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第62話 ライリュウ討伐に向けて3

 

 翌朝。 三人と一匹は、ライリュウ討伐のための“罠の準備”に取りかかっていた。


 壮真はスマホを開き、 Amazonの画面をスクロールしながら呟く。


「さて・・・ライリュウを落とすための“目くらましライト”を買うか。」


 サーヤが身を乗り出す。


「うむ!昨日の作戦では、光でライリュウの視界を奪うのが重要だったな!」


 ミィは無表情のまま、 しかし鍋を抱えて座っている。


「・・・肉、まだ?」


「今は買い物中だって!!」


 ポポタヌは「ポポッ」と鳴き、壮真の膝の上に乗って画面を覗き込んでいる。


 壮真は“ストロボライト”で検索し、 画面に並ぶ商品を見ていく。


「お、これいいな。11000ルーメンの超強力ライト・・・ストロボ機能付き・・・レビューも高い・・・」


 サーヤが目を輝かせる。


「それはライリュウの目を潰せるのか?」


「いや、潰すって言い方やめろ!!でもまあ、目くらましには十分だな」


 ミィが画面を覗き込む。


「・・・光、強い?」


「めちゃくちゃ強いぞ」


 サーヤは画面を指差しながら言う。


「壮真殿!このライトは何個買うのだ?十個か?二十個か?百個か?」


「そんなにいらねぇよ!!」


 その時だった。


 サーヤの視線が、 画面の下にある“おすすめ商品”に吸い寄せられた。


「・・・ん?」


 そこには――


 シマエナガのぬいぐるみ(特大サイズ) シマエナガの抱き枕 シマエナガの加湿器 シマエナガのティッシュケースなど、シマちゃん関連グッズが大量に並んでいた。


 サーヤの瞳が、 キラキラと輝き始める。


「・・・・・・シマちゃん・・・?」


 壮真は嫌な予感がした。


「サーヤ・・・?」


 サーヤは震える声で言った。


「壮真殿・・・これは・・・買えるのだな・・・?」


「いや、今はライトを・・・」


「買えるのだな!?」


「落ち着け!!」


 しかしサーヤは完全に暴走モードに入っていた。


「シマちゃんの抱き枕・・・シマちゃんの加湿器・・・シマちゃんのティッシュケース・・・全部かわいいのだ!!全部欲しいのだ!!全部買うのだ!!」


「買わねぇよ!!」


 サーヤは壮真の腕を掴み、 揺さぶりながら叫ぶ。


「壮真殿!!これは必要経費なのだ!!ライリュウ討伐の士気を上げるために必要なのだ!!つまりこれは実質、戦闘装備なのだ!!」


「どこがだよ!!」


 ミィは無表情のまま言う。


「・・・シマちゃん、かわいい・・・」


「ミィまで!?お前は肉だけ見てろ!!」


 ポポタヌはシマエナガのぬいぐるみを見て 「ポポッ!」と喜んでいる。


「お前もかよ!!」


 サーヤは画面をスクロールしながら叫ぶ。


「壮真殿!!見よ!!このシマちゃんのマグカップ!!このシマちゃんのエプロン!!このシマちゃんのスマホケース!!全部かわいいのだ!!全部買うのだ!!」


「買わねぇって言ってんだろ!!」


 サーヤは涙目で訴える。


「壮真殿・・・私は・・・ずっと我慢してきたのだ・・・シマちゃんを・・・ずっと・・・ずっと・・・」


「知らねぇよ!!」


 ミィがぽつりと言う。


「・・・サーヤ、かわいそう」


「ミィ!?  お前は味方じゃないのか!!」


 サーヤはミィの手を握りしめる。


「ミィ・・・ おぬしはわかってくれるのだな・・・シマちゃんの尊さを・・・!」


 ミィはこくりと頷く。


「・・・かわいい・・・」


「ありがとうなのだ!!」


 壮真は頭を抱えた。


「なんで二人ともシマちゃんに落ちてんだよ・・・」


 その時・・・ミィの視線が別の商品に止まった。


「・・・これ・・・」


 壮真が画面を見ると・・・


 和牛食べ比べセット(特上) A5ランク和牛ステーキセット 和牛すき焼きセット


 など、肉の写真がずらりと並んでいた。


 ミィの目が、 キラリと光った。


「・・・壮真・・・」


「ん?」


 ミィは画面を指差し、 袖をつまみながら言った。


「・・・これ、食べたい・・・」


「いや、今はライトを・・・」


 ミィはさらに袖を引っ張る。


「・・・食べたい・・・」


「いや、だから・・・」


 ミィは壮真の腕にしがみつき、 上目遣いで言った。


「・・・食べたい・・・」


 壮真は顔を真っ赤にした。


「ず、ずるいぞその顔は!!」


 サーヤが叫ぶ。


「ミィ!!おぬしはずるいのだ!!その顔は反則なのだ!!壮真殿が困っているではないか!!」


 ミィは無表情のまま言う。


「・・・サーヤも、シマちゃんで困らせてる・・・」


「ぐっ・・・!」


 壮真は深呼吸した。


「よし、わかった!!ライリュウのクエストクリアでもらう予定のポイントで肉とシマちゃんを買う!!それでいいだろ!!」


 ミィは小さく頷いた。


「・・・うん」


 サーヤが叫ぶ。


「やったーーーーー!!!!めちゃめちゃ頑張るのだ!!!!」


 壮真はようやくライトをカートに入れ、 購入を確定させた。


「よし・・・これで罠の準備は進むな。」


 サーヤはシマちゃんのページを名残惜しそうに閉じた。


「・・・いつか・・・  いつか必ず・・・  シマちゃんを・・・」


「その時はポイント貯めてからな!!」


 ミィは和牛セットのページを見つめながら言う。


「・・・楽しみ・・・」


「お前はもう食べる気満々だな!!」


 ポポタヌは「ポポッ!」と鳴き、 和牛の写真に鼻を近づけていた。


 サーヤは雷封じの珠を握りしめ、 北の海を見つめた。


「ライリュウ・・・待っていろ・・・シマちゃんのために倒されてくれ・・・!」


 ミィは拳を握る。


「・・・倒す。和牛のために」


「動機が不純になってる!!」


 壮真は苦笑しながらも、 二人の頼もしさに胸が熱くなった。


 こうして三人と一匹は、 ライリュウ討伐のための準備を着々と進めていった。



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