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試練の奪還作戦

アドリアン・ルキア…伝説の聖剣”ブレイヴ・。ハート”を持つ勇者、人々の為に戦うという信念を持っている


ロット・ステイメン…主に回復や防御をおこなう僧侶、常に冷静沈着で戦術指示も出すチームの頭脳的な存在


ルース・ライオス…2m近い長身で屈強な戦士、一人で魔獣を倒したこともあり”魔獣殺し”の異名を持つ、兄貴肌な性格でチームの精神的支柱にもなっている


ギャレット・ゼファー…カードキャスターという珍しい職業だが非常に優秀、自分からチームに売り込みに来たが自分の事は話したがらない、いつも冗談を言って場を和ませるチームのムードメーカー


ライドン・ゾフィ…召喚魔術師の名門ライドン家の生き残りで五体ものドラゴンを操る事ができる凄腕、一族の間では”神に愛された至高の召喚魔術師”と言われていた


クルム・フリニオーラ…世界最強の魔法使いと言われたクルム・ハイドニールの弟子で師匠の仇である魔王を憎んでいた、史上最年少で”クルム”の名を継いだ天才魔法使い

米津常春…德川家康の家臣でルキア達のサポートをした

ルキア達は駿府の国境近くの街道の茶店に寄り


おいしそうな団子を頬張っていた


「おいしいわねコレ、甘さもちょうどいいし」


「確かにモチモチしていてこんな食べ物は始めてですね


 それにお茶に合います」


「串に刺さっていて食べやすいのはいいな


 これなら戦闘中でも食べられそうだ」


「相変わらずライオスは無粋だねぇ


 甘いものというのは女性と食べるから 


 おいしく感じるんだぜ!?」


「私的にはこんなおいしいモノは一人で食べたいです


 何と言っても箸を使わなくていいのが助かります」


そんな仲間を見ながら微笑むルキア


今回の”駿府城潜入人質奪還作戦”の為、駿府に来ている六人に


案内役として家康の家臣の一人米津常春が付き従って来ていたが


六人が猛烈な勢いで団子を食べている姿を見て呆気に取られていた


「米津殿、我々はこんな所でのんびり休息していても


 大丈夫なのですか?」


「ただここでゆるりとしているだけではござらんよルキア殿


 実はここに滞在しているのは理由がありましてな


 ある報告を待っているのでござる


 ここはその待ち合わせ場所でして・・・」


米津の言葉にステイメンが思わず反応する


「ある報告、それは一体何ですか?」


「実は駿府城には我々の息のかかった内通者がおりまして


 瀬名姫様と信康様がどこにいて、城の中の人数や配置などが


 どうなっているか?というような事が潜入前に判明すれば


 今回の作戦にお役にたてるのではないかと思いまして・・・」


皆の団子を食べている手が止まり一斉に米津常春の顔を見た


「それは有難いですね」


「事前にそこまでわかるならかなりスムーズに


 いくんじゃないかしら!?」


「確かに、かなり楽になるな」


メンバーがそんな事を話している時、米津常春は


何かソワソワしながら辺りをキョロキョロ見回していた


「米津殿、何か気になる事でもあるんですか!?」


ルキアに質問され一瞬ビクッとして言いづらそうに問いかけた


「いや気になると言いますか、皆さんの格好と目鼻立ちは


 我々とかなり違いますので相当目立つはずなのですが


 なぜ道行く人々があなた方に注目しないのか?


 と疑問に思いまして」


確かにルキア達の恰好は派手な鎧や純白のローブ、


黒いマントととんがり帽子などのかなり奇抜な衣装であり


目鼻立ちも日本人離れしている、ライオスなどは2m近い


身長でこの時代の人間からするととてつもなく大きいのだ


「あぁその件ですか、それはステイメンとフリニオーラの


 魔法とゼファーのカードによって対策しているからですよ


 道行く人々には気にならなず気が付かない効果の術を


 施してありますからね」


ルキアが種明かしをあっさりと言い放つが


その事を全く理解できない表情の米津


「では城の潜入などその術でも簡単にできるのでは?


 我々の手助けなど無意味でしたかな!?」


その問い掛けにゆっくり首を振るステイメン


「いえ、この術は周りの人々が我々をあまり意識せず


 注目していないからこそ効果があるのです


 これは我々の姿を相手の視界から消すのではなく


 相手の意識から薄めるだけの術なのですよ


 一応別人に見えるように偽装はしてはいますが


 近づきジッと見られるとすぐにバレる程度のモノなんです


 もし城の中に見知らぬ人間が入って来て不審にウロウロ


 していたら気にしない者はいないでしょう?」


”なるほど”と小さくうなづき納得する米津


しかし完全に理解できたはずもなく


”そういうものなのだろう”と無理やり自分に納得させた


その時、風呂敷包みの大きな荷物を背負った商人風の男が


茶屋に入って来ると荷物を降ろしスッと米津の後ろに座る


そして顔の向きも変えず米津に小声で話しかけてきた


「米津さま、駿府城の警備は普段通りのようです


 瀬名姫様と信康さまは本丸の五階に


 おられるようです」


米津が軽くうなづくと商人風の男は何も注文せず


そそくさと茶屋を出て行った、その男の背中を見送った後


米津はクルリと振り向き真剣な表情でメンバーに告げた


「皆様、当初の予測通り瀬名姫様と信康さまは


 本丸五階におられるようです、特別な警戒も無いようですし


 計画通り進めていただいて大丈夫との事です


 そうはいっても何が起こるかはわかりませんので


 どうかお気をつけあれ、奥方様と若君の事


 くれぐれもお頼み申す、では拙者はこれにて御免」


深々と頭を下げ茶屋を後にする米津常春


ここまで道先案内をしてくれた米津常春と別れを告げ


ルキア達は計画の開始時刻である夜を待った


深夜になり辺りが黒く闇に染まると駿府の城に近づく


ルキア達がいた、少し離れた所から


駿府城を見上げるメンバー達


「みんな心の準備はいいな、各自の役割を果たすのは


 勿論だが無理をせず何かあったら俺を呼んでくれ


 そのための予備兵力なんだからな」


ルキアの言葉に皆がうなづく、しかしその時ライオスが


急に険しい顔をして皆に話しかけた


「ちょっと待ってくれ、何かおかしい・・・


 具体的には言えないんだが


 とてつもなく嫌な予感がするんだ」


皆の表情が強張り緊張が走る、それも当然で


幾多の命がけの戦いを勝ち抜いてきたライオスの勘が


そう告げる時はその通りになる事が多い


「でたでた、今回もライオスの野生の勘ですか!?


 そんな根拠のないモノに振り回されるのは


 御免だぜ・・・と言いたいところだが


 あの城からはとんでもない殺気を感じる


 ルキア、この作戦はヤバいぜ!?」


ライオスの意見に珍しくゼファーも賛同した


この二人は性格も考え方も違う為に意見が合わない事が多い


のだが、その二人が揃って危険を告げているという事は


かなり信憑性があるという事だ


「どうしますかルキア、今回は引き返しますか?」


ステイメンの問い掛けにしばらく考えるルキア


「いや、米津殿にまであれこれ骨を折ってもらって


 ここまで来ておきながら


 ”何かわかりませんがヤバいと感じた為撤退しました”


 では家康公に申し訳が立たない、それに信長公にも


 我々との同盟に不信感を持たれる危険性がある


 せめて何が危険なのかを見極めてから撤退する


 事にしようと思うがみんなどうだろう!?」


そんなルキアの決断に迷う者はいなかった


「まあしょうがないわな、不利な戦い程俺は燃えるし


 ブチかましてやるか‼」


「ルキアの考えは正しいと思いますよ、今後の事を


 考えれば信長公や家康公と我々の関係に


 ヒビが入っても困りますからね」


「信長公は疑り深いと聞いた事があります


 ルキアさんの考えに従うのが良策だと思います」


「どれほど危険だと言っても魔王の城に乗り込むほど


 ではないだろ、救出対象は人妻だけど女性だしな


 いいんじゃないの!?」


「気乗りはしないけどやるしかなさそうね」


皆概ねルキアの意見に賛成してくれた


ルキアは大きくうなづくと


「じゃあ当初の予定通り敵の哨戒から始めるゾフィ頼む」


「OK任せて、じゃあ行くわよ‼」


ゾフィはそう言って両手を合わせると


大きく両手を広げる仕草を見せた


その掌からはキラキラとした無数の光が発生し


それはまるで蛍の群れの様にユラユラと


幻想的な動きで駿府城へと入っていった


目を閉じていたゾフィが目を開けると


少し驚いた仕草を見せた


「どうかしましたかゾフィ?」


「うん、ちょっとね・・・気のせいかもしれないけれど


 ネズミの数が思ったより少ないのよ・・・


 でもこの子たちを使って調べてみるわステイメン」


再びゾフィが目を閉じると一匹のネズミと


ゾフィの視界がリンクした、そのネズミは壁沿いに


素早く走り出しキョロキョロと辺りを見回した、その時


「あっ!?」


思わずゾフィが叫んだリンクしたネズミの目の前にいるのは


明らかにこちらを獲物として狙っている猫だった


急反転して逃げるネズミだったがその猫により


あっという間に捕えられてしまった、その瞬間ゾフィは


他のネズミに視界を移したが瀬名姫と信康の居ると思われる


場所に近づこうとするとすると待ち構えていたかのように


数匹の猫が現れ捕えられてしまうのだ


そのたび目を閉じながらもゾフィの表情が険しくなった


「一体何があったんですか、ゾフィ!?」


ゾフィはうつむきながらゆっくり目を開けると


ステイメンの方を向いて悲しげに話す


「私の言葉を聞いて協力してくれたネズミ達は


 次々と猫に捕えられちゃったの・・・どうして?


 何で城の中にあんな数の猫がいるのよ!?」


苛立ちながら吐き捨てるように言い放つゾフィ


ステイメンが口に手を当てボソリとつぶやく


「まさかとは思いましたが・・・」


ゼファーが両手を広げ首を振りながら呆れたように


「俺達の作戦が筒抜けになってるなこりゃあ」


「織田軍か德川軍の中にスパイがいるって事かよ!?」


「そういう事になりますね、でなければこんな偶然は


 有り得ませんし、先程ライオスさんとゼファーさんの


 城から感じた嫌な予感や殺気も説明がつきます」


 皆の言葉を聞いてルキアは駿府城を見上げた


「じゃあ城の中では敵が俺達を待ち構えている・・・という訳か」


ステイメンがルキアに問いかけた


「どうしますかルキア、常識で考えるなら


 ここは一時撤退ですが・・・」


「ステイメン、ここで我々が撤退した場合、人質となっている


 瀬名姫や信康殿はどうなると思う?」


その言葉にステイメンは目を細め少し間を空けた後


言いづらそうに口を開いた


「時間が経つにつれ人質となっているお二方は処刑される


 可能性が高くなるでしょう、そうならなかったとしても


 我々が人質奪還を企んでいる事がバレたのですから


 今川側は人質の身柄をどこかに隠すでしょうね


 いずれにしても救出はより厳しくなると思われます」


ルキアは厳しい表情でステイメンの話を聞いていたが


皆の方を向きなおると


「みんな、俺はこの作戦を強行しようと思っている


 当初の計画より困難な作戦になる事は間違いないが


 それでも実行したい、しかしそれが危険な賭けである事は


 知っての通りだ、だから誰か一人でも反対なら撤退する


 どうだみんな!?」


その問い掛けに皆にこやかにうなづいたそれはまるで


”わかってる癖に聞くなよ”と言わんばかりの表情であり


誰も反対はしなかった、ルキアは嬉しそうにうなづくと


「人質救出作戦を強行する、じゃあステイメン作戦を頼む」


ステイメンがコクリとうなづく


「今回の我々の行動が筒抜けになっているという事は


 城の中に敵軍が待ち構えていると思われます


 それと同時に後30分もしない内にここに敵軍が


 押し寄せてくるでしょう、我々を逃さない為に


 全方向から包囲網を敷いて来るはずです」


「まあ今川軍にしてみれば俺達は自分達の大将を討ち取った


 憎っくき仇だろうからな」


「で、どうするのステイメン?


 私達は何をすればいいの!?」


ステイメンはジッとメンバーを見渡すと


「班を二つに分けます、城の中に入って


 人質を救出する班と


 外で敵軍を迎え撃つ班にです


 城に突入するメンバーは


 ルキア、ライオス、ゼファーでお願いします」


思わずライオスとゼファーが顔を見合わせた


「男ばっかで汗臭いねぇ今回はガマンするか!?」


ゼファーの言葉を無視するかのように


ライオスが真剣な表情で問いかけた


「人質を救出したらどうするんだ?俺達だけならともかく


 人質を連れて城の中から脱出するのはいくら俺達でも


 至難の業だぜ!?」


「要人を確保できたら当初の予定通りゼファーに空中から


 脱出してもらいます、城を出た時点で私が防御魔法を


 かけゼファー達を敵の弓矢や鉄砲から守りますから」


その作戦を聞いてゼファーが両手を上げ首を振る


「おいおいステイメン、いくら俺でも人質2人と


 ルキア、ライオスまでは運べないぜ!?


 全員美女なら別だがライオスみたいにデカいのがいたら


 体力的にもモチベーション的にも無理だぜ!?」


フッと笑うステイメン


「それなら大丈夫です、ゼファーに運んでもらうのは


 人質となっているお二人だけです、要人救出後には


 ルキアとライオスは城内を自力で強行突破し


 徒歩により脱出してもらいますから」


それを聞いて思わず苦笑いのライオス


「敵の真っただ中からたった二人で脱出しろとか


 それ作戦と言えるのかよ、無茶苦茶だな!?」


「普通の人間ならこんな無茶苦茶な

 

 作戦なんて立てませんよ、相手にしても


 城内であれば弓や鉄砲も使いづらいでしょうしね


 多少強引な作戦ではありますが貴方達なら


 できますよね?ルキア、ライオス!?」


まるでそれが当たり前かの様に何の抵抗も無く言い放った


ステイメン、それに対し大きくうなづくルキアと


どこか嬉しそうで思わず口元が緩んだライオス


「外で敵軍を迎え撃つのはゾフィとフリニオーラに


 お願いします、防御的なフォローと作戦指示は


 その都度私がいたしますから、ゾフィは東側


 フリニオーラは西側から来る軍勢を食い止めてください


 なるべく相手を殺さないようにしたいのですが


 自分達の身が危うくなるような場合は


 撃滅してもかまいません、判断は各自に任せます」


「わかったわ」


「了解です」


にこやかにウインクしながら親指を立てるゾフィと


真剣な表情で大きくうなづくフリニオーラ


そしてルキアがステイメンの肩に手を乗せて問いかけた


「突入の際、どこを探す?我々の作戦が漏れている以上


 人質2人は事前情報の五階にはおそらくいないだろう


 やみくもに探すにはこの駿府城は広すぎるぞ・・・」


ステイメンは駿府城をジッと見上げながら考えていた


「そうですね・・・ネズミの偵察が無理な以上


 ある程度は推察からの賭けになりますね・・・」


その時ゾフィが話に割って入った


「しょうがないわね、私が何とかするわ


 元々今回の敵城偵察は私の役目だしね」


ルキアとステイメンが驚くような表情でゾフィを見つめた


「本当に何とかなるのかゾフィ!?」


「一体どうやって探るのですか?」


二人の質問に対しゾフィはため息をつき何やら


気が進まないような態度を見せていた


「この際仕方がないからあの子に頼むとするわ・・・


 ちょっと気乗りしないんだけど他に方法が無いしね」


「あの子とは一体・・・何を呼ぶつもりなのですか?」


そんなステイメンへの質問の返事をちゃんと


返すことも無くゾフィは両手を天にかかげる


「汝が主ライドン・ゾフィの呼びかけに応えよ


 来なさいダークネスドラゴン‼」


ゾフィの頭上に巨大な魔法陣が発生するとその中から


真っ黒な鱗に覆われた巨大なドラゴンが悠然と現れた


以前に見たフレイムドラゴンと比べ羽こそやや小さいが


口からむき出しになっている大きな牙と長く鋭い爪は


不気味な雰囲気を纏いながら怪しく黒光りしていて


まるで死神の鎌の様でもあった、そして高見から


見下ろす銀色の眼は冷酷で無慈悲さを感じさせ


見る者により残忍かつ邪悪な印象を与えた


そんな暗黒龍に対しゾフィは両手を腰に当て


黒きドラゴンを睨みつけるように話しかけた


「今回は貴方にやってもらいたい事があるんだけど


 まずそこの城の中の様子を知りたいの


 こんな闇の中なら貴方の得意フィールドでしょ!?


 私と視界を共有して中を探って欲しいのよ


 貴方ならできるでしょ?」


その言葉に黒きドラゴンの目つきが急激に変った


「貴様は我に覗き見の手助けをせよと申すのか!?


 下等な人間風情が何たる無礼な、その罪万死に値するぞ‼」


ゾフィの要求に対しダークネスドラゴンは明らかに怒っていた


その怒りの波動は他のメンバーにすら肌で感じる程だった


しかしゾフィは態度と表情を一切変えることも無く


淡々と話し続ける


「できるのかできないのかを聞いているの


 私のいう事がわかったならさっさと答えなさい」


無言のまま物凄い形相でゾフィを睨みつけるダークネスドラゴン


その態度を見てゾフィは思わず目を閉じ深くため息をついた


「わかったわ、アンタが無理ならアクアに頼むから・・・


 もう帰っていいわよ」


その言葉にダークネスドラゴンの雰囲気が一変する


先ほどまでメンバー全員が感じた程の怒気は


一気に消え失せ、先程まで威風に満ちていた態度が


嘘のようでどことなく動揺している様にすら見えた


「アクア殿を!?いやそれには及ばん


 致し方なき事だが・・・我がやる


 アクア殿の手を煩わすまでも無い


 我に任せておくがよい」


その言葉にゾフィはニコリと笑う


「そうありがとう、じゃあ頼むわね」


ダークネスドラゴンは大きく翼を広げ上空の月を見つめる


するとその眼が銀色から金色に変った、そして何やら


呪文のような言葉を独り言のようにブツブツとつぶやき始めた


その姿を見守る様にジッと見つめているゾフィにステイメンが


ひっそり近づき小声で質問した


「この黒いドラゴンの態度が急変したのはなぜですか?


 それとアクア殿とは?」


「あぁその事、この子はねプライドは高いし


 頑固で融通効かないし人間の事は馬鹿にしているしで


 全く手のかかる子なんだけど自分より強い者には


 凄く敬意をはらうのよ、アクアっていうのは


 アクアドラゴンの呼び名でね竜王と言われる


 ドラゴン族最強の水のドラゴンなの


 そして私の一番の友達よ」


微笑みながら嬉しそうに説明するゾフィ


「なるほど、そのアクアドラゴンの強さに敬意をはらい結果として


 急に態度を変えて従順になった訳ですか・・・」


「まあね、この子昔はもっと生意気で自分が最強と思い込んでてね


 だから竜王の名は自分にこそふさわしいと考えてたみたい


 それでアクアに挑んだんだけど逆にコテンパンにやられちゃって


 それ以来アクアの名前を出すと過剰なまでに態度が変るのよ」


ゾフィはいたずらっぽくウインクしながら微笑んだ


「準備ができたぞ小娘、いつでも我と意識をリンクする事を許す」


ダークネスドラゴンはゾフィに対し淡々と話しかけた


「だ・か・ら 私の名前はゾフィ、ライドン・ゾフィよ‼


 いつになったら覚えるのよ全く」


今度は逆にゾフィがダークネスドラゴンを睨みつけ


イラついた口調で反論するが黒きドラゴンは全く無反応で


空を見上げたまま動かなかった


そのやり取りを見たステイメンは思わず吹き出す


ブツブツ言いながらもゾフィは一度目を閉じ再び大きく見開いた


するとゾフィの両目が金色に変化していた、その不気味な姿に


思わずメンバー達はたじろぐが本人はそんな事には構わず


ダークネスドラゴンとの視界をリンクした後、ゾフィは何かを


探す様にキョロキョロと視線を動かす


「へぇ~さすが闇のドラゴンね、暗い所なら


 かなりの所まで見えるわ・・・あっいた!?


 家康公に聞いた特徴に合致するし多分この人達ね」


「見つかりましたか!?」


思わずステイメンが前のめりに問いかける


「うん、四階の東側に二人ともいるわ


 周りにも大勢の護衛兵がいるから


 多分間違いないと思うけど・・・」


そのゾフィの言葉にうなづくルキア


「じゃあ早速作戦開始だ、行くぞライオス、ゼファー‼」


「OK」


「じゃあいきますか」


ゼファーが懐から一枚のカードを取り出し空中に投げ捨てる


するとゼファーの体がフワリと浮き地面から20㎝ほど離れた空中で


ユラユラと浮かんでいた、そんなゼファーにルキアとライオスが


抱きつくようにしがみつく


「うへぇ~やっぱ男に抱きつかれるのはゾッとしないな


 でも少しの間のガマンガマン・・・じゃあ行くぜ


 しっかりつかまっていろよ」


ゼファーはそう言うと抱きついた二人と共にあっという間に


空中に舞い上がり駿府城の四階付近までたどり着いた


城の窓の様な所は人が入れないようにふさがれていたが


ルキアが魔法で破壊し崩れかけた壁を体当たりの様な感じで


ブチ破った、城内に入ると刀や槍を持った兵が大勢待ち構えていて


険しい顔で三人を睨みながらこちらの様子をうかがっていた


ルキアとライオスがスッと腰の剣を抜き構える


ゼファーは腰のケースからカードの束を取り出すと


マジシャンの様にシャッフルし始めた


「みんな気を引き締めていくぞ‼」


「おう、ここからが本番だな久しぶりに暴れさせてもらうぜ」


「レディースアンドジェントルマン


 これから私ミスターゼファーの


 ショータイムが始まります


 ごゆっくりご観覧ください


 ではデュエルスタート‼」


三人は大勢の兵が待ち構えている所に突入した



一方城の外では西からの敵軍を迎え撃つべく


フリニオーラが目を閉じ立っていた


右手に持っていた杖を地面にコンっと


打ち付けるとフリニオーラを中心に

魔法の波紋が放射線状に広がった


「来ますね、敵兵約8000人がこちらに


 向かってきていますでどうしましょうか


 ステイメンさん?ここからなら

 

 ギリギリ射程圏内です


 ブチかましましょうか!?」


その問い掛けに首を振るステイメン


「フリニオーラ、ここから届く攻撃魔法だとかなりの殺傷能力


 がある魔法ですよね?下手をすれば相手の軍勢を


 全滅させかねないほどの・・・


 できればそこまでしたくはありません、あくまで相手を無力化


 する程度にしておきたいのですが、できますか?」


少しうつむき考えるフリニオーラ


「敵を引き付けて魔法の衝撃波で吹き飛ばすならば


 相手も精々怪我程度で済むと思います、しかし


 引き付ける分相手からの飛び道具による攻撃が


 飛んで来ると思われますが・・・」


「そこは私に任せてください


 貴方達には傷一つつけさせませんよ」


ステイメンはニコリと笑った


それを聞いたゾフィも少し考えていた


「相手をなるべく殺さずに無力化か・・・


 ねえダークネス、貴方の精神攻撃で


 敵軍を戦闘不能にして欲しいのよ


 できるわよね!?」


ダークネスドラゴンは怪訝そうな表情で答える


「なにゆえそのような面倒な事をせねばならぬ


 人間の軍勢など我にかかかれば3秒で


 塵にしてくれようモノを・・・」


「だからそれじゃダメって言ってるの!?


 精神攻撃なんかはアンタの得意分野じゃない


 言われた通りにちゃんとやって‼」


膨れ面で下から睨むように言い放つゾフィ


ヤレヤレとばかりにため息をついて


明らかに乗り気じゃないダークネスドラゴン


「やむを得ぬ、仔細承知した 此度はうぬの


 言葉に従うとしよう」


渋々ながらも了承するダークネスドラゴン


「ありがとうダークネス、じゃあお願いね」


ゾフィはニコリと微笑んだ


「さあ敵軍のおでましの様ですよ」


今川の軍勢が押し寄せてくる甲冑の”ガチャガチャ”という


音が少しづつ耳に入って来て徐々に近づいて来る


威風堂々と立ちふさがるフリニオーラ


ダークネスドラゴンと共に敵軍が来る方向を


静かに見つめるゾフィ


目を閉じて精神集中するかのように


落ち着いているステイメン


”駿府城潜入人質奪還作戦”は当初の予定とは


大きく違う形で開始されたのだった。













 


 


今回の話はもっとスピーディーに進むと思っていたのですが、なんやかんやで

ようやく突入しただけというスローな展開、色々な事をゴチャゴチャと付け足したがる

私の悪い癖(右京風)がでてしまいました(笑)この話が次話で終わるのかまだ続くかは

まだ未定です、また懲りずにおつきあいください、では。

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