第4話 イケニエ
神様の扱いがヒドイ
異世界神改めハムスター神に淡々と交渉し続けた結果、この世界最高の魔法使いを神の権限で無理矢理呼び出す事になった。
『彼ならどこへでも転移魔法でとべるからぁ!ほっへ、ひっはらにゃひでぇ?!!!』
半泣きのハムスター神がそう言ったので、俺はハムスター神の頬を引っ張るのをやめてやった。ハムスター神をそのまま離すと、ポヨンポヨンと弾んで転がった。やっぱりこいつはボールなのかもしれない。
『うぅ……扱い……。ぐすん。じゃ、じゃあ、呼ぶよ』
ハムスター神が後ろ足で立ち上がると、手にはハムスター神にちょうどいいサイズの、魔女っ子スティックが握られていた。頭がハートになってるやつだ。何でだ?その姿を見て、いつの間にか俺の神威から復活していた聖女は「はわあぁ!可愛い!!!」と悶絶し、じいさんは顔を上に向けて泣いていた。
『出でよ!最高の魔法使い!!』
軽い呪文で、ボワンとマヌケな音とケムリの中から現れたのは、整った容姿の長身の男だった。ただし、毛玉のついた部屋着は頂けない。
「……は?」
「よお!お前は神のイケニエに選ばれた」
俺が説明してやると、足元でハムスター神がワタワタして、
『ち、ちがうから!断じて違うからぁ!!』
と叫んでいる。威厳はゼロだ。ハムスター神は呼吸を整えると、すっくと立ち上がり(?)、軽い口調で言った。
『この異世界の勇者と聖女ちゃんを連れて、転移魔法でさくっと魔王倒してきて!』
「はああはあぁぁぁ?!!!は、ハムスター??何を、何を言ってるんです?!いや、我が神だ!間違いない!!神が狂われたぞ?!聖女、何をしている!さっさと―――」
「うるせえ」
俺はとりあえず、魔法使いの胸ぐらを掴んで黙らせた。身長差が悲しい。
足元で急にハムスター神に小さな雷が落ちた。
『はああ!?はいぃぃぃ!!!ねえ、君!親神様がメッチャ怒ってて、会議室に天変地異が!なんとかしてぇ!』
「いや、神様同士ならそっちでなんとかしろよ。つーか、俺、親神様としゃべれんぞ?」
『えええええっ?!やだよ、怖いぃぃぃ!』
俺はもがくハムスター神を片手で掴むと、イケメン部屋着に見せた。
「こいつのせいで、俺はデートにすでに遅れている。記憶操作で帳尻を合わせるにしても、だ。俺は異世界なんぞに長居する気はない。帰るために、大至急魔王討伐に行く」
「ふっ、転移魔ほ―――いたいいたい!」
俺のアイアンクローは中々効くな。
「必要なのは聖剣と、後は仲間か。5人いればいいんだったな。聖女、じいさん、ハムスター神、部屋着、俺」
聖女は俺に指をさされると何故か胸を張り、じいさんは自分の顔を指差し、ハムスター神は驚愕していた。
「部屋着って……最高峰の魔法使いとかもっといいあだ名あるでしょう?」
呼び出された魔法使いが苦情を言ってきた。
「分かった。お前は今から”毛玉”な?」
毛玉はがっくりうなだれて耳が赤かった。ぶつぶつと何か言っていたが、俺には聞こえなかった。
「最初の目的地は聖剣があるところだ。聖剣を取ったら、そのまま魔王をぶったおして、俺は日本に帰る。いいな?」
ハムスター神が短い前足で敬礼らしきものをしている。聖女はそれをうっとりと見つめ、じいさんは顔を青くして、神の像に祈っている。ハムスター神は見なかったことにしたらしい。毛玉は口を開こうとしたが、俺にギロリと睨まれて黙った。ここのヒエラルキーを理解したらしかった。学習が早くて助かったよ。
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