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第71話 森の奥の遺跡と“動く影”

  

南側の奥地へ向かう前に、壮真はふと思い出したように言った。


「そうだ、クロガル倒したし・・・魔石、取り出しておくか。」


サーヤが目を輝かせる。


「むっ!魔石は貴重なのだ!アマゾンポイントなるのだ!」


ミィは無表情で一言。


「・・・にく・・・買える・・・」


「お前はそればっかりだな!」


壮真はクロガルの胸元にナイフを入れ、慎重に魔石を取り出した。


拳大の黒い魔石。

赤い紋様がうっすら光っている。


「よし、これをスマホにかざすと・・・」


壮真がスマホを近づけると――


ピコンッ!


『魔獣クロガルの魔石を確認 アマゾンポイント +2』


壮真はガッツポーズをした。


「よっしゃあああ!!2ポイントゲット!!」


サーヤも喜ぶ。


「うむ!これでシマちゃんグッズがまた買えるのだ!!」


ミィも拳を握る。


「・・・にく・・・近づいた・・・」


リュミナはきょとんとした顔で首をかしげた。


「・・・あの・・・アマゾンポイントって・・・そんなに大事・・・?」


壮真・サーヤ・ミィ

「「「大事だ!!!!」」」


リュミナはビクッと羽を震わせた。


「ひゃっ!?だ、だいじ・・・なの・・・?」


サーヤが胸を張って説明を始める。


「よいかリュミナ!アマゾンポイントとはな・・・シマちゃんグッズを大量に買える神の力なのだ!!」


「し、シマちゃん・・・?」


壮真が補足する。


「俺の世界の動物の人形で、サーヤはそれが大好きなんだよ。」


サーヤは頬を赤くしながら言う。


「ち、違うのだ!好きというより・・・ご神体なのだ!!」


「いや変な宗教を始めるな!!!」


ミィも説明を始める。


「・・・アマゾンポイント・・・おいしい肉・・・買える・・・すごく・・・だいじ・・・」


リュミナは目をぱちぱちさせた。


「お、お肉・・・買える・・・?」


壮真が頷く。


「そうだ。昨日のBBQの肉もアマゾンで買ったんだ。」


リュミナの羽がぴくっと動く。


「・・・あの・・・すごくおいしかったやつ・・・?」


「そう、それ。」


リュミナは真剣な表情で拳を握った。


「・・・アマゾンポイント、皆にとって、とても大事・・・!」


サーヤが満足げに頷く。


「うむ!理解が早いのだ!」


ミィもこくり。


「・・・リュミナ・・・かしこい・・・」


壮真は笑いながら魔石をしまった。


「よし、ポイントも増えたし、気分も上がったな。じゃあ改めて南側の奥地へ行くぞ!」


リュミナは羽を広げ、元気よく頷いた。


「・・・うん!アマゾンポイントのためにも・・・がんばる!」


「いや目的が変わってるぞ!」


サーヤとミィは声を揃えて言った。


「「いいのだ!!」」


壮真はため息をつきながらも笑った。


(まあ・・・やる気が出るならいいか・・・)


 南側の森をさらに奥へ進むと空気が急にひんやりと変わった。


 サーヤが剣を構えながら言う。


「むぅ・・・ここから先、雰囲気が違うのだ・・・。」


 ミィは木の根元に残る足跡を見つめる。


「・・・これ・・・魔獣・・・たくさん・・・」


 リュミナは羽を縮め、不安そうに周囲を見回した。


「・・・風の流れが変。何か・・・大きなものが・・・眠ってるような。」


 壮真は深呼吸し、前方を指さした。


「みんな、見ろ・・・!」


 木々の隙間から、巨大な石造りの建造物が姿を現した。


 苔むした石壁、崩れた柱、そして中央には大きなアーチ状の門。


 サーヤが目を輝かせる。


「これは・・・遺跡なのだ!!」


 ミィは壁に刻まれた紋様を指でなぞる。


「・・・ナーリコぺ帝国の・・・古い文字・・・“門”・・・“封”・・・“危険”・・・」


 壮真は眉をひそめた。


「危険って書いてあるのに門を開けるのか・・・?」


 サーヤは胸を張る。


「当然なのだ!冒険者は危険を恐れぬのだ!」


「いや俺たち冒険者じゃないんだけどな・・・」


 リュミナは門の前に立ち、そっと手を触れた。


「・・・この門・・・わたしの世界の魔法陣と・・・似てる・・・でも・・・もっと古い・・・」


 壮真は息を呑んだ。


「異世界の技術が混ざってるってことか・・・?」


 サーヤが剣を構える。


「よし!開けるのだ!!」


 壮真は苦笑しながらも頷いた。


「気をつけろよ・・・」


 4人が力を合わせて門を押すと――


 ゴゴゴゴゴゴ・・・


 重い音を立てて門が開いた。


 中は薄暗く、冷たい空気が流れ出してくる。


 壮真はスマホのライトを点けた。


「よし、入るぞ――」


 その瞬間。


 ガサッ・・・ガサガサ・・・


 暗闇の奥で、何かが動いた。


 サーヤが剣を構える。


「むっ!?何かいるのだ!!」


 ミィは拳を握る。


「・・・まもる・・・」


 リュミナは震える声で言った。


「・・・あれ・・・魔物・・・たくさん・・・いる・・・!」


 壮真はライトを向けた。


 そこには――


 骨のような体を持つ魔物が、ゆっくりと徘徊していた。


「スケルトン・・・!?いや、ミィの世界の魔物か?」


 ミィは首を縦に振る。


「・・・そう・・・これ・・・ナーリコぺ帝国では・・・・・・ダンジョンでしか見ない・・・ダンジョンを守る兵士・・・」


 サーヤが叫ぶ。


「つまりここは・・・ダンジョンなのだ!!」


 壮真は青ざめた。


「マジかよ・・・、前のダンジョンも攻略してないのに!」


 リュミナは羽を震わせながらも、前を見据えた。


「・・・でも、この奥に何かある!風がそう言ってる・・・」


 壮真は頷いた。


「よし、少しだけ行ってみよう。ダンジョンの準備をしてきてないからどんな魔物がいてどんなものが必要か考えないと。」


 サーヤが剣を掲げる。


「うむ!家族で挑む初めてのダンジョンなのだ!!絶対に失敗したくないのだ!」


 ミィも拳を構える。


「・・・うん・・・」


 リュミナは胸に手を当て、小さく呟いた。


「・・・みんなを癒す!!!だからがんばる!!!」


 壮真は深呼吸し、暗闇の中へ一歩踏み出した。


(ダンジョンか・・・でも、4人なら・・・きっと行ける)


 壮真が一歩踏み出すと、遺跡の内部は外よりもさらに冷たく、まるで空気そのものが重く沈んでいるようだった。


 サーヤが後ろから声をかける。


「壮真殿、気をつけるのだ・・・!ここはただのダンジョンではないのだ!」


 ミィは暗闇の奥をじっと見つめる。


「・・・あれ・・・まだいる・・・スケルトン・・・いっぱい・・・」


 リュミナは羽を震わせながらも、しっかりと仲間の背中を見つめていた。


「・・・風が言ってる.この奥・・・“何か”が眠ってる・・・」


 壮真はスマホのライトを少し上に向けた。


 壁には古代文字がびっしりと刻まれている。


「・・・“門を開く者、試練を越えよ”・・・“封じられし災いに触れるな”・・・“守護骸は門の番人”・・・」


 サーヤが眉をひそめる。


「むぅ・・・つまり、この遺跡そのものが“試練のダンジョン”なのだな!」


 壮真は深く息を吐いた。


「だろうな・・・ここはミィの世界の遺跡で、どっかとをつながる“門”の一部なんだろう」


 ミィは拳を握りしめる。


「・・・でも・・・ここ・・・わたしの世界でも・・・“禁域”・・・に似ている・・・」


 リュミナが小さく呟く。


「・・・禁域・・・わたしの世界にもあった。古い魔法が眠る場所・・・」


 サーヤが剣を構え直す。


「ならばなおさら、準備が必要なのだ!このまま突っ込むのは危険なのだ!」


 壮真は頷いた。


「そうだな。今日は“偵察”だけにして、必要な装備や食料を整えてから本格攻略しよう。」


 ミィもこくりと頷く。


「・・・そう・・・ダンジョン・・・なめたら・・・しぬ・・・」


 リュミナは胸に手を当て、仲間を見回しながら言った。


「・・・わたし・・・みんなを癒すために・・・もっと魔力・・・回復させる・・・」


 壮真は微笑んだ。


「よし、いったん戻ろう。でも・・・」


 壮真は遺跡の奥を見つめた。


 暗闇の向こうで、“守護骸”たちがゆっくりと徘徊している。


(この奥に・・・この島の謎がある・・・)


 壮真は拳を握った。


「次は・・・本気で攻略するぞ。」


 サーヤが剣を掲げる。


「うむ!家族の力、見せてやるのだ!!」


 ミィも拳を構える。


「・・・がんばる・・・」


 リュミナは羽を広げ、小さく頷いた。


「・・・わたしも・・・家族と一緒に・・・」

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