6話:悪役令嬢とメイドへの相談
その日、王都のタウンハウスに帰宅しましたわ。
そこでワタクシは真っ先にメイディの元へと向かいますの。
困った時はメイディを頼る、これはワタクシの鉄則。
彼女はワタクシが拾って来たと伺っておりますの。
覚えていないほど昔のこともあって、経歴などは不明。
本人に聞けば答えるとは思うでしょうけれど。
でも、彼女が普通ではない環境で生きたことは察せれますの。
しかし、それが何だという話でして?
ワタクシが悪役令嬢になると宣言したとき、着いて来てくれたのはメイディだけでしたわ。それ以上に人を信じるために必要な情報など、有りはしませんことでしてよ。
「メイディ! ワタクシにも舎弟ができましたわ!」
「嬉しそうで…ようございましたね。お嬢様は一応は伯爵家ですし、目指す悪役令嬢としても取り巻きは必要でしょう。それで、お相手はどこのどなたですか?」
「リシリアさんですわ!」
「お嬢様…その名前は…私の事前調査だと、確か…ヒロインだと言っておられた方ですよね? いったい…どのような風の吹き回しですか?」
「ヒロインすら舎弟にしてこその悪役令嬢でしてよ。それにしても、さすがメイディですわね。ワタクシよりも先にヒロインの情報を入手していたとは…。」
今度、調べた情報を聞き出さなければなりませんわね。
人を統べるには、まずは人を知ることから始める。
これは領地改革の時にワタクシが学んだことですもの。
「しかし、舎弟には何をするのがいいのか…分かりませんのよね。」
「そうですねぇ…一般的なのは『パシリ』でしょうか。」
「パシリ…それはいったい…ゴクリ…。」
「昼飯を用意させたり、買い物に付き合わせたり、自分のモノだと分かるようしたり…とにかく支配下においてしまうんです。」
「支配下…まぁ! 悪役令嬢っぽい響きですわね。」
それならワタクシの得意分野ですわ。
いったいどんなことをすればいいのかと不安になっておりましたが、いつもワタクシがやっていたことをすればいいだけですのね。働かせ・貢げさせ・報酬を与え・管理下に置く――簡単なことではございませんの。
「しかし、お嬢様、一つだけ気を付けるべきことがございます。」
「あら、それは何でして?」
「舎弟とは確かに『部下』でありますが、同時に『ダチ』でもあります。例えば、『ダチ』が傷を付けられたりするな、『カチコミ』に行くのが基本でございます。そこが取り巻きとの違いでございます。肝に命じてください。」
「なるほど…やはり領民管理に近いですわね。」
「えぇ、そうです。私も昔は人の上に立っていたこともありましたので、知るすべてをお嬢様にお教えいたしましょう。ガランデ組の悪役姐さん…そう呼ばれてもおかしくないほどの、立派な悪役令嬢にしてさしあげます。」
なるほど、つまりメイディは――ただの悪役令嬢では終わらせない――そう言いたいのですね。人を侍らせ、敵を排除をし、我儘の限りを尽くす……そんなチープな悪役令嬢はワタクシだって嫌ですもの。
完全無欠の悪役令嬢になるのがワタクシですものね。
よろしいでしょう、受けて立ちますわ。
どんな厳しい修行となっても、ワタクシ逃げたりしませんわ。
フフッ…待っていなさい…リシリアさん。ワタクシはさらに悪役令嬢力を高め、あなたに圧倒的な舎弟使いを見せてみせますわ。驚く顔が楽しみですわぁ~!
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