第60話 ライリュウ討伐に向けて1
雷封じの珠を手に入れた三人と一匹は、そのまま第3階層へ向かう・・・わけではなく。
「雷封じの珠は手に入れた。でもダンジョンはまだまだ続いているようだ・・・どうする?」
「・・・帰る・・・」
ミィが当然のように言った。
「え、帰るのか?」
「・・・お腹すいた・・・」
「結局そこかよ!!」
サーヤは珠を大事そうに抱えながら頷く。
「うむ。雷封じの珠の検証も必要だ。一度地上に戻るのが賢明だろう。」
ポポタヌは「ポポッ!」と賛成の声を上げた。
こうして三人と一匹は、ダンジョン入口へと戻っていった。
「ふぅ・・・やっと帰ってきた・・・」
壮真は荷物を下ろし、簡易テントの横に腰を下ろした。
ミィはすでに鍋を持ってきている。
「・・・食べる・・・」
「まだ何も入ってねぇよ!!」
サーヤは雷封じの珠をテーブルに置き、じっと見つめていた。
「これが・・・雷封じの珠・・・古代の魔道具・・・本物なのだな・・・」
壮真はスマホを取り出し、珠の近くに置いてみる。
「吸われたり・・・しないよな?」
サーヤが慌てて珠を抱えた。
「だ、だめなのだ!!これはアマゾンポイントにしてはならん!!シマちゃんは欲しいけど・・・それを買うためにポイントにしてはダメなのだ!!」
「いや、そんなことしねぇよ!!」
ミィは鍋を抱えたまま、珠をじっと見つめる。
「・・・食べられる?」
「食べるな!!」
サーヤは珠を両手で包み、目を閉じた。すると珠が――ふわりと青白く光った。
「おお・・・!」
壮真が身を乗り出す。
ミィも無表情のまま、しかし興味深そうに見つめている。
サーヤは目を開けた。
「・・・やはり、私には反応するようだ。」
「清らかな乙女しか使えないって書いてあったもんな。」
「うむ。つまり、この珠を使えるのは・・・」
サーヤはミィを見る。
ミィは無表情で珠に触れた。
珠は――
ピクリとも光らなかった。
「・・・?」
ミィが首をかしげる。
サーヤは複雑な表情で言った。
「ミィ・・・おぬし・・・清らかではないのか・・・?」
「・・・?」
壮真は慌てて止める。
「いやいやいや!!ミィは悪くないからな!?ただ相性の問題だろ!!」
ミィは無表情のまま言った。
「・・・清らか、じゃない?」
「違う違う違う!!」
ポポタヌは「ポポッ!」と鳴き、ミィの肩に乗って慰めている。
サーヤは胸に手を当て、誇らしげに言った。
「つまり・・・雷封じの珠を使えるのは、この私だけということbなのだ!」
壮真は苦笑した。
「まあ・・・頼りにしてるよ。」
サーヤは顔を赤くし、そっぽを向いた。
「べ、別に壮真殿のためではないのだ・・・これは使命なのだ・・・!」
ミィは袖をつまむ。
「・・・壮真のために、使えない・・・」
「いや、ミィは戦闘で十分頼りになるから!!」
壮真は鍋に火をつけ、今日の食材を取り出した。
「さて・・・今日は何を作るかな」
ミィは即答した。
「・・・肉・・・」
「お前はいつも肉だな!!」
サーヤは雷封じの珠を抱えながら言う。
「壮真殿、今日は“温かいもの”が食べたいのだ。」
「じゃあ・・・煮込みでも作るか」
ミィの目が輝く。
「・・・煮込み・・・好き」
ポポタヌは「ポポッ!」と跳ねた。
壮真は笑いながら鍋に具材を入れ、煮込み始めた。
氷の階層で冷えた体に、温かい匂いが染み渡る。
シチューが煮える頃――
雷封じの珠が、突然ふわりと光った。
「・・・ん?」
サーヤが珠を持ち上げる。
珠は、北の海の方向へ向けて光を伸ばしていた。
壮真は息を呑む。
「これ・・・ライリュウのいる方向じゃないか?」
サーヤは真剣な表情で頷く。
「うむ。珠が“反応”している・・・ライリュウの魔力が動いているのだ。」
ミィは拳を握る。
「・・・来る?」
「いや・・・まだ遠い。だが、目覚めかけているのは確かだ。」
壮真は深呼吸した。
「じゃあ・・・急がないとな」
サーヤは珠を握りしめる。
「うむ。ライリュウの動きを封じる策を考えないといけないのだ。」
ミィは静かに言った。
「・・・倒す。壮真を守る。」
壮真は手をミィの頭をポンと置きながら笑った。
「頼りにしてる。」
ポポタヌは「ポポッ!」と鳴き、三人の足元を走り回った。
こうして三人と一匹は、雷封じの珠の力を確かめ、ライリュウとの決戦に向けて準備を整えた。




