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評価ありがとうございます( ߹꒳߹ )ちょっと元気出ました
レイは、その日のうちにリアを迎えに向かった。
もはや誰も、レイが自ら迎えに行くことを止めようとはしなかった。
馬車には、ルシナスの姿もあった。
「何故、お前がいる?」
レイは怪訝な表情を浮かべて問う。
「何故って、リアの監視役だからだ」
ルシナスは当然と言わんばかりに答える。
レイは露骨に嫌そうな顔をしたが、それ以上は何も言わなかった。
道中、ルシナスは過ぎゆく景色を眺めながら、静かに口を開いた。
「レイと二人きりとか、最悪だな」
レイはルシナスを一瞥し、同意を示した。
しばらくすると、馬車はリアの家の前に着いた。
二人は馬車を降り、扉の前に立つ。
レイがノックすると、中から足音が近づき、返事とともに扉が開いた。
「はーい、どう…ぞ?!」
ミイナが顔を出すなり、少し驚いたように目を瞬かせた。
「えっと……こんにちは。もしかしてリア姉のお迎えでしょうか?」
ルシナスをちらちらと気にしながら、レイに尋ねる。
「そうだ、中に入らせてもらっても?」
「はい、どうぞお入りください」
その言葉に、ミイナは慌てて二人を中へと招き入れた。
リアの父はレイに気づくと、静かに店の奥から出てきた。
「……殿下、決まったんですね」
そう言いながら頭を下げる。
その後ろから、リアとルークも顔を出した。
「レイ様……それにルシナス様まで。今、仕度してまいりますっ」
リアはそう言うと、店の奥へ戻って行った。
「待ってるよ」
ルシナスは笑みを浮かべ、手を振って応えた。
「ちゃんと姉ちゃん、守ったから……」
ルークはむすっとした顔でレイを見上げた。
「良くやった」
レイはルークを見て、わずかに口元を緩めた。
「……珍しい」
その様子を見たルシナスが小さく呟く。
ルークはレイに褒められ、少し得意げに胸を張った。
「……ええっと、失礼ですが殿下。そちらのお方は?」
父は、ずっとニコニコと愛想笑いを浮かべているルシナスにちらりと視線を向け、遠慮がちに問いかけた。
「ああ、今から説明しようと思っていたところだ」
レイは簡潔にリアの処遇とハーヴェル家との面会について説明を終えると、ルシナスに鋭い視線を送り、名乗るよう促した。
「王宮魔術師団団長、ルシナス・ヴァルクレインです。リア嬢の王宮管理に伴い監視役を任されましたが……まあ、護衛のようなものです」
ルシナスは、いつもとは違い完璧に整った所作で挨拶した。
レイはその最後の言葉を聞き、嫌そうに顔をしかめる。
仕度を終えて戻ってきたリアは、普段とは違う真面目なルシナスの様子に、思わず目を瞬かせた。
「……そんな真面目な挨拶、できたんですね」
誰にも聞こえない小さな声で、ぽつりと呟いた。
「ヴァルクレイン様? あの先代王弟様の……名は存じておりましたが、娘の……」
目の前の王太子殿下だけでも目眩がしそうだというのに、さらにルシナスの名まで出てきて、父は完全に頭がくらくらしていた。
「父君も、明日の面会には同席すべきだ。一緒に王宮へ来たほうがよいだろう。でなければ後日、ハーヴェルがこちらへ出向いてくるだろう」
レイは父に告げた。
「そう……ですね。私から会いに行くべきなのでしょう。しかし、この子達だけここに残すのは……」
父はルークとミイナを心配そうに見つめた。
「おれたちは大丈夫だよ」
「お留守番くらいできるよ」
二人は心配いらないとばかりに胸を張った。
「みんなで来ればいいだろ?」
ルシナスが軽い調子で言う。
その途端、ルークとミイナは目を輝かせる。
期待に満ちた視線を前に、駄目とは言えなかった。
レイは頭痛でも堪えるように眉間を押さえた。
「あ……あの、ご迷惑ではありませんか?」
父は表情を窺うように言った。
「かまわない、二人も連れて行こう」
レイは小さくため息をつきながら答えた。
「……わぁっ!!」
「準備してくるっ!!」
ルークとミイナは嬉しそうに顔を見合わせると、奥へ駆けていった。
「……すみません、お世話になります」
父は深く頭を下げ、申し訳なさをにじませた。
全員の準備が終わり、外へ出ると、待機していた騎士と馬が目に入る。
ルークはそれに目を奪われていた。
ルシナスは気づくと同時に、騎士の一人に声をかけた。
「エルナ、馬を貸してくれないか? 俺があの子とコイツで行く」
「大の男三人じゃ、馬車は狭すぎるからな」
「えぇ……は、はいぃ、ルシナス様っ」
声をかけられたエルナは、顔を真っ赤にしてしどろもどろに答える。
ルシナスはエルナを見て薄く笑みを浮かべると、ルークのそばへ向かい、膝をついて目を合わせながら話しかけた。
「名前は?」
「ルーク……」
「ルークは、俺と一緒に馬で行くか?」
「……!?」
ルークは目を丸くしながらも、必死に頷いた。
ルシナスはルークを抱きかかえて馬に乗せ、手綱をエルナから受け取ると、そのまま自分も馬に乗った。
ミイナは、抱きかかえられているルークを、どこか羨ましそうに見つめていた。
レイはどうしたものかと少し考え込み、やがてミイナに声をかけた。
「君は私と行こうか」
ミイナは小さく頷いた。
レイはミイナを片腕で抱え上げると、リアにもう片方の手を差し出す。
ミイナは口元を押さえ、顔を赤らめながら照れていた。
リアは何気なくその手を取ったが、抱えられているミイナを見て、わずかに嫉妬を覚えた。
3人が馬車に乗り込む様子を、エルナと父は呆気にとられたように見つめていた。
エルナはすぐさま正気に戻ると、父を馬車に乗せ、自らもその中へ乗り込んだ。
ミイナはレイの隣に座り、ずっとその横顔を眺めていた。
その隣では、リアがむすっとした顔をしている。
エルナと父は気まずそうにその様子を見守っていた。
不思議な組み合わせのまま、一行は王宮へ向けて出発した。
町の人々は遠目にその一連の流れを見て、王族も案外怖くないのかもしれないと思い始めていた。




