第84話 氷牙の白狼王との死闘
氷狼の群れを突破した4人は、さらに奥へと進んでいた。
空気はさらに冷たく、吐く息は白い霧となって漂う。
サーヤが剣を握りしめる。
「むぅ・・・さっきより寒いのだ!」
ミィは腕をさすりながら言う。
「さむい・・・でも・・・なにか・・・いる・・・」
リュミナは風を読み、顔を強張らせた。
「風が震えてる。この先、とても大きい気配があるよ」
「ボス・・・だな」
その時――
ヒュオォォォォォォォ・・・氷の回廊全体が震えた。
霧が割れ、巨大な影がゆっくりと姿を現した。
体長4メートル。真っ白な毛並み。全身から冷気が噴き出し、牙は氷の刃のように輝いている。
サーヤが叫ぶ。
「むぅぅぅ!!でかいのだ!!」
ミィは拳を握りしめる。
「つよい・・・あれ・・・つよすぎる・・・」
リュミナは緊張した声で言った。
「氷牙の白狼王・・・。」
壮真は息を呑む。
「氷狼の王・・・か」
白狼が低く唸る。
ガルルルルルル・・・
その声だけで氷の床にヒビが走った。白狼が一瞬で距離を詰める。
ドッ!!
「むぅっ!?速いのだ!!」
サーヤが剣で受け止めるが――
ガギィィィィン!!
衝撃でサーヤの足が滑る。
「むぅぅぅぅ!!重いのだ!!」
ミィが横から拳を叩き込む。
「はっ!!」
ドガァァァン!!
しかし白狼は微動だにしない。
ミィ「かたい・・・!」
白狼が口を開く。
キィィィィィィィィン!!
青白い光が集まり――
「ブレス来る!!」
次の瞬間――
ドオオオオオオオオッ!!
氷の奔流が一直線に放たれた。
「むぅぅぅ!!」
「くっ・・・!」
リュミナが風の壁を張る。
「風よ、守って!」
バシュッ!!
しかし氷のブレスは強すぎる。
風の壁が軋む。
「だめ・・・押し返せない!」
「リュミナ!!」
壮真がリュミナを抱えて後ろへ飛び退く。氷のブレスが地面を凍らせ、巨大な氷柱が突き出した。
白狼が跳躍。
ドッ!!
「むぅ!?上からなのだ!!」
白狼の爪が振り下ろされる。
ガギィィィィン!!
サーヤが受け止めるが、氷の衝撃で吹き飛ばされる。
「ぐぅぅぅぅ!!」
ミィがすぐに飛び込む。
「まもる!」
ミィの拳と白狼の爪がぶつかる。
ドガァァァァン!!
「おもい・・・!」
白狼はミィを弾き飛ばし、すぐにリュミナへ向き直る。
「っ・・・!」
「リュミナから離れろ!!」
壮真は手を構え、叫ぶ。
「大いなる理を司る四界の守護者よ、古より世界を支えし根源の力よ、いま我が呼び声に応え、侵略者を拒む絶対の壁として顕現せよ。大地は盾となり、炎は咆哮となり、氷は静寂となり、風は刃となる。四界の力よ、我が前に集い、世界を隔てる境界を築け。揺るぎなき壁よ、我が意志を守り、敵を退けよ。その身をもって災厄を遮り、我が歩む道を照らせ。顕現せよ、四界の守護壁。《ファイアウォール》!!!!!!」
ゴォォォォォォォッ!!
炎の壁が白狼の進路を塞ぐ。
白狼は一瞬怯むが――
ガルルルルル!!
氷の爪で炎を切り裂いた。
「嘘だろ・・・!?」
「氷の魔力が強すぎる・・・!」
サーヤが立ち上がる。
「むぅぅぅ!!まだ終わってないのだ!!」
ミィも拳を握る。
「つぎ・・・わたし・・・!」
リュミナは風を集める。
「風よ、みんなを守って!」
壮真は息を整え、魔力を再び練り始めた。
「もう一発・・・大技を撃つ・・・!」
白狼が咆哮する。
アオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!
氷の破片が嵐のように舞い、4人に襲いかかる。
「むぅぅぅ!!」
「くっ・・・!」
「風よ、流して!」
「時間を稼いでくれ!!」
「任せるのだ!!」
「いく・・・!」
白狼と4人の攻防が激しくぶつかり合う。
氷と風と炎が交錯し、氷の回廊が震える。
壮真は魔力を限界まで高め、叫んだ。
「みんな、下がれ!!今度こそ決める!!」
「むぅ!!」
「まかせる・・・!」
「壮真、お願い!」
壮真は手を突き出す。
「我が魂の深淵に眠りし古の焔よ。時の狭間に封じられし破壊の理よ。いま、世界の理を捻じ曲げ、 万象を焦がす紅蓮の咆哮として顕現せよ。沈黙せし大地よ震えろ。天を覆う虚空よたじろげ。星々の運命を繋ぐ鎖よ断ち切れ。我が意志は刃、我が魔力は雷、我が叫びは滅びの鐘。集え、集え、集え。破滅の火核よ、我が掌に宿れ。いまこそ封印を解き放ち、世界を穿つ紅蓮の王として降臨せよ! 我が名に応えよ、破壊の覇王!我が敵を焼き尽くせ、終焉の光!《エクスプロージョン》!!!」
ドッッッカァァァァァァァァァァン!!!!!!
白狼の足元で爆発が起こり、氷の破片が四方に飛び散る。
白狼は咆哮しながら吹き飛ばされ、氷の壁に激突した。
アオオオオオオオオッ!!
「むぅ!!今だ!!」
「とどめ・・・!」
「風よ、刃になって!」
サーヤの斬撃、ミィの拳、リュミナの風刃が同時に白狼へ叩き込まれる。
ザシュッ!!
ドガァァァン!!
バシュッ!!
白狼は大きく揺れ――
ガシャァァァァン!!
氷の破片となって崩れ落ちた。
氷牙の白狼を撃破した4人は、荒い息を整えながらその場に立ち尽くしていた。
「むぅぅぅ・・・つよかったのだ・・・!」
「つかれた・・・」
リュミナは胸に手を当て、ほっと息をつく。
「みんな、本当にすごいよ」
壮真は膝に手をつき、息を整えながら笑った。
「いや・・・マジで死ぬかと思った・・・」
白狼の残骸から、大きな青白い魔石が転がり出る。
「むっ!!これは絶対高いのだ!!」
壮真が吸収する。
ピコンッ!
『魔石吸収 +30』
壮真「・・・30ポイント・・・」
「むぅぅぅ!!ボスなのに少ないのだ!!」
壮真は頷く。
「さて・・・ボスを倒したってことは――」
サーヤが目を輝かせる。
「むっ!?お楽しみの“お宝部屋”なのだ!!」
ミィも小さく拳を握る。
「・・・たから・・・すき・・・」
「よし、行ってみるか」
白狼のいた広間の奥に、氷でできた大きな扉があった。
「むぅ!絶対この先なのだ!!」
壮真が扉に手を触れると――キィィィィィン・・・
氷が溶けるように消え、まばゆい光が広がった。
4人が中へ入ると――そこは、氷の宝石が輝く幻想的な部屋だった。
中央には巨大な宝箱がひとつ。周囲には小さな宝箱がいくつも並んでいる。
「むぅぅぅ!!これは大当たりなのだ!!」
ミィは目を輝かせる。
「・・・いっぱい・・・ある・・・」
リュミナは微笑む。
「ここ・・・あったかい。氷の魔力が浄化されてるみたい」
「よし、開けてみるか」
サーヤが勢いよく開ける。
ギィィィィ・・・中には――
・巨大魔石 × 2
・銀魔石 × 6
・氷属性の素材 × 10
・謎の青い指輪 × 1
「むぅぅぅ!!すごいのだ!!」
「・・・いっぱい・・・ポイント・・・」
リュミナは青い指輪を見つめる。
「この指輪・・・風と氷の魔力が混ざってる。誰かが使えるかもしれないね」
壮真は魔石をスマホに吸収する。
ピコンッ!
『魔石吸収 +100×2』
ピコンッ!
『魔石吸収 +50×6』
ピコンッ!
『魔石吸収 +5×10』
合計―― +550ポイント
「・・・550ポイントか・・・」
「むぅぅぅ!!もっと欲しいのだ!!」
「・・・でも・・・おいしい・・・」
リュミナは笑った。
「でも、ここまで来られたのはすごいよ」
壮真は仲間たちを見回し、自然と笑みがこぼれた。
「よし、今日はここまでで帰ろうか?帰ったら、食料調達しながら少しゆっくりしよう。ここんところ、戦闘ばっかで疲れたし。」
「そうだな!!私は海の幸が食べたいのだ!!釣りしたいのだ!」
「おっ!!いいねー!皆で釣りでもしようか?」
「・・・たのしみ・・・」
「海の食べ物、楽しみだよ」
こうして4人は、氷牙の白狼王を倒したご褒美として、少しの休暇を取ることにした。




