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27話:悪役令嬢と恋愛相談

毎度のことながら、メイディに相談ですわね。


「メイディ、今、よろしいかしら。相談がありましてよ。」


「お嬢様、私はいつでもウェルカムです。して、ご用件は?」


「デート場所について教えてほしいのだけれど。」


「ッッ!?」


「メイディ?」


「……」


「なぜ包丁を取り出しているのでして?」


「ハッ……いけません。また、早とちりするところでした。そ、その、えっと、確認ですが、アイリーン様のデートで、ございましょうか?」


「いえ、リシィと殿下のデート相談ですわ。」


「あ、あ、そうでございましたか。少々お待ちを。」


あら、メイディの包丁癖は治っておりませんのね。

慌てると毎回取り出して、そんなに落ち着くのかしら。


「しかし、あの殿下とリシリアさんが、やはり時間の問題だったのですね。」


「そうでしたわねぇ…殿下には恩がありますし、協力したいのですわ。」


「なるほど、では私も御協力いたしましょう。」


「助かるわ。」


「して、お嬢様、今まで私が教えてきたことは、あくまで、初対面や関係が薄い相手を恋に落とす方法でした。覚えていますでしょうか?」


ふふっ、なつかしく感じますわね。

『インパクトのある形容詞』を植え付ける、でしたわよね。


実験として生徒会書記の彼を…あぁ、思い出しましたそのせいで生徒会出禁になりかけたのでしたわよね…。なぜかあの後、書記の彼から感謝されたことで、免れましたが…。


あれ?

待ってくださいまし?


「インパクトのある形容詞を植え付けるのは、初対面だからこそ通用するのではなくて? リシィと殿下は、もうすでに、かなり見知った仲ですわよ?」


「その通りでございます。お嬢様。だからこその次の一手……それは『ギャップ』でございます。植え付けられた形容詞、相手を見極めたと思っていた…しかし、そこには見知らぬ一面が! キュンッ! でございます! つまるところ、デート先はどうでもいい、強いて言えば、会話の機会が多くなるところ!」


「ほほぉ!」


なるほど?


例えばの話ですわ。

ワタクシは誰がどう見ても『悪役令嬢』。

その形容詞はもうすでに知れ渡っている。


孤高で、気品に溢れ、自信家で、他者を寄せ付けない絶対的存在。


では、その『ギャップ』とは?


つまりは――


「メイディ…。」


「はい、お嬢様。」


「今日は、いっしょに、寝てほしい…ですわ。」


裾を掴み、

潤んだ瞳で、

下からの角度、

口は少しすぼめて、

弱弱しい声で、


これぞ、ギャップ!


「な~んて! 挑戦してみましたわぁ! オ~ホッホ!」


「………。」


「あら? メイディ? 完璧すぎて、言葉も出ないかしらぁ?」


「………。」


「メイディ? なんとか言ってくださいまし?」


「………。」


「あら? メイディ…メイディ?」


息して、ない!?


「メイディ! メイディ! メイディィィィッッッッ!」


ワタクシのギャップ萌えは人を殺してしまうらしい。

完璧すぎる悪役令嬢ゆえ、なんて、罪な女。


ちなみに、メイディは生き返りましたわ。


 ― ― ― ― ― ―


メイディが死にかけはしましたが、まぁ、計画は完成。

無事に殿下に託すことには成功しましたわ。

特に問題はありませんわね。


殿下は殿下で、イケメンボーイですもの。

ギャップ作りなんて、ちょちょいのちょいですわ。


「ふんふふんふ~~ん♪」


「あっ、アイリ様!」


「あら、リシィではありませんの。」


なんだか思いつめたような表情ですわね。

嬉しいけど困っている、といったところかしら。

人気のないところへ、さりげなく誘導ですわ。


「相談、したいのです。」


「あら、リシィも?」


「も?」


「いえ、お気になさらず。」


リシィは口をなんだかモゴモゴさせ、言い淀んでいる。

しかし、意を決したのか、キッとワタクシを見据えた。


「殿下と町遊びをすることになったんです!」


「ほう!?」


早いですわね!

計画を渡したの、ついさっきですわよ!?

殿下、行動力の化身ですわ。


「ですが、平民の私が、殿下とだなんて…。」


「いいではありませんの、町遊び……ん? ま・ち・あ・そ・び?」


「はい! 生徒会に入ってくれたお礼だそうです!」


「……。(完璧に見える殿下も、ヘタレ坊やのですわね)」


「アイリ様?」


「いえ、何でもございませんわ。それで? 日付は?」


「明日です。」


「ほぉ…。って、えぇ!?」


あした!?

明日って言いましたわよね、今!?

今日の明日ですの!?


「明日…。」


「はい! 明日です!」


ま、まずいですわ。

さすがのワタクシでも分かりましてよ。

殿下は準備オッケーでも、リシィがダメですもの。


この子は……あっ、この顔、心配してませんわね。


ワタクシは『ピィィィィ!』と指笛を吹いた。すると、どこからか鷹が飛んできて、近くの木に止まる。ワタクシはサッと手紙を書くと、鷹に託すのでしたわ。これで、メイディは来てくれることでしょう。


ワタクシはリシィに向き直る。


「今から、服屋に行きますわよ!」


今回のデートはワタクシがプロデュース!


失敗など言語道断なのでしてよ!



【皆さまへ】


コチラの作品を読んで楽しんだら、高評価をしてくださると嬉しいです。


そして、何よりも嬉しいのは作品に対する直接の言葉です。

なので、コメントしてくださるともっともっと嬉しいです。


よろしくお願いします!


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