第63話 ライリュウへ挑む1
朝の海は静かだった。 しかし、その奥に潜む巨大な影が、 これから起こる戦いの激しさを予感させていた。
三人と一匹は、村の北にある断崖の上に立っていた。
サーヤは雷封じの珠を胸に抱え、 ミィは拳を握りしめ、 壮真は購入した“超強力ストロボライト”をリュックに詰めている。
ポポタヌは緊張したように「ポポッ・・・」と鳴いた。
「さて・・・作戦の最終確認だ。」
壮真が深呼吸しながら言う。
「ライリュウは空を飛ぶ。海に落とす作戦は危険が大きい。だから今回は・・・」
サーヤが続ける。
「陸地へ誘導し、地面に落とすのだな!」
壮真は頷いた。
「そう。 雷封じの珠で雷を封じ、ライトで目くらましをして、ライリュウを“断崖の上”へ誘導する。そこから落下させれば、動きが鈍るはずだ」
ミィは静かに言う。
「・・・落ちたら、ウロコ剥ぐ・・・」
「いや、言い方!!」
サーヤは剣を握りしめ、 断崖の下に広がる森を見下ろした。
「ここなら、落ちても海より安全だ。地面が柔らかい場所もあるし、木々がクッションになる。」
壮真は頷く。
「よし・・・行くぞ!!」
三人と一匹は断崖を降り、 森の中へと向かった。
森の奥から、 空気を震わせるような低い鳴き声が響いた。
「ギャアアアアアアアア!!」
空を見上げると、 巨大な影が雲を裂いて現れた。
黒い雷雲のような鱗。青白く光る瞳。翼を広げるたびに風が渦巻く。
サーヤは雷封じの珠を掲げた。
「ライリュウ!!この私が相手なのだ!!」
珠が青白く光り、ライリュウの視線がサーヤに向く。
壮真は叫ぶ。
「サーヤ!!走れ!!」
サーヤは森の中へ駆け出した。
ライリュウは雷を纏い、 サーヤを追うように空を旋回する。
雷光がサーヤに向けて放たれ・・・ しかし、雷封じの珠が光り、雷は空中で霧散した。
サーヤは叫ぶ。
「効いているのだ!!雷が封じられている!!」
壮真はライトを構えた。
「よし・・・次は俺の番だ!!」
ライリュウがサーヤに急接近した瞬間・・・
「今だ!!」
壮真はライトのスイッチを押した。
ドッ!!
11000ルーメンの閃光が森を照らし、ライリュウの顔面に直撃した。
「ギャアアアアアアアア!!」
ライリュウは翼をばたつかせ、空中でバランスを崩す。
サーヤは叫ぶ。
「壮真殿!!すごいのだ!!」
ミィは拳を握りしめた。
「・・・落ちる・・・!」
ライリュウは高度を失い、森の上を低空で飛び始めた。
壮真は叫ぶ。
「サーヤ!!断崖の方へ誘導して!!」
「任せるのだ!!」
サーヤは森の中を駆け抜け、断崖の方向へ向かった。
ライリュウは視界を奪われたまま、サーヤを追って低空飛行を続ける。
断崖の手前に到達したサーヤは、大きく跳び退いた。
ライリュウはそのまま突っ込み・・・
ドォォォォォォン!!
断崖の上に激突し、地面に倒れ込んだ。
壮真は息を呑む。
「よし・・・作戦通りだ!!」
ミィは拳を握りしめた。
「・・・今、剥ぐ・・・」
「いや、まだ早い!!」
サーヤは雷封じの珠を掲げ、 ライリュウの動きを封じ続ける。
「壮真殿!!今のうちに!!」
壮真はリュックから“バールのようなもの”を取り出した。
「よし・・・行くぞ!!」
三人と一匹は倒れたライリュウへ向かった。
ライリュウは地面に倒れ、 翼を震わせながら身をよじっていた。
雷封じの珠の効果で雷は使えず、目くらましで視界も奪われている。
壮真はバールを握りしめ、 ライリュウの巨大な鱗を見上げた。
「で、でかい・・・!」
サーヤは剣を構えながら言う。
「壮真殿!!ドラゴンもそうだが、龍種はウロコの根元を狙うのだ!!そこが一番弱い!!」
ミィは拳を握りしめ、ライリュウの胸元へ向かった。
「・・・殴る・・・」
壮真は叫ぶ。
「ミィ!!俺がバールで隙間を作るから、そこに拳を叩き込んでくれ!!」
ミィはこくりと頷いた。
壮真はライリュウの胸の鱗にバールを差し込み、全力でこじ開けた。
ギギギギギ・・・!!
「くっ・・・硬い・・・!!」
サーヤが叫ぶ。
「壮真殿!!力を抜くな!!そこだ!!」
ミィが拳を構えた。
「・・・いく・・・」
ドゴォォォォォン!!
ミィの拳がバールの根元に叩き込まれ、鱗がわずかに浮き上がる。
壮真は叫ぶ。
「もう一発!!」
ミィは無表情のまま、しかし確実に力を込めて拳を振り下ろした。
ドガァァァァァン!!
鱗が大きく浮き上がり、壮真はバールを引き抜きながら叫んだ。
「剥がれた!!」
巨大な黒い鱗が地面に転がった。
サーヤは目を見開いた。
「やったのだ!!ライリュウのウロコ・・・!!これで・・・これでシマちゃんが・・・!!」
「動機がそれかよ!!」
その時―― ライリュウが大きく身を震わせた。
「ギャアアアアアアア!!」
視界を取り戻しつつある。
サーヤが叫ぶ。
「壮真殿!!ライトを!!」
「いや!!もうライトはあまり効かない。」
ミィは拳を握りしめた。
「・・・もう一枚、剥ぐ?」
「いや、危険すぎる!!今日はこれで撤退だ!!」
サーヤは鱗を抱え、満面の笑みを浮かべた。
「壮真殿!!これで・・・これでシマちゃんが・・・!!」
「まだ買わねぇよ!!」
三人と一匹は森の外へ戻り、巨大な鱗を見つめた。
ミィは静かに言う。
「・・・大きい・・・」
サーヤは頷く。
壮真は息を吐いた。
「よし・・・ ライリュウはまだ倒せてないけど、今日は大きな成果だな・・・」
ポポタヌは鱗の上に乗って「ポポッ!」と鳴いた。
サーヤは拳を握る。
「次こそ・・・ライリュウを完全に倒すのだ!!そしてシマちゃんを・・・!!」
「だから動機がそれなのやめろ!!」
ミィは袖をつまむ。
「・・・和牛は?」
「帰ったら買うよ!!」
ミィは小さく微笑んだ。
「・・・やった・・・」




