第68話 南側の調査とリュミナの翼
BBQの翌朝。
洞窟の前には、昨夜の余韻がまだ残っていた。
サーヤはストレッチをしながら言う。
「むぅ・・・昨日は食べすぎたのだ・・・だが、今日からは鍛錬再開なのだ!」
ミィはまだ肉の箱を覗いている。
「・・・のこり・・・ある・・・?」
「もうないよ!」
リュミナは朝の風を受けながら、そっと羽を広げた。
「・・・今日は・・・少しなら・・・飛べるかも・・・」
壮真はその言葉に反応した。
「飛べるってことは、昨日ぶつかった障壁の高さも調べられるな。ついでに南側の調査もしよう。」
サーヤが胸を張る。
「うむ!南側はリュミナの洞窟がある場所なのだ!何か手がかりがあるかもしれん!」
ミィも拳を握る。
「・・・まもる・・・」
壮真は頷いた。
「よし、今日は“南側の調査”だ。リュミナ、無理しない範囲で飛んでみてくれ。」
リュミナは深呼吸し、羽を大きく広げた。
「・・・うん・・・やってみる・・・」
壮真たちは広場に移動し、リュミナの飛行を見守った。
リュミナは軽く助走をつけ、ふわりと地面を離れる。
「おお・・・!」
サーヤが感動して叫ぶ。
「美しいのだ!まるで天使なのだ!」
ミィは無表情のまま呟く。
「・・・とぶ・・・すごい・・・」
リュミナは高度を上げすぎないように、慎重に羽ばたいた。
「・・・昨日より・・・ずっと楽・・・魔力も・・・少し戻ってきた・・・」
壮真は手を振りながら声をかける。
「無理するなよー!障壁の高さは後でいいからな!」
リュミナはくすっと笑い、ゆっくりと降りてきた。
「・・・うん・・・大丈夫・・・でも・・・あの障壁・・・やっぱり怖い・・・」
「無理に近づかなくていい。今日は南側の地上調査がメインだ。」
4人は南側へ向かって歩き始めた。
サーヤが周囲を見回しながら言う。
「むぅ・・・西側とは植生が違うのだ。木の形も妙にねじれている・・・」
ミィは木の実を拾って匂いを嗅ぐ。
「・・・これ・・・道場の近くの森にあった・・・」
壮真は驚いた。
「え?ミィの世界の植物ってことか?」
「・・・うん・・・これ・・・“ガルベの実”・・・すっぱい・・・けど・・・煮ると甘い・・・」
サーヤが目を丸くする。
「なんと!ミィの世界の植物が南側に生えているのか!」
リュミナも羽を震わせながら言った。
「・・・わたしが洞窟から出ると見たこともない植物や動物を見てびっくりした・・・」
壮真は腕を組んだ。
「つまり・・・
東=地球
西=サーヤの世界
南=ミィの世界
ってことか?ってことはもしかして、リュミナ・・・お前の世界にライリュウはいるか?
「・・・大きな・・・龍・・・ 青い鱗で・・・空を泳ぐように飛ぶ・・・ “ライリュウ”・・・」
「そうだ!」
「あれは・・・わたしの世界の“守護獣”・・・ 風の民の里を守る・・・空の王・・・ でも・・・どうしてここに・・・?」
「守護獣なのか!道理で強かったのだ!」
「・・・ライリュウと戦ったの?」
「南のエリアを解放するのにウロコが必要だったから。」
「あなたたち本当に強いのね・・・」
ミィが木の陰を指さした。
「・・・あれ・・・」
壮真たちは視線を向けた。
そこには――ミィの世界の生き物 がいた。全身が黒い毛で覆われ、背中には赤い紋様が浮かび上がっている。
「・・・“クロガル”・・・」
ミィが呟く。
「ミィの世界の魔獣か?」
「・・・うん・・・つよい・・・でも・・・にく・・・おいしい・・・」
「食うのかよ!!」
サーヤが剣を構える。
「むぅ・・・敵か味方か分からぬのだ!」
リュミナは不安そうに羽を縮める。
「・・・あれ・・・危険・・・?わたし・・・回復しかできない・・・」
壮真はリュミナの肩に手を置いた。
「大丈夫だ。お前は下がってろ。ミィ、サーヤ、頼む!」
ミィは手甲を構え、静かに前へ出た。
「・・・まもる・・・」
サーヤも剣を抜く。
「うむ!任せるのだ!」
クロガルが低く唸り、4人を睨みつける。
壮真は息を呑んだ。
(南側も・・・やっぱり危険地帯だ・・・!)




