幕間 ルシナス レオニス
レオニスに言われるまま、別室へついていった。
普段は使われないその部屋の壁際には、古い書棚や机が並んでいる。
ほぼ人が来ないため、話を聞かれる心配はない。
数日前にあった会議の内容と、セレニアの動向を伝えられる。
(リアのそばで、今度こそ守れる立場になるってことか……)
「それは良いが、レイは嫌がったんじゃないのか?」
「不満そうではあったが、批判が相次いだ以上はね」
レオニスは薄く笑みを浮かべながら言う。
「それに、兄としてはお前を評価している。レイも、他のやつに任せるよりは安心だろう」
「…で、お前はこの数日何していた?」
レオニスは穏やかに問いかける。
「あー…この間の村に行ってた」
後が面倒になるのを避けるため、渋々答える。
「棺の移送と村の調査に、お前が出向く必要はなかったはずだが?」
「あの日見た封印の陣が気になって行ってみたが、痕跡は何も残っていなかった」
「それだけなら、もっと早く帰ってこられたはずでは?」
「……村の井戸から水が出なくなって、川まで行くのが大変で困っていたから、水脈を戻してやったら村長と仲良くなった」
レオニスは無言で視線を向け、続きを促した。
「そしたら、村人とも仲良くなって、子どもたちに剣を教えたりしてた」
少し間を置いて続けた。
「あと…女の子に告白された」
「へえ…」
レオニスは興味深そうな顔をした。
「笑える話じゃない…最初は冗談かと思って適当にごまかしていたんだが……他に相手がいるなら妾でも通いでもいい、今だけでいいからと迫ってきて怖かった」
「昨夜は泊まっていた部屋にまで現れて、それで逃げてきたってわけ。それさえなければ、いい村だったんだが……」
レオニスは肩を揺らして笑い始めた。
「ルシナス、お前はその子に何をしたんだ?」
「何も…ただ料理を褒めただけ」
「お前は人を選ばないからな……興味がない相手に、優しくする必要もないだろう」
レオニスは揶揄するように言う。
「俺は、兄みたいに裏表がないタイプなんだよ…話はこれで終わりでいいはずだ」
そう言うと、その場を後にした。




