか?」
いきなりおかしな質問を振られ戸惑うゾフィ
「えっ!?まあいなくはないけど
そんな事してどうするの?」
その言葉にニヤリと微笑むフリニオーラ
その表情を見てステイメンが話しかけた
「そろそろ種明かしをしてはいただけませんか
フリニオーラ、貴方が何をするつもりなのか
皆気になっているんですよ!?」
フリニオーラは得意げな表情で語り始めた
「わかりました、私の考えはこうです
まず苗木を築城予定の城の外形に
沿って埋めます、それから埋めた苗木に
成長促進魔法をかけ大木へと成長させます
これならば大地に根がしっかり張る事で
基礎工事を必要とせず柱を立てる事が
可能です、それに苗木であれば運搬に
それ程苦労はしないでしょう」
皆が”なるほど”と感心しながら聞いていた
「で、さっきゾフィに聞いていた
液体がどうとか言うのは何なんだ?」
ライオスの問い掛けにフッと不敵に笑い
再び説明に入るフリニオーラ
「先程大木により柱を作る事は
説明しましたよね?
その木と木の間を枝や蔦を使って
なるべく隙間ができないように
成長促進魔法で誘導しながら埋めます
しかしそれですと木と枝、蔦
などで作った建物に過ぎず
強度的にも弱いですし
色々隙間も出来て相手の
攻撃を完全に遮断する事は
できません、ですから
その隙間を土で埋めその外から
金属でコーティングするのです」
その時秀吉が怪訝そうな表情を見せた
「金属でござるか?
”こーてぃんぐ”というのが
何を示すのかわかりませぬが
もし金属で城全体を覆うとなると
相当の量が必要となってしまいます
経費はともかくその金属の重量で
益々運搬が困難になるのでは
ないのですかな!?」
「それは大丈夫です、金属は
ほんの少量あれば十分ですから」
ニコリと笑いそう軽く言い放った
しかしその答えにに益々
不満げな顔を見せる秀吉
「でもそんな少量の金属では
城の全体に塗りつけることなど
できないでしょう・・・
ましてや金属を表面に薄く
貼っただけの状態で本当に相手の
攻撃を防げるのでござるか?」
そんな不安を一蹴するかのように
微笑みながらうなづくフリニオーラ
「はい大丈夫です、具体的に言いますと
まず銅の中の軌道転移単原子元素を
魔力によって素粒子の特殊な
角運動量スピンが高まった
ハイスピン単原子状態にします
そこに別金属の単原子状態で存在できる物
例えばパラジウムやルテニウムなどを
組み合わせます、それが無ければ
金や銀で代用しますが、それら二つを
組み合わせ城の表面にコーティングするのです」
説明を聞いても秀吉にはフリニオーラが
何を言っているのかさっぱりわからなかった
魔法知識の無いライオスやゾフィも同様で
不思議そうに首を傾げていたが
ルキアが目を細め思わずつぶやいた
「フリニオーラ・・・君って人は!?」
ゼファーは”ヒュ~”と口笛を鳴らし
ステイメンは微笑みながら呆れる様に首を振った
「フリニオーラ、貴方という人は・・・
とんでもない事を考えますね
最強の魔法使いの称号”クルム”
の名は伊達じゃないですね」
魔法を使う三人にはフリニオーラの説明の意味を
ちゃんと理解できている様子だった
不満げな顔でライオスが問いかける
「おいおい俺達にもわかる様に説明してくれ
フリニオーラは一体何をしようとしているんだ?」
「そうよ、自分達だけわかってるなんて
ズルいわよ、早く教えてよ!?」
その言葉にルキアが軽くうなづき答えた
「フリニオーラは木と土で造った城を
オリハルコンでコーティングしようと
しているんだ・・・」
その言葉に驚愕するライオスとゾフィ
「オリハルコンだと!?そんなレアな金属
を生成しようとしてるのか!?」
「オリハルコンっていえばその手の事に
詳しくない私だって知ってるぐらいの
貴重な金属じゃない、本当にそんな事が
できるの!?」
コクリとうなずくフリニオーラ
「はい、できますよ
さすがにきちんと生成したものと
比べればやや強度が落ちますが
この世界の武器や攻撃ならば
表面にほんのわずかに薄く
コーティングしただけで
防ぐことが可能でしょう」
二人は”ほぉ~”っと感心し
フリニオーラをマジマジ見つめた
そんな時ステイメンが微笑みながら
フリニオーラに声をかけた
「いやさすがですフリニオーラ
やはり貴方の魔法知識は恐るべき
レベルに達してますね
それを考えれば先日披露した
歌が凄く下手なことなど
些細な事ですよ」
慰めのつもりで言ったかもしれないが
古傷をえぐられ思わず表情が強張り
動きの止まるフリニオーラ
秀吉には皆のいう事が今だ理解できていなかったが
話の流れ的に相当の城が出来そうな事が
判り少しホッとしていた
「ではフリニオーラ殿の案を採用して
よろしいでござるな!?
いやはや助かり申した」
フリニオーラは気を取り直し補足する
「この城は外観的には相当歪なモノに
なるでしょうが、戦略上の建造物ですから
そこはご考慮願いたいです、しかし
その強度は保障しますよ」
その言葉に何度もうなづく秀吉
「もちろんでござる、この際
どのような形でも全く気にする必要は
ないです!?誠に助かったでござる
では拙者は作戦に必要なモノを早速
取りそろえまする、この程度のモノならば
一週間ほどで揃うと思われますから
準備ができ次第、報告に来るでござるよ」
そう言って足早に部屋を立ち去ろうとした時
ルキアが不意に秀吉を呼び止めた
「秀吉殿、ちょっとよろしいですか?」
背中を見せ早々に立ち去ろうとしていた秀吉が
ルキアの声を聞きおもむろに振り向いた
「一体なんでござるか、ルキア殿?」
「先日駿府城の人質奪還作戦の際に
我々の作戦が敵側に漏れていた件です
あれから何かわかりましたでしょうか?」
顔をしかめ腕を組んで申し訳なさげに答える秀吉
「それがいまだに不明なのでござる
あの作戦自体はほとんどの者が
知っていたのでござるが細かい
作戦内容や日時まで知っていた者は
ごくわずかでござる、拙者を含め
知っていた者は側近中の側近で
その連中を調べても作戦内容を
今川側に漏らした者がいるとは
とても思えないのでござるよ」
「敵側の隠密行動に徹した特殊部隊・・・
ここじゃ忍者っていうんだっけ?
そいつらがどこかで情報を盗み聞き
していて今川側に漏れたって
可能性は無いのか!?
俺達はそんなヘマしないが
德川殿の陣営でそんな話を
していたところを盗み聞き
されていたとかの可能性は?」
そんなライオスの問い掛けにゆっくり首を振る秀吉
「それは考え辛いでござる
家康殿の配下には”服部半蔵”
という凄腕の忍びがおりまする
あの半蔵殿の目を潜り抜け情報を
持ち帰れる忍びがいるとは
思えないのでござるよ・・・」
「そうですか、それは何とも
不可解な話ですね・・・」
ルキアの言葉に秀吉はペコリと頭を下げる
「この件はお館様も随分
気になされておいででした
もし何かわかり次第皆様に
ご報告いたしまするので
平にご容赦を!?」
「そんな、貴方が謝る必要は無いですよ
ではそういう事でよろしくお願いします」
ルキアの言葉を聞き秀吉はもう一度礼をして
足早に部屋を出て行った、その後姿を見守りながら
ゼファーがルキアに近づき小声で話しかけた
「この件は俺も独自で調べてみる
それにしても不可解な話だが
何か嫌な予感がするな・・・
俺の予感が的中しない事を祈るぜ」
そう言って立ち去るゼファー
しかし残念ながらゼファーの予感は
当ってしまう事となる
これから思いもよらない自体に
巻き込まれていく事を今のルキア達は
知る由も無かった
秀吉はまず敵陣営の切り崩しにかかった
美濃の国の領主 斉藤龍興は父である
斉藤義龍の死により若くして美濃斉藤氏の
家督を継いだが祖父 斉藤道三や父義龍程の
力量は無く家臣からの信望も薄かった
祖父道三の時代から仕えていた家臣も
次々と離反していっており内情的にも
とても一枚岩とは言えなかった
秀吉の手引きにより変装したゼファーが
西美濃三人衆と呼ばれる稲葉一鉄、安藤守就、
氏家卜全と面会し説得にかかった
最初は斉藤家への忠義もあり
やや渋っていた三人だったが
「今の美濃の国の領主である
斉藤龍興殿は本当に貴方が
仕えるべき価値のあるお方ですか?
色や酒に溺れ
国の政をないがしろにし
人格的、力量的に問題のある
斉藤飛騨守などを重用し代々斉藤家に
仕えていた家臣達の離反を招き
竹中半兵衛殿に城を乗っ取られるという
大失態を犯しているではありませんか
それに比べ織田信長公は家督争いで
敵側に回った家臣だろうと百姓出身の
平民だろうと能力があると判断すれば
重用するだけの広い度量がおありです
かの斉藤道三殿もその度量にほれ込んだ
事は貴方もご存じでしょう!?
そして天下人に一番近いと言われた
今川義元を桶狭間で討ち取りました
この世には流れや勢い、そして
機というモノがございます
信長公は今一番天下に近いお方だと
言っても差し支えないと思います
龍興殿と比較し貴方が仕えるべきは
どなたなのか、よくお考えになれば
おのずと答えは出るのでは
ないでしょうか!?」
というゼファーの説得に西美濃三人衆は
織田陣営に加わる事を約束した
一方秀吉は竹中半兵衛重治を陣営に加えるべく
半兵衛が静養している草庵に向かった
わずかな供しか引き連れず
目的地へ急ぐ秀吉だったが
その中にはステイメンもいた
「おっ!?あれですかな?」
決して広いとは言えない屋敷に半兵衛はいた
病気の為かその身は細く痩せていて
伝説を作ったような屈強な武士には
とても見えなかったが
どこまでも見通すようなその目は
噂に違わぬ知性と教養を思わせるのに
十分なモノであった
「初めまして竹中半兵衛重治殿、
拙者は織田信長公の家臣で
木下藤吉郎秀吉と申します
貴方の数々の武勲は存じております
そして敵として戦った時のその
神がかったような素晴らしい
采配ぶりはこの木下藤吉郎秀吉
心底感服いたしました
今回拙者がお訪ね申したのは
その神のごとき深謀を我がお館様
信長公の為に発揮しては
くださりませぬか!?
この通りでござる」
深々と頭を下げる秀吉
半兵衛はかすかにほほ笑むと
「私などの為にこんな所まで
よくお越しいただけましたね
その気持ちは有難く頂戴いたします
しかし以前に信長公からも
誘いを受けていましたが
丁重にお断りしたはずです
今は体も悪くしておりとても
貴方方の要望にお応えできる
とは思えません
大変申し訳ありませんが
お引き取りください」
丁寧に頭を下げた後、部屋の奥へ
引き上げようとする半兵衛
「お待ちくだされ半兵衛殿!?
今は戦国乱世、度重なる戦で
民草は毎日怯え苦しんでおります
かくいう拙者も農家出身の
百姓でしたから民草の苦労は
痛い程判るつもりござる
この日ノ本に住む多くの民草の為に
その力をお貸しくださいませぬか!?」
真剣な眼差しで半兵衛の目をジッと見つめる秀吉
「あなたが悪い人間でない事は
わかりました、信長公を始め
その家臣である秀吉様も志高く
今の世を憂いている事も
わかります、しかし先ほども
申しました様に何度来られても
私は・・・」
その半兵衛の言葉に更にグイッと詰め寄り
顔を間近に寄せ訴えかける秀吉
「何度来てもダメと言われても
半兵衛殿が首を縦に振ってくれるまで
何度でも来るつもりでござる
かの劉備玄徳が諸葛孔明を
勧誘した際、その家を三度訪ねた
事は有名です、しかし拙者は
主君信長公の為
日ノ本に住む民草の為
そしてこの世の為に
絶対に諦めませぬ
三顧で足りぬなら百願の礼を
つくしましょうぞ!?」
鬼気迫る勢いで熱弁する秀吉に
目を閉じフッと笑う半兵衛
「あなたの気持ちはわかりました
私の様な仔細の身にそれほどの
評価をしていただけた事は
恐悦の至りです、しかし・・・
もう体がいう事をきかぬのです
もし秀吉殿に仕えたとしても
足手まといになるだけで
ありましょう・・・
この身を憂いても
詮方なき事なれど
無念でございます」
その言葉を聞きニヤリと笑う秀吉
「それであれば心配ござらん
拙者にお任せあれ、半兵衛殿の
病をたちどころに治して
進ぜましょうぞ!?」
自信満々の秀吉を半ば呆れ気味に見つめる半兵衛
「いや秀吉殿・・・
私の身はどのような
医者に見せても対処できぬ
不治の病、治るはずなど・・・」
その時秀吉に催促されるように前に出てきた
ステイメン、半兵衛に向かってニコリと微笑む
「初めまして竹中半兵衛殿
私はロット・ステイメン
と申します、秀吉殿に
頼まれて貴方の体を
診に来ました」
「半兵衛殿、このステイメン殿
は想像もつかぬほどの不思議な
治療技術を持っておりましてな
貴方の病も一瞬で
治してくれるでしょう!?」
得意げに語る秀吉だったが
その話を即座に信じる事は出来ず
ステイメンをマジマジと見つめる半兵衛
「先ほどから気にはなって
いましたがあなたは
異国の方ですね!?
もしや蘭欧医学の知識を
お持ちなのですか?」
その問い掛けにゆっくり首を振るステイメン
「いえ私のは医療ではありません
女神ミューゼの御加護による
治癒魔法です」
その時半兵衛の表情がかすかに曇った
「信仰ですか・・・
もしや伴天連の方ですか?
しかし私の病は宗教では・・・」
半信半疑の半兵衛とは対照的に
何やら嬉しそうに催促する秀吉
「ほらステイメン殿、早く早く
いつもみたいにささっと
やってくだされ!?」
そんな秀吉の態度に苦笑いを浮かべながら
目を閉じ半兵衛に両手をかざすステイメン
かざした両手がうっすらと緑色に光る
その見たことも無い現象に思わず驚く半兵衛
「何ですかこれは!?
大陸に伝わる気功という
モノですか!?」
その問い掛けには答えず両目を開くステイメン
「どうやら肺を患っているようですね
完治するまでには15分程かかりますが
ジッとしていてくださいね」
キョトンとしてステイメンを見つめる半兵衛
「15分?15分とはどのくらいの
事を言うのでしょう?
私も異国の時間までは
詳しく無いものですから・・・」
指摘されて気が付いたステイメンは
改めて言い直した
「すみません、こちらの
時間単位ですと小半刻
になりますね」
それを聞き驚愕の表情を浮かべる半兵衛
「小半刻!?たった小半刻で
私の病が治るのですか!?」
ニヤリと笑う秀吉
「百聞は一見にしかずでござるよ
騙されたつもりで任せてくだされ」
そのままジッと待つ半兵衛に
両手をかざし続けるステイメン
半兵衛は徐々にその効果を実感している様で
信じられないといった表情を浮かべる
「はい、終了しました
もう完治したはずです
どうですか半兵衛殿?」
「信じられません・・・
胸の患いを全く感じませんね
あなたは一体!?」
不思議そうに見つめる半兵衛に
優しく微笑むステイメン
そこに割り込むように秀吉が口を挟んだ
「半兵衛殿、これで体を言い訳に
する事はできませぬぞ!?
信長公の為、世の為に
来てくれるでござるな!?」
半兵衛の口元が優しく緩み静かに答えた
「わかりました、微力なれど
この身を捧げる覚悟で
ご一緒させてください
日ノ本の民草の為・・・
そして信長公の為では無く
貴方方の為に行きましょう」
こうして秀吉陣営に強力なブレインが加わった。
史実では”一夜城”は後から作った創作だというのが今の定説だそうですが
何と言っても”一夜城”って響きがカッコいいし、そっちの方が面白いから
いいじゃん、というノリで話に盛り込みました(笑)、創作の話をさらに着色する
という行為ですがなにとぞご勘弁のほどを、では。




