外伝 伝説の始まり
ライドン・ゾフィ…ライドン家当主の末娘で姫巫女の役目を負った少女
ライドン・ドライル…ライドン家第十三代当主、普段は冷静沈着で責任感が強い、ゾフィの父
ライドン・ガジュベル…先代当主の時代から使える重鎮で事実上のナンバー2
ライドン・メリスン…先代当主、歴代当主の中でも二人目のドラゴンを呼び出す事ができた凄腕
アクアドラゴン…ドラゴン族最強の称号”竜王”の座に君臨する水のドラゴン
フレイムドラゴン…アクアドラゴンと互角の力を持つ炎のドラゴン
ゾフィは不機嫌だった、両の頬を膨らまし顔をそむけて
怒っている態度を露骨に出しながら
一度も口を開かなかったのだ
「どうしたんだいゾフィ!?
今日は一段とご機嫌斜めだね
それじゃあ君の綺麗な顔が台無しだよ」
なだめるように優しく話しかける青き竜王アクア
いつもならアクアに合った途端に嬉しそうに喋りまくる
ゾフィの態度が今日は普段と違っていたからだ
しかしなぜゾフィがこれほど不機嫌なのか
アクアにはおおよその見当がついていた
それは先日ゾフィに懇願され
フレイムドラゴンの他にも
三頭のドラゴンを紹介したのである
そしてゾフィがようやくその重い口を開いた
「ねえ聞いてよアクア、貴方の友達を
あまり悪く言いたくはないけど
何なのあの子達!?ドラゴンってものすごく
頭がいいんでしょ!?」
アクアの予測は的中していた”やっぱりか”
といった表情を浮かべにこやかに問いかけた
「何かあったのかいゾフィ?」
先程までのダンマリを決め込んでいた
少女がその反動なのか
せきを切った様にしゃべり始めた
「何かじゃないわよ!?
まずフレイムだけど、あの子が
悪い子じゃないってのはわかるわ
凄く真っ直ぐでアクアの事を本当に
尊敬しているのがわかる・・・
でも熱苦しいのよ!?
何でもかんでも熱く語って
”熱血だ、根性だ、気合いだ‼”って
そして最後には必ず
”アクア殿がいかに強かったか”と
”自分とアクア殿の戦いがいかに凄かったか”
って話を毎回延々と話すのよ!?
一日で20回ぐらい聞かされたわ!?」
それを聞いて苦笑いのアクア
「あとフロストドラゴンだけど
あの子はフレイムと真逆で
とにかく物静かで冷静なのはいいけど
私が何か聞いたり話しかけたりすると
”それはどういった思考的論理
に基づいた発言なのか?”とか
”その質問にどういった意図があり
何を持ってそれに対する適切な回答と
するかが懐疑的である以上軽軽な返答
は致しかねる”とか・・・
もう頭がおかしくなりそうよ!?」
あまりに予想通りの展開に苦笑するしかないアクア
そんなアクアの態度に関係なくゾフィの話は続いた
「あとダークネスは本当に
無口っていうか無愛想で
私が話しかけても露骨に
面倒臭そうにするのよ!?
目つきや態度でわかるけど
あの子、絶対私の事嫌いよね!?
ドラゴンにとって人間なんか
弱くて頭の悪い生き物だって
認識がある事はわかってたけど
みんなちゃんと話せば
わかってくれるのに・・・
あの子だけは何であんなに
態度悪いのよ!?」
ハァハァと息を切らせながら
興奮気味にまくしたてるゾフィ
元々アクアは他のドラゴンとゾフィを会わせる気は無かった
先日ゾフィから”友達を紹介してくれ”と頼まれた時
散々躊躇し”やめた方が良い”と何度も忠告していた
しかしゾフィが”大丈夫だよ、話せばみんな友達になれるよ”という
言葉に押し切られ、渋々引き受けた結果がこれである
その時アクアはふと何かを思い出したかのように問いかけた
「そういえば最後のトルネードドラゴンは
どうだった?あいつは社交的だし
明るくて面白いはずだったが!?」
その問い掛けにジト目でアクアを見つめた後
深くため息をつくゾフィ
「トルネードね・・・
あの子は確かに気さくだし面白い
のは認めるわ、でもあの子とまともに
話すのは無理よ・・・」
「何か問題があったのかい?」
その質問にゾフィはキッと睨むように見つめる
竜王でさえ一瞬ギクリとしたその眼差しが
ゾフィの気持ちを代弁していた
そしてゾフィは思いの丈をぶちまけた
「何か問題があったかですって!?
あの子はとにかく一方的に
喋りまくって全く私の話を
聞いてくれないのよ!?
ていうか話を挟む隙が無いっていうか
あの子の言い分はこんな話だったのよ!?
”嬢ちゃんえらい力持ってるらしいやんか!?
是非ワテにもそれ使うてくれへんか?
もしワテの願いを聞いてくれるなら
あんさんが欲しいだけ何ぼでも出すさかいに
でも勘違いせんといてや、出すいうても
口から炎や風を出す訳やおまへんで!?
ちょいちょい、今ツッコミ所やんか!?
ホンマに反応悪いで自分、会話は戦いやで
笑いちゅうもんを全然判ってへんな~
そもそも笑いとはやな・・・”
何て話をずっとされながら説教されて
”天丼”はどうだの”つかみ”が重要だの
”ノリツッコミ”とは・・・だの訳のわからない
講義を聞かされてもう気が狂いそうだったわ・・・」
ゾフィは両手で頭を抱えながら
心底疲れ切った表情を浮かべていた
”だからあれ程止めておけと言ったじゃないか・・・”
という言葉を飲み込み、憔悴しきっている
ゾフィを優しくなだめるアクア
「それはすまなかったね・・・
あいつらには私からよく言っておく」
その言葉に対し首を大きく振るゾフィ
「それはいいわアクア・・・
私があなたに無理に頼んだのだもの
私自身の力で何とかしてみせるわ
でもやっぱり貴方が一番よアクア!?」
にこやかにほほ笑む少女の笑顔に
どこか救われる気持ちになる竜王だった。
森の中でそんな会話がおこなわれているとは露知らず
ライドン家の館では連日続く会議がおこなわれる直前だった
会議の部屋にはライドン家の重鎮達がすでに座って
待っており当主であるドライルを待っていた
ドライルが部屋に入ろうとした時
屋敷内の廊下で女中たちが慌てながらウロウロしているのが目に入った
見慣れた光景に思わずため息をつくドライル
「何をあわてておるのだ?」
ドライルの問い掛けにビクッと反応しながら
非常に言いづらそうに答える女中たち
「ご当主様・・・申し訳ありません
今日も姫巫女様の姿が見えませぬ
屋敷の中やこの付近などを
探してはいるのですが・・・」
半ば呆れ気味に首を振るドライル
「ゾフィにも困ったものだな・・・
わかった娘には今晩にでもよく
言って聞かせる、お主達も今後
アレから目を放すな、よいな!?」
「はっ、申し訳ありません‼」
数人の女中が深々と頭を下げる
『あの子は変に頭が回るところがあるからな
こんな事でちゃんと”姫巫女”としての役目を
果たせるのだろうか?』
そんな事を思いながらドライルは会議の部屋に入って行った
会議は連日おこなわれていたが議題はたった一つ
”当主であるドライル自身が魔王討伐に行くべきか?”の一点だった
もう自分自身が行くしかないと考えているドライルと
それに猛反対の重鎮達、会議は延々と続いたが話は平行線のまま
何時間も過ぎて行った、結局この日も話がまとまる事は無く
結論は先送りにされた、皆が会議を終え屋敷を出た頃
屋敷の裏口の扉が静かに開きそっと顔を出すゾフィ
左右を見渡し誰もいない事を確認すると音を立てないように
静かに屋敷に入り自分の部屋に戻ろうとした、その時である
「こんな時間までどこに
行っていたんだゾフィ!?」
思わずビクッと首をすくめ、恐る恐る声のあった後ろを振り向いてみると
腕組みをしながら仁王立ちしている父ドライルの姿があった
「あっ!?父上、会議は終ったのですか?」
その問い掛けにも無言で睨みつけているドライル
ゾフィにとって無限とも思える重苦しい沈黙がのしかかる
空気に耐え切れなくなって思わず逃げ出そうとした瞬間
着物の首元を掴まれぐっと引き寄せられた
「あ、あの父上・・・ごめんなさいです」
「ゾフィ、お前はライドン家の命運を握る
”姫巫女”なのだぞ、その自覚が
あまりに足りぬ、明日からは
勉強以外の自由時間も外出を禁ずる‼」
有無を言わせぬその口調と態度に絶望的な表情を見せるゾフィ
「そ、そんな!?待ってください父上
ちゃんと勉強しますから
お願いでございまする、父上~‼」
娘の切なる願いも一切聞く耳を持たず立ち去るドライル
次の日からゾフィには四六時中監視が付き外出する事が
出来なくなってしまった、ようやくできた友達に
会えない事が悲しくて、何とか外出できるようにと
毎日のように懇願したがどれほど泣いて頼んでも
父であるドライルの外出許可は出なかった
毎晩泣いているゾフィの姿を不憫に思った女中からも
”少しぐらいならば外出させてやってくださいませぬか?”
という嘆願にも全く耳を貸さなかった
ライドン家当主としての責任感と今現在の追い詰められている状況で
ドライル自身全く余裕が無くなってしまっていたのだ
そして今日もライドン家の館では会議がおこなわれていた
結論の出ない話し合いが延々と続きどこまでも平行線の話に
全員がウンザリし始めていた
その時である、ドタドタと慌ただしく廊下を走る音が聞こえ
一人の若者が息を切らせながら会議の部屋の襖を乱暴に開けた
「大変でございます、村の結界が破られ
魔族共が侵入し村の人々を襲っております‼」
「何だと、まことかそれは!?」
会議の部屋にいた全員が立ち上がり緊張感が走る
目を閉じ考え込んでていたドライルが両目を大きく見開き
皆を鼓舞するかのように当主として指示を出した
「村の民を守るぞ、ここにいる者達は私に続け‼
ガジュベル、召喚魔術を使える者達を全員集め
チームとして魔族を撃退せよと伝えよ指揮は
お主に任せる、屋敷の女中共と村の女子供を
この屋敷に避難させるように誘導せよ
ここは専用の結界が張ってあるから
早々破られはせん、あと絶対にゾフィを
外に出さずここで守り抜け、よいな!?
行くぞ皆の衆、今こそ魔族共に
我らライドン一族の誇りを見せる時ぞ‼」
「おおおぉぉぉーーー‼」
当主ライドン・ドライルの号令に一斉に奮い立つ一同
足早に館を後にし村へと走って行った
ドライル達が村に着くと、そこには信じられないような
光景が広がっていた
昨日まで平和そのものだった村が魔族達の襲撃により
あちこちで火の手が上がっており
村人の泣き叫ぶ悲鳴が所々から聞こえた
元々魔族の存在も知らない者が大半のこの村では
村人たちは半狂乱の状態で正にパニックになっていた
村の所々で村人の無残に変わり果てた死体が転がり
残された子供が母親の死体の横で泣き叫んでいた
鎌や鍬で果敢に魔族に向かっていく者もいたが
あっさりと返り討ちに合い、なぶりものにされていた
魔族どもに遊び半分に手足を引きちぎられたり
内臓を引きずり出されておもちゃにされていたのだ
「何という事だ・・・」
地獄絵図ともいえる光景を前にドライルを始め
ライドン一族の者達が信じられないといった表情で
この惨劇の後を茫然と見ていた、しかしドライルは
ライドン家当主として気を取り直し号令を下す
「まだ生きている者も大勢いるはず
呆けている場合ではない、我々が守るんだ
魔族どもを一匹残らず蹴散らすぞ‼」
そう言い放ち両手を高々と上げた
「汝が主ライドン・ドライルの呼びかけに応えよ
来いジャベリンタイガー‼」
ドライルの頭上に大きな魔法陣が発生しそこから
巨大な虎が現れた、体長5m程のその大きな虎は
額から出ているユニコーンの様な角が特徴的な
強力な魔獣である
「行けジャベリンタイガー、村人を襲っている
魔族どもを蹴散らせ‼」
”グオォォォーー‼”という咆哮と共に
魔族に向かって走り出すジャベリンタイガー
巨体に似合わないその俊敏さであっという間に
目標にたどり着くとその強力な戦闘力で次々と
魔族達を蹴散らしていった、一方的に蹂躙していた
魔族達は意表を突かれ慌てふためいた
「やれる、やれるぞ!?」
魔族との戦闘経験が少ない一族の者達は最初
”本当に魔族と戦えるのか?”と不安だったのだが
ドライルの使役するジャベリンタイガーの雄姿を見て
奮い立ったのだ、召喚魔術師による召喚魔獣が次々と現れ
魔族どもに襲い掛かり蹴散らしていく
力量の足りない召喚魔術師たちはやや苦戦したものの
ドライルやガジュベルらのベテラン勢に助けられ
約一時間後には村を襲っていた魔族達をほぼ撃退した
「ご当主、どうやら魔族はほぼ
全て撃退できたようですな!?」
「そうだなガジュベル
それ程強い魔族がいなくて
助かったが、何にせよ皆ご苦労だったな」
皆に一瞬安堵の空気が訪れた、その時
皆を蔑むような甲高い声が一同の耳に聞こえてきたのだ
「残念でした~そんなにうまくいかないのが
現実なのですよ、ヒッヒッヒ~」
ドライル達をあざ笑うかのようなその不気味な声が
一体どこから聞こえて来ているのか全くわからず
不安げな表情で辺りをキョロキョロ見回す一同であった。
その頃ライドン家の屋敷では大騒ぎになっていた
今までここらに住んでいる住人達は
ライドン家の魔獣による強力な結界で守られていた為に
戦いとは無縁の平和な暮らしに慣れていて
こんな事態になる事は想像もしていなかったのである
「早く、早く屋敷内へ避難してください‼」
逃げて来た人たちを誘導するように数人の女中たちが叫んでいる
魔族の襲撃から何とか逃れ、村から避難してきた人たちが
次々と屋敷に向かって走って来る
「どうしましょう?
これほどの人数となると
屋敷に入りきれるかしら!?」
女中たちが不安げに顔を見合わせる
ドライル達のおかげで全滅を免れた村人たちが
どんどん押し寄せてきて屋敷中の部屋がいっぱいに
なって来たからである、いくら広い屋敷といえど
避難民全員が入るには広さ的にやや不安になって来たのだ
「仕方がありません子供の避難民は
姫巫女様と同じ部屋に
避難してもらいましょう」
女中頭の老女が決断を下した、ゾフィは今保護の為に
密室の様な所に閉じ込められていた
そして外の状況を何も知らされてい無い為
一体何が起こっているのか、全く判らない状態だったのだ
しかし外は明らかに尋常じゃない程騒がしく
色々なところから怒鳴り声や叫び声も聞こえてきた
「一体何が起こっているの?
この村に何が起こったの!?」
不安を感じながらも部屋の鍵が外からかかっていて
全く出られないゾフィにはどうする事も出来なかった
その時、ガチャリと部屋の鍵が開く音がして
扉が空くと女中頭の老女が顔を出した
「ばあや、今一体何が起こっているの?
この騒ぎは何がどうなっているの!?」
その質問にゆっくりと首を振る老女
「姫巫女様は何も心配する事ではございません
ここに子供の避難民を連れて来ました
まだまだ来ると思いますから決して
外には出ないでくださいね」
微笑むように答えた女中頭だったが
今どうなっているかの状況説明は一切してくれなかった
そして女中頭の答えが帰って来ないまま
数人の子供たちが部屋に入って来た
「絶対にここでおとなしくしていて
くださいね姫巫女様」
そう念を押すと再び扉は締まり外から
ガチャリと鍵を閉める音が聞こえた
部屋に入って来た子供たちは皆
ゾフィと同い年か下の子供ばかりだったが
全員泣いていてその鳴き声が部屋の中で合唱となり
響き渡った、ゾフィは避難民の中でも一番年下そうな
小さな女の子の両腕を掴み質問した
「ねえ、一体外で何があったの!?」
ワアワア泣いている女の子の腕を掴みながら揺さぶる様に
問いただしたがマトモな答えは返って来なかった
「わぁぁ~~お母さんが~お母さんが~
死んじゃった~わぁぁぁ~」
周りを見てみるとここにいる子供たちは皆母親の名を呼んでいた
「どうやら村で何かあって、この子達の親が
何者かに襲われているみたいね!?」
少し考え込んだゾフィは隣の
同い年くらいの女の子の腕を掴み声をかけた
「あなたその服を貸しなさい
私の服と交換して‼」
その子も泣きじゃくっていたがゾフィによって
無理やり服を脱がされるようなことは無く
ゆっくりだが泣きながら上着を脱ぎ始めた、村の人間は子供の時から
”姫巫女様にはとにかく失礼の無いように接しなさい”と
徹底的に教育されている、だからゾフィのいう事には絶対逆らわないのだ
だからこそゾフィは村の子供とは友達にはなれなかったのだが
この際はそれが幸いした
服を変えたゾフィは扉の近くで息をひそめて待っていた
『ばあやはまだまだ来ると言っていた・・・
ならばこの扉はまた開くはず!?』
そう思い、しばらくジッと身を屈めながら待っていた
するとゾフィの読み通り、外から鍵を外す音がして再び扉が空いた
その瞬間女中頭の脇を抜けて一目散に走りだすゾフィ
「あなたどこに行くの!?戻ってきなさい‼」
数人の女中が声をかけて呼び止めたが
すでに他人の服を着た後ろ姿しか見えなくなっているゾフィは
女中達には他の村の子供に見えていたのである
ゾフィの読み通り、女中達は声はかけて来たが
執拗に追いかけて来る事は無かった
「何とか脱出は成功したけど
村で何が起こっているのかを
確かめないとね・・・」
そうつぶやくと再び村へと走り出した
村では不気味な声の正体が判明し一同が驚いていた
その相手が体長60㎝程の小さな魔族だったからだ
「何だ貴様は!?いくら我らでも魔族の子供まで
手にかけようとは思っておらん、早々に立ち去れ‼」
ライドン一族の一人が小さな魔族に向かって蔑むような態度で
そう言い放った、その小さな体を見て倒す価値も無い小物
と判断したのだった、その時その魔族の目が怪しく光り
目にも止まらぬスピードでこちらに向かって飛んだ
それはまるで一陣の風の様だった、誰も動く事すらできず
一瞬そこにいる全員が魔族の姿を見失い
皆の顔の横を風が通り抜けて行った
ドライルを始め皆何が起きたのかわからず茫然としていたが
ハッと我に返り後ろを振り向くとその小さな魔族は空中でフワフワ浮き
血まみれの手をペロペロなめながら下卑た声で高らかに笑っていた
ふと横を見ると先程小さな魔族に声をかけた一族の男の首が
ポトリと地面に落ち、首の無くなった胴体が
大量の血を噴き出しながら力なくどさりと崩れ落ちた
「ヒーヒッヒッヒ、私はこれでも魔王軍幹部
ビジャモという、此度は魔王様直々に
命を受けそち達を全滅させに来た
精々絶望しながら死んで行け」
嬉しそうに笑う魔王軍幹部ビジャモ
しかし魔王軍幹部と名乗るその小さな魔族に対して
強気で反論するガジュベル
「いくらおまえが魔王軍幹部で
凄まじく速かろうと、たった一匹で
我々を殺せると思っているのか!?
他の魔族は我らが退治したのだぞ!?」
その言葉に対しさらに高笑いをするビジャモ
「ヒーッヒッヒー馬鹿な人間共よ
さっきの魔族共は単なる斥候部隊に過ぎん
本体はもうじき到着するわ・・・
そら来た、北と南の方角を
その目でジックリ見てみよ!?」
「まさか・・・」
ビジャモの言葉を聞き慌てて北を向くドライル
すると山のある北の方角の空にポツポツと黒い点がいくつも
見えた、それが徐々に増えていき空一面を覆い尽くす程の
大軍だとわかるまでにそう時間はかからなかった
「何だあの大軍は!?・・・
あんなのに勝てる訳が・・・」
ライドン一族の一人が北の空を見上げながら絶望的な声をあげた
背中に蝙蝠の様な羽をはやした魔族の大軍が
どんどん近づいて来たのだ
その時ドライルの後ろにいた男が叫んだ
「あああぁぁぁぁ~~~‼」
その声に慌てて振り向くと、叫んだ男は南の方角の海を指さし
震えながら叫んでいて言葉が出ない様子だった
ドライル達が海を見てみると巨大な魔族8匹を含む大量の魔族が
海を覆い尽くさんとばかりにこちらへ向かって来ていたのだ
体長30mはあるかと思われる巨大な人型の魔族8匹が
海底をゆっくり歩いているかのような仕草で近づいて来くる
その周りを大きな黒い目に魚の様な鱗に覆われた魔族が
海を埋め尽くす程の数で押し寄せて来ていたのだ
「もう・・・もうダメだ・・・」
ライドン一族の若い男が膝から崩れ落ち、思わずそうつぶやいた
あまりの絶望的な状況にさすがのドライルも言葉が出なかった
「ヒーヒッヒッヒ、いいねいいね~
その絶望感に満ちた表情最高だ
精々悪あがきして楽しませてくれよ
ただし言っておくが
楽に死ねるとは思うなよ~
散々いたぶりながら殺してやるからな
そして最後は自分から
”お願いしますからどうか殺してください”
というまで苦しめて苦しめて
殺してやるからな~~
楽しみだ~楽しみだ~!?」
楽しくて仕方がないとばかりに空中で
両手両足をバタつかせながらはしゃぐビジャモ
その時である
「父上ーー‼」
その声に思わず振り向くドライル、するとそこには
息を切らせたゾフィが立っていた
ドライルの顔から一瞬で血の気が引く
「馬鹿!?なぜここに来た
早く屋敷へ帰りなさい‼」
凄い形相で怒鳴りつける父の鬼気迫る態度に思わずたじろぐゾフィ
そのやり取りを見て、益々嬉しそうな魔王軍幹部ビジャモ
「ヒーヒッヒ、なんだお前の子供か?
そうだいい事を思いついたぞ~
親の前で子供を殺すほど
面白い事は無いからな~
まずはその小娘から殺すとするか!?」
ドライルは思わずゾフィに駆け寄り腕を掴む
「皆の者、我ら全員が犠牲になっても
この子だけは絶対に逃がすぞ!?
何としてでもこの子だけは屋敷に・・・」
思い詰めた表情で周りを見渡すドライルだが
その時ガジュベルが近づきそっとつぶやいた
「ご当主、あれ程の大軍の前では屋敷の結界も
とても持ちません・・・
例え姫巫女様を屋敷に逃がせたとしても・・・」
ガジュベルに言われるまでも無く
そんな事はドライルにもわかっていた、しかし
ワラにもすがる思いでどうにか娘を逃がそうと
必死に考えていたのだ
「ヒーッヒッヒ、最高だ最高だよ
その表情、魔王様もお喜びになるだろうて」
悲壮感溢れるライドン家当主の顔を見て大喜びのビジャモ
ドライルはゾフィを抱きしめ震える声でつぶやいた
「すまぬゾフィ、私がふがいないばかりに
お前だけでも逃がしてやりたいと
思っていたのだが・・・
こんな情けない父を許してくれ・・・」
ドライルが娘を抱き締め震えながら泣いていた
どんなときにも涙など見せた事が無かった
父が大粒の涙を流しながら泣いていたのだ
そういう間にも魔族の大軍はどんどん迫って来ていた
圧倒的な絶望感にさらされ、死を覚悟した今
ドライルは一族の当主では無く一人の父として
娘の前で素顔をさらしていた、そんな父を見て
自然と涙がこぼれ落ちるゾフィ その時である
『我の名を呼べ・・・』
ゾフィの頭に声が響いた、最初は気のせいかと思い
キョロキョロと辺りを見回す、すると再び
『我を呼び出せゾフィ、我の名を呼べ・・・』
何かに気が付いたように問いかけるゾフィ
「アクア?アクアなの?」
『そうだゾフィ、我の名を呼べ‼』
そしてゾフィは右手で涙をぬぐい
両手を天に掲げ大声で叫んだ
「汝が主ライドン・ゾフィの呼びかけに応えよ
来て~アクアーーーー‼」
その瞬間ゾフィの頭上に巨大な魔方陣が現れ
そこからゆっくりと顔を出す青きドラゴン
その表情はいつもゾフィに微笑みかける優しげなものでは無く
ギラギラと怒りに満ち溢れていた
その鋭い眼光は凄まじい殺気を放ち
気の弱い者ならば視線だけで殺せるのではないか!?
と思える程であった
「アクア、来てくれたんだ!?」
「当たり前だろゾフィ、私はお前の友達だ」
あまりに突然のドラゴンの出現にビジャモはもちろんの事
ドライル達まで一体何が起こっているのか
全く理解できず茫然と見つめているだけだった
アクアは北と南を見渡しゾフィにそっと告げた
「取るに足らんザコ共の様だが
いかんせん数が多いな、殲滅するだけなら
容易いのだが、後ろの人間共も
守らなければならないのだろう?
もしかすると私だけでは守りきれない
かもしれぬ、もう一頭呼ぶがよい」
「そう、じゃあ・・・フレイムにしよっかな!?」
アクアはニコリと笑いうなづく
「いい選択だゾフィ」
ゾフィは嬉しそうに微笑むと再び両手を上げ叫ぶ
「汝が主 ライドン・ゾフィの呼びかけに応えよ
来て フレイム ドラゴン‼」
再びゾフィの頭上に巨大な魔方陣が現れ
中から巨大な赤い龍が姿を現した
アクアに負けず劣らずの鋭い眼光
巨大な翼と強力な爪は一見して
その強大さを物語っていた
吐く息からは炎が漏れ出していて
今にも全てを焼き尽くそうかという勢いであった
「我をお呼びかゾフィ殿
ムムッ、これはアクア殿も
一緒であったか!?
一体何事で・・・」
フレイムは周りの状況を一目見て理解したようであった
「なるほど・・・
このようなゴミ虫どもが
我らがゾフィ殿に歯向かおうと!?
何と愚かな・・・
その罪万死に値する
一匹残らず消し炭に変えても
よろしいんですよねアクア殿!?」
アクアは珍しく低い声で一言つぶやいた
「ああ、塵も残すな、身の程も知らずに
ゾフィを害そうなどというバカ共は
この世に肉片一つ残す事も許さん
わかるな!?」
嬉しそうに目をギラつかせてうなづくフレイム
アクアと共に戦えることも嬉しくて
はしゃいでいる様にすら見えた
「いくらドラゴンといえど
これほどの数の魔族相手に
勝てるものか!?
人間共と一緒に死ね‼」
ビジャモが不安を振り払うかのように叫んだ
「そんな事無いもん、アクアとフレイムは
すっごく強いんだから‼」
ゾフィが精いっぱいの声でそう叫んだ
それを聞いてアクアとフレイムが顔を見合わせ微笑んだ
「では早速やるか・・・」
最初に仕掛けたのはフレイムだった
その大きな口を目一杯広げると
口の前に青白い火の玉が発生した
そしてそれは急速に熱量を増大させながら巨大化していく
火の玉の周りには無数の炎の粒子が付きまとい
まるで夜の蛍の様に幻想的に揺らめいていた
巨大化した火の玉はフレイムの体と同じくらいまで膨らむと
凄まじい速さで放たれた、それは目にも止まらぬというより
まるで瞬間移動したかのような速度で目標に向かい
山の付近で大爆発を起こすと空一面覆っていた魔族の群れに
ポッカリと大穴が空いた、そして巨大な火の玉が直撃した山は
すでに跡形も無く消滅していた
「さすがにこれだけの数がいると
今の一発で全滅という訳には
いかないようだな」
フレイムは再び口を空け今度はファイヤーブレスで
空一面に炎をまき散らした、ドラゴンの口から吐き出された
強烈な爆炎により北の空が炎のカーテンで真っ赤に染まる
それは夕焼けのような綺麗なオレンジ色では無く、正真正銘
真っ赤な絵の具で空というキャンバスを塗り染めた様な光景だった
「ギャァァァ~~~~」
地獄の業火にも匹敵するかのような爆炎に包まれ
悲痛な断末魔と共に次々と消し飛んでいく魔族達
無数の叫び声が赤い空に響き渡った後
炎の赤いカーテンが幕を引き通常の空の色が戻った時
上空に残っている魔族はすでに一匹もいなかった
「やるのうフレイム
私も負けてはいられんな」
アクアがそうつぶやいた、しかしアクアは余裕綽々だった
理由は至って簡単で敵が海から迫って来ていたからである
「我を相手に海から来るなど
どうぞ殺してくださいと
言っている様なモノだ
全く愚かな・・・」
そう言うとアクアは両方の翼を広げ天に向かって咆哮した
すると先ほどまで穏やかだった波が急に荒れ始め水面が大きく
波打ち始める、突然嵐の様に荒れ狂う海に魔族達は戸惑うが
そんな魔族達の意向など関係ないと言わんばかりに
いつの間にか海面上には三つの巨大竜巻が発生していた
轟音を立てながらあるモノ全てを巻き上げていくかの如き勢いで
荒れ狂う巨大竜巻、それはまるで意思をもっているかのような
動きで魔族達を次々と飲み込んでいった
その壮観なまでの大きさは全長200mほどあり
巨大人型魔族がまるで小人に見える程のスケールであった
圧倒的暴力とでもいうべき巨大竜巻が次々と魔族の巨人に襲い掛かる
何とか耐えようと懸命に踏ん張る魔族達だったが
必死の抵抗もむなしくあっという間に8匹全て飲み込まれてしまう
巨大人型魔族、すると竜巻はさらに回転数を上げ
そのまま天に高々と昇って行って消滅した、しかし巨人型の魔族の姿は
どこにも見当たらず大半の魔族と巨人型の魔族8匹は一瞬にして
消し飛んだ
「まだ少しだけ残っているか
全く面倒をかけおって
下等生物が・・・」
そうつぶやいたアクアの目がキラリと光った
すると水面から数十本の水柱が上がり
それがスクリュー状の水のドリルとなって次々と魔族を貫いて行く
「ピギャァァ~~~‼」
体を貫かれた魔族が断末魔と共に次々と死んでいく
しかしアクアの攻撃はそれだけでは終わらなかった
恐らくはすでに死んでいるであろう魔族の体を
次々と水のドリルが貫いて行く、ありとあらゆる方向や
角度から何度も何度も貫いて行く水のスクリュー
そして魔族の体の細かい肉片の一片までも
消滅するまでそれは続けられた
魔王軍幹部ビジャモは唖然としてその光景を見つめていた
空と海を覆い尽くす程の魔族の大軍があっという間に
二頭のドラゴンによって見るも無残に蹴散らされてしまったからだ
そしてその光景を茫然と見つめているドライルとライドン一族の者達
まだ誰一人として状況を把握できている者はいなかったからだ
その時一人の若い男がボソリとつぶやいた
「”神に愛されし至高の召喚魔術師”・・・」
その言葉にガジュベルが”あっ!?”と叫びドライルの方を見た
ドライルは誰にも聞こえないような小声で思わずつぶやいた
「一族滅亡の危機に瀕した時、
その者は現れる 青き龍と赤き龍を率いて
万の敵を討ち滅ぼす・・・
ゾフィ・・・お前が!?」
信じられない思いをしていたのはビジャモも同じであった
しかもこちらは勝ちを確信していた場面から大惨敗をしたのである
「馬鹿な、あり得ない・・・
あり得ないぞ!?
何と言って魔王様に
顔向けすれば・・・
おのれ、おのれ~
忌々しいドラゴンめー‼」
ビジャモはそう叫びながらアクアに突撃していった
先程見せたよりもっと凄まじいスピードで
全身全霊の力を込めて斬りつけたのだ
”キーーン”
何かに弾かれる乾いた音が鳴り響く、ビジャモの
渾身の一撃をもってしてもアクアの体には
かすり傷一つつける事はできなかったのだ
巨大なドラゴンの体を間近で見上げながら
恨めしそうに叫ぶビジャモ
「貴様らは何のつもりで人間などに
加担しているのだ!?
ドラゴンと言えば気位が高く
誰にの下にもつかないというのが
普通だろうが、なぜそんな
人間の小娘に従っているのだ
答えろこの・・・ブギュ!?」
ビジャモはしゃべっている途中でアクアに踏み潰されたのだ
冷徹な視線を向け何事も無かったかのように振る舞うアクア
「低俗な魔族風情が・・・
我と対等に口を聞こうなど
身の程を知れ、ゴミ虫が・・・」
あくまで無感情で言い放つ青き竜王
そしてクリストフ村を襲った魔族の大軍による襲撃は
ドラゴン二頭によって全滅しここに終結した。
戦いが終りアクアとフレイムを引きつれゾフィが皆の元へ帰って来た
二頭のドラゴンの前でドライルを始め
一族全ての人間が地に頭をこすり付けるように平伏していた
「此度は我が一族の為に
御助力大変感謝しております
つきましては我が一族をあげ
どのようなお望みも叶える努力を
いたしますのでなにとぞ・・・」
地面に額を付ける程平伏しているドライルと一族達
「頭を上げてくだされドライル殿」
そんなアクアの言葉に驚き飛び跳ねるように顔を上げたドライル
あまりの驚きで目を丸くしてつぶやいた
「ドラゴンが喋った・・・
ドラゴンにとって下等種族である
人間相手にドラゴンが・・・」
あんぐりと口を空け驚きを隠せないドライル
「アクアはよくしゃべるんだよ父上
私とはいつも喋っているんだから」
ニコニコしながらアクアの首を撫でまわすゾフィ
アクアは首を下げドライルと同じ目線まで顔を低くすると
静かに話しかけた
「ドライル殿、申し遅れましたが
私の名はアクアドラゴン、
ドラゴン族の長であり竜王の称号を
持っている者です、そして
ゾフィ殿に従属を誓うモノであります」
あまりの展開に頭が付いていけないドライル
「ドラゴンの長?竜王?そんな凄いドラゴンが
ゾフィに従属!?なんで?」
声は裏返り、目は点になっていて
もはや滑稽な程仰天しているドライル
その父とアクアのやり取りを見て
ゾフィが不思議そうな顔でアクアに問いかけた
「ねえアクア、従属ってなあに?」
「ん?従属というのは貴方の僕として
ずっと従いますよ という意味だよゾフィ」
優しく答えたアクアだが、すぐにハッと気が付いた
「アクア~!?何度言ったら判るのよ‼
貴方は友達でしょ、いい加減にしないと
わたし今度こそ怒るわよ‼」
「いやすまないゾフィ
でも怒るわよって・・・
もう怒っているじゃないか!?」
「何言い訳しているのよ!?
貴方はあれだけ頭がいいのに
なんで約束を守れないの!?
私のいう事なんかどうでもいいと
思っているんでしょ!?」
「そんな訳ないだろゾフィ
私が悪かった、謝るから
許してくれ・・・」
怒るゾフィをなだめるアクア
フレイムにとってはもはや見慣れた光景だが
ドライルにとってはもはや完全に理解できる
許容をオーバーしてしまい、思考が完全に停止してしまっていた
そんなドライルにふとアクアが話しかけた
「父上殿、実はゾフィは召喚魔術が
習いたいとの事なのだ
今までは私が教えていたのだが
本当は父君から習いたいと思っている様です
彼女に教えてやってはくれまいか?
見ての通り素質的な事は私とフレイム
そして後三頭のドラゴンが保障します」
アクアの提案に顔を赤くするゾフィ
「ちょっとアクア何言ってるのよ
一族の掟で、女の私は父上からは・・・」
その時ようやく我に返り微笑みを浮かべるドライル
「開祖様の預言した人物に私が教えることなど
あるのか?・・・という気持ちもありますが
父として娘の為に私の知っていること全て
教えます、ゾフィ私の教えは厳しいぞ!?」
その言葉に涙目になりながら嬉しそうにうなづくゾフィ
「はい父上、よろしくお願いします
そして、ありがとうアクア
やっぱり貴方が大好きよ」
嬉しそうに笑い父に抱きつくゾフィ、それを暖かく見守るアクア
ライドン家の召喚魔術師としてゾフィの第一歩が始まった
そして月日がたちゾフィは18歳となり美しく成長した
父のドライルから
「もうお前に教える事は何もない
これからはお前が
ライドン家第十四代目当主だ
しかし同時にお前は姫巫女でもある
そして開祖様より預言された人物なのだ
ライドン家の長い歴史の中でも
そんな桁外れの人物などもちろんいない
だからこれからはお前の好きにしていい
掟に縛られる事無く自分の好きに生きるがよい」
そう言い残し父ドライルは魔王討伐のメンバー選出に加わり
帰って来なかった、これでライドン家の正統な血筋は
ゾフィだけとなり、これからどうするべきか
毎日考えていた、今日も森の中の湖の前で
その事をずっと考えていた
そしていつものように頭の中でアクアに相談していた
修行の成果もあるが何故かこの湖の前でだけは
召喚しなくてもアクアと会話ができるようになった
「ねえアクア、私思うんだけど
貴方達がいれば私一人で魔王だって
倒せないかな?」
『それは止めた方がいいなゾフィ
君の魔力が桁外れなのは私も良く
知っているが、それでも魔王が相手となると
魔力切れをおこす可能性がある』
「そうなの?でも随分弱気ね
アクアらしくもない」
『私は客観的に判断しているに過ぎない
そして万が一にも君を死なせる訳には
いかないからね』
「そっか・・・じゃあ
一緒に戦えるメンバーを
気長に待つしかないのかな?
でも貴方達と同等の力を
持っているメンバーなんて
本当にこの世の中にいるのかしら?」
『いるさ、しかもそう遠い話じゃ
ないんだよゾフィ・・・』
「えっ!?それどういう意味よアクア!?」
ゾフィの問い掛けに答えないアクア
どうやら会話が途切れてしまったようである
アクアとの会話が突然切れて少し不機嫌なゾフィだったが
”一人で考えてみるのもいいじゃないのか?”というアクアの
気遣いなのかも・・・と思い湖を眺めながら一人でいると
そこに見知らぬ人物が三人現れた、
それは若い男が一人、三十代半ばくらいの男が一人
そして十代前半にも見える少女が一人の三人だった
先頭の若い男が右手を差出して名乗った
「私の名はアドリアン・ルキア
そしてこちらがステイメン
こっちがフリニオーラです
私達は魔王を倒し人々に平和をもたらす為に
立ち上がりました、その為に貴方が必要なんです
是非貴方の力を貸してください」
その青年の真っ直ぐな目を見て、先程の
アクアの言った事を思い出した
”そう遠い話じゃないんだよゾフィ・・・”
『アクア・・・知っていたなら教えてよ全く・・・』
ゾフィは目を閉じ軽く微笑むと再び目を開き
ルキアの目を真っ直ぐ見て話し始めた
「力を貸してもいいけど・・・
それには一つ条件があるの、いいかしら?」
少し戸惑いながらも答えるルキア
「どんな条件かな?俺達にできる事なら・・・」
ゾフィは少し恥ずかしそうに笑いながら右手を差し出した
「私と友達になってよ」
今回でゾフィ編外伝は終了です、少し長くなってしまいましたが
二つに分けるより”一気にやってしまえ”と思い書きました
長く感じた方はスミマセン
本編の方は歴史的観点からも考えなければ
ならないので多少気を遣いながら書いているので
(それでも矛盾だらけなのはご容赦を・・・)
寧ろ完全フィクションで書いているこの外伝シリーズは自分的には
書きやすくお気に入りでもあります、メンバーの生い立ちから
性格を知ってもらうためになるべく早く全員分書きたい
と思っています、次の”美濃侵攻作戦”の後にも入れたいと
思っていまして、おそらくゼファー、ステイメン、ライオス、
ルキアの順番になると思うのですが・・・ルキアの話が
全然思いつかね~~~(笑)
他の三人はもうすでに考えてあるのですが、勇者って何!?
というところから考えてしまい、完全に迷宮に入り込んでしまって
動けない状態です(笑)
ルキアを書くまで本編を挟みつつ、まだ三人いるので
気長に考えたいと思います、勇者の生い立ちや勇者への
きっかけのヒントがある方はアドバイスとかいただけると
嬉しいです(笑)
今回言い訳っぽいあとがきを長々と書いてしまいましたが
どうかご容赦ください、では。




