第61話 ライリュウ討伐に向けて2
雷封じの珠が北の海へ向けて光を伸ばし、 ライリュウの魔力が動き始めていることが判明した夜。
三人と一匹は、 壮真の洞窟の前に集まり、 焚き火を囲んで“作戦会議”を始めていた。
ミィは煮込みを食べながら、 サーヤは雷封じの珠を抱えながら、 ポポタヌはパンをかじりながら、 壮真はメモ帳を広げながら。
「さて・・・ライリュウを倒すための“罠”を考えたいんだが・・・」
壮真が切り出すと、 サーヤが真剣な表情で頷いた。
「うむ。 ライリュウは空を飛ぶ。 落とし穴は使えん。海の上だから地上の罠もほぼ意味がない。」
ミィはスプーンを口に運びながら言う。
「・・・じゃあ、飛んでるのを殴る・・・」
「無理だよ!!」
壮真が即ツッコミを入れる。
「ミィ、あいつは空を飛んでるんだぞ!? どうやって殴るんだよ!」
ミィは無表情のまま、 しかし当然のように言った。
「・・・ジャンプ・・・」
「届かねぇよ!!」
サーヤも慌てて止める。
「ミィ、おぬしの跳躍力は確かにすごいが・・・ ライリュウは結構上のほうで浮いてたぞ!?」
ミィは少しだけ考えたあと、 真顔で言った。
「・・・じゃあ、もっと高く跳ぶ・・・」
「だから無理だって!!」
壮真は頭を抱えた。
壮真はメモ帳を開き、 ペンを走らせながら言った。
「まず、ライリュウの特徴を整理しよう。」
サーヤが指を折りながら言う。
「一つ、空を飛ぶ。 二つ、雷を操る。 三つ、海の上を縄張りにしている。 四つ、巨大。 五つ、硬そう。」
ミィが付け加える。
「・・・六つ、強そう」
「それはわかってる!!」
壮真は深呼吸し、 メモ帳に大きく書いた。
「これが問題だな・・・」
サーヤは腕を組んで考える。
「空を飛ぶ魔物を落とす方法は、私の世界ではいくつかあった。」
「例えば?」
「巨大な網で捕らえる。魔法で撃ち落とす。翼を凍らせる。地上に誘導して罠にかける・・・などだ。」
壮真は頷く。
「なるほど・・・でもライリュウは“雷属性”だよな。網は焼かれそうだし、魔法も弾かれそうだ。」
サーヤは雷封じの珠を見つめる。
「うむ。 雷封じの珠を使えば、 雷の力を一時的に封じることはできる。 だが・・・珠の効果範囲は狭い」
ミィが言う。
「・・・じゃあ、近づく」
「だから空を飛んでるんだって!!」
壮真は頭を抱えた。
壮真はメモ帳にいくつか案を書き出した。
「えーっと・・・ 空を飛ぶ敵を落とす方法・・・ 現代の知識だと・・・」
・ネットガン ・スタンガン ・麻酔銃 ・ロケットランチャー ・対空ミサイル ・ドローン ・レーザー ・巨大風船 ・電磁パルス ・落雷誘導装置
「・・・全部無理だな」
サーヤが呆れた顔で言う。
「壮真殿・・・ おぬしの世界は物騒すぎるのだ・・・」
ミィは無表情で言う。
「・・・ロケットランチャー、強そう。」
「いや、ないから!!とりあえず考えないといけないのはどうやって落とすかだ。」
壮真はメモ帳に大きく書いた。
【ライリュウを海に落とす罠】
「とりあえず、ワイヤーを使うとしてハンマーと杭で地面に打ち付ける。ただライリュウもそう簡単にはワイヤーなんかは避けてしまうだろう・・・そこで・・・」
壮真はタブレット内のアマゾンを2人に見せる。
「これは?懐中電灯?と書いてあるのか?」
「そうだ、これでライリュウの目をつぶす!」
「この棒みたいなのでどうやって?」
「これは俺が持っている懐中電灯だ。これはそんなに明るくないやつだが・・・サーヤ、こっちを向いてくれ。」
「なんだ?」
呼ばれたサーヤが壮真のほうを見ると、壮真がライトをサーヤに向けて付けた。
「ぎゃあああああああああ!!!まぶしいのだ!!!!めがあああ!!!!なにも見えんのだーーーーー!!!!!!!」
「このようにこの小さいライトの明るさでこの威力。最強の懐中電灯を買えば必ずライリュウは目を回し地上に落ちるだろう。その間にウロコを剥がす!!!」
「・・・ウロコをはがすだけ?倒さなくていいの?」
「そうだ、次のエリアに向かうにはライリュウのウロコが必要だ。ウロコだけなら倒さなくても入手できるんじゃないかって思って。わざわざ危ない橋を渡らなくてもいいかなって。」
「ほう・・・それはいいアイディアだが、さっきの仕返しだ!!!!!」
いきなり壮真の懐中電灯を奪ったサーヤは壮真に向け懐中電灯を放った!
「ぎゃああああああああ!!!目が!!!!!!!俺の目が!!!!!」
「ふん!当然の報いなのだ。」
「ふたり共・・・うるさい・・・」
・・・しばらくして落ち着いた二人。
サーヤはまだ少し怒っているような口調でいう。
「罠におびき寄せるのにも“誘導”が必要だな!」
ミィが言う。
「・・・餌?」
「餌で釣れるか!!」
壮真は言う。
「でも、誘導は必要だよな。雷封じの珠を使って、ライリュウを“怒らせて”誘導するのはどうだ?」
サーヤは目を輝かせた。
「なるほど・・・!雷封じの珠はライリュウの天敵のようなもの。近づければ、必ず反応するはずだ!」
ミィは静かに言う。
「・・・じゃあ、サーヤが囮?」
「いや、危険すぎるだろ!!」
サーヤは胸を張る。
「いや、私が囮になるのだ!これは使命なのだ!!シマちゃんのためにも!!」
「動機が不純だよ!!」
壮真はまとめた。
「よし、作戦はこうだ!」
① サーヤが雷封じの珠を持ってライリュウを誘導 ② ライリュウが怒って追いかけてくる ③ 陸の上に誘導 ④ ミィと壮真がが懐中電灯をライリュウの目に当てる ⑤ ライリュウが落下 ⑥ 雷封じの珠で雷を封じる ⑦ 鉄の杭ととミィの拳でライリュウの体を傷つけウロコを入手する
サーヤは拳を握る。
「完璧なのだ!!」
ミィは無表情で言う。
「・・・殴るの、楽しみ。」
壮真は苦笑した。
「いや、楽しむなよ・・・」
ポポタヌは「ポポッ!」と鳴き、 作戦成功を祈るように尻尾を振った。
サーヤは雷封じの珠を抱きしめ、 北の海を見つめた。
「ライリュウ・・・今度こそ一撃を入れる・・・!」
ミィは拳を握り、 壮真は魔法の練習を始める。
ポポタヌは荷物の上で丸くなり、 静かに目を閉じた。
こうして三人と一匹は、 ライリュウ討伐のための“罠作戦”を固めた。




