24話:悪役令嬢と悪役舎弟
あの事態を救ったのでは殿下でした。
リシィを説得して解放させ、保健室へと御姫様抱っこする姿は、さながら王子様のようで……って王子様は殿下の本職でしたわね。まぁ、何はともあれ一件落着という結果で終わりましたの。
ちなみに、媚薬入りであったことはバレました。
きっちりと、みっちりと、殿下から説教を受けましたわ。
おこったでんか、こわい、もうしません。
「ハァ…」
「アイリ様、溜め息なんて、どうしたんですか?」
「昨日は…あなたに迷惑をかけましたわね。」
「いえいえ!(アイリ様にアプローチできて)役得でしたので!」
「なるほど、(殿下に御姫様抱っこされて)役得でしたのね。」
さすがはワタクシがヒロインと認めた女。
懐が広いですわねぇ~。許されましたわ。
本人がいいと言うなら、いいのでしょう!
「だけど、どうして媚薬入りを…?」
しまった、言い訳を考えておりませんでしたわ。
正直に話すわけにもいかないですわよね。
ちょっとしたイタズラを…と言うには生々しい発想。
こうなりましたら、彼を使うしかありませんわ!
「ア、アベルに食べさせようと思ってですわ。」
…………………。
あぁッ!この言い訳ではダメではなくて!?
アベルを惚れさせようとしていると思われますわ!?
ですが、他に、誤魔化せる方法も思い付かないでしてよ!
「分かりました。アイリ様。」
「ほぇ?」
「これが――悪役令嬢のやり方、ということですね。」
あくやくれいじょう…?
ハッ!? なるほど!
今回の一件は、複雑な理由など一切になく、ただ『悪役令嬢』だから起こしたと勘違いしたというのですわね? 呼吸をすることに意識はいらないように、悪役をすることも意識はいらないですもの。これもそれも、ワタクシがパーフェクトな悪役令嬢だからこそ起きた勘違い、さすがワタクシですわぁ!
「オ~ホッホ! これが悪役令嬢のやり方でしてよ~!」
フフフン! 機嫌がいいですわぁ!
― ― ― ― ― ―
アイリ様……あんなにルンルンで……。
そうですか、アイリ様がアベル様を想う気持ちは本物ですか。
悔しいですが、こればかりは認めざるをえません。
ですが…それでも…やはり…。
「ダメ…ですね…。こんな醜い発想は…。」
不肖であれど、私はアイリ様の最愛の舎弟。
あのお方の幸せを願わなくてどうする。
御恩には奉公で返すのが当然のことではないか。
「私は――アイリ様の最高の舎弟。」
そして、アイリ様は私の最高の御方。
「私は――悪役令嬢の最強の弟子。」
そして、悪役令嬢は私の最強の師匠。
「私、頑張ります!」
ガランデ流のやり方で。
悪役令嬢流のやり方で。
やってみせます!




