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5話:悪役令嬢とヒロイン

悦に浸っているワタクシに、掛ける声が一つ。


「えっと…ガランデ様…ですよ…ね?」


あら、ワタクシったらヒロインのことを忘れておりましたわ。


しかし、このリシリアさんという子、つくづく思いますがなんと可愛いことでしょう。叩かれたのでしょうが右頬が赤くなり、髪は乱れているのにも関わらず、その目を見ててしまうだけで庇護欲がくすぐられてしまいますわ。


確かにこれは、性悪な女性方からは嫌われそうですわね。


「貴女、ここから離れますわよ。そこに転がっている男どもなど、視界に入れるのも腹立たしいですもの。ささ、保健室へ行くのでしてよ。」


「あ、あの! 助けていただいてありがとうございました!」


「ふんッ! ワ、ワタクシは借りはきっちり返す性分でしてよ。だから助けられたと思うのではなくて、恩を返してもらっただけだと思ってくださいな。これは初日の件でのお礼ということだけですわ!」


あぁもう! リシリアさんと関わると調子が狂いますわ!


とっとと保健室にでも行ってサヨナラしなくては、ワタクシの悪役令嬢道がゆらぎかねませんの。なのに、動きそうにもありませんし、手を引いてでも無理矢理連れて行きますわよ。


泣いてないで…もっとキビキビ動いてくださいまし!


「私…やっぱりこの学園に来るべきじゃなかったんですよ…。国の政策で、優秀な平民なら…補助金を…特待生で入れようって。最終目標は…平民でも政治に…ということの足掛けみたいですけど…それでも…うぅっ…グス…。」


「……ワタクシはそう思いませんわ。」


「え?」


「国が必要だと思ったのだから、あなたがここにいるのしょう? それを反対する者がいるのであれば、それは国に背く行為ではなくて? 反逆者ごときに気を使うなんて、それこそバカバカしいですわ。」


ワタクシは悪役令嬢ですのでいざとなれば国に背く行為も遠慮なく致しますが、優秀な人材を失うことは将来の王妃活動に関わりますの。本当の本当の本当に、リシリアさんがどうこうなどどうでもいいのです。彼女が優秀かどうかだけが大事なことですの。決して決して……けぇ~~~っして……情が移ったわけではなくてよ!


「そもそも王子が原因のやっかみですし、王子に頼めばいいことなのでは? もし、あなたが動かないのであれば、ワタクシが動きますわ。どうせあの手の輩、いつかはワタクシの敵になりますもの…今、潰すだけですわ。」


「どうして…ガランデ様は強いのですか…。」


「ワタクシが強いというのであれば、ワタクシが目指したものが強い存在…ただそれだけのことですわ。あなたも、目指したくなる憧れ、出来たらいいですわね。」


ワタクシのような者でも、マランドラ様に憧れて変われましたもの。

きっと、リシリアさんほど才能のある方なら、なおさらですわ。




「では! 私を…ガランデ様の下に就かせてください!」




「ハァァァァァ!?」




何を言っておられますのこの方は!?

無理な話に決まっておりますでしょう!?


「ダメ! ダメですわ! ワタクシはダメでしてよ!」


「憧れを目指せとおっしゃったではございませんか! 私にとってはガランデ様こそ、憧れの方なのでございます! どうか! お願いします!」


「いいえ! ダメですわ! ワタクシは悪役令嬢、あなたはヒロイン。これからは敵ですし、借りは返したので関わらないでくださいまし! 無理ですわ!」


「あぁ…そうですか…差し出がましいお願いをしてしまいました…。」


もう! なんでそんな目をするのですの!?


そもそも、ワタクシを目指すということは悪役令嬢になるということであり、そんな目をする方が悪役令嬢になれるはずがございませんの! それに、その顔を向けるのはヒーローに対してだけになさって!




「うぅ…グス…また一人ぼっちです…。」




うぅぅぅ…ぐぬぬぬ…。


ワタクシは…悪役…令嬢…


負けるわけには…


いかな……い――


「ま、まぁ? あなたは確かにヒロインかもしれません。悪役令嬢であるワタクシに憧れるというのもおかしな話です。ですが…ですが…しょうがないことなのかもしれませんわ…」


負けてないですわ。

これは負けたわけではないですの。

戦術的譲歩、むしろ勝ちですわ。


「え?」


「あなた、今のままではワタクシの敵としては物足りませんもの。教育、そうですの、ワタクシの元で教育を受けるべきなのでしてよ。ならば、ワタクシの下、許しますわ。」


「ッ!? あっ!? はい! ありがとうございます!」


ふん! ヒロインを舎弟にしたと思えば、立派な悪役令嬢でしてよ!

決して絆されたとかそういうわけじゃないんですからね!


ただの舎弟ですわ! 勘違いしないでくださいましてよね!



【皆さまへ】


コチラの作品を読んで楽しんだら、高評価をしてくださると嬉しいです。


そして、何よりも嬉しいのは作品に対する直接の言葉です。

なので、コメントしてくださるともっともっと嬉しいです。


よろしくお願いします!


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