第56話 初めてのダンジョンへ5
ボス部屋でカニ鍋を平らげ、ミィとサーヤのカニ争奪戦もなんとか収まり、Amazonポイント500という嬉しい誤算も得た三人と一匹。
壮真は鍋を片付けながら、ボス部屋の奥にある“もう一つの扉”を見つめていた。
「・・・なあサーヤ。あれってさ・・・」
「うむ。間違いなく“次の階層への扉”だ。」
ミィはカニの殻をしゃぶりながら、無表情で扉を見つめる。
「・・・行く?」
「いや、お前は食べ終わってからにしろ!!」
ポポタヌは「ポポッ!」と鳴き、ミィの足元にぴたりと寄り添う。
サーヤは剣を握り直し、真剣な表情で言った。
「壮真殿、ミィ。第2階層は第1階層より危険だ。気を引き締めていくのだ。」
壮真は深呼吸し、頷いた。
「よし・・・行こう。」
三人と一匹は、赤い結晶が照らすボス部屋を後にし、第2階層への扉を押し開けた。
扉を抜けた瞬間――
空気が一変した。
「・・・寒っ!!」
壮真は思わず身を縮めた。
第2階層は、まるで冷凍庫の中のように冷たい空気が漂っていた。
壁は青白く光り、床には薄い氷が張っている。
「・・・ここ、寒い・・・」
ミィが袖をつまむ。
「1階層とはまるで違うな・・・魔力の属性が“氷”に変わっている。」
サーヤが壁に触れると、氷の結晶がふわっと輝いた。
「うわ・・・綺麗だけど、滑りそうだな。」
壮真が足を滑らせそうになり、ミィが腕を掴んで支える。
「・・・危ない・・・」
「すまん、ありがとう。」
ポポタヌは氷の上を滑りながら「ポポッ!」と鳴いている。
「おい、楽しんでる場合じゃないぞ・・・!」
サーヤは剣を構え、通路の奥を睨んだ。
「気をつけろ。氷属性の魔物が出るはずだ」
その時――
ゴゴゴゴゴゴ・・・
地鳴りのような音が響いた。
「・・・来る」
ミィが拳を握る。
暗闇の奥から姿を現したのは――
巨大な氷のゴーレムだった。
全身が透明な氷でできており、腕は太い氷柱のように鋭く、
胸には青白い魔力の核が脈動している。
「・・・なんだあれ!?ロボットか!?」
「“氷魔力で動く魔像”だ。しかも・・・かなり強いぞ!」
サーヤが剣を構える。
ミィは無表情のまま前に出た。
「・・・倒す・・・」
ゴーレムが腕を振り下ろす。
ドォォォォォン!!!
床が砕け、氷の破片が飛び散る。
「うわっ!?危ねぇ!!」
ミィは氷片を避け、拳をゴーレムの足に叩き込んだ。
ドゴォッ!!
しかし――
「・・・硬い・・・」
拳が弾かれた。
サーヤが横から斬りかかる。
「はああああっ!!」
ガキィィィィン!!!
剣が凍りつき、サーヤは慌てて剣を引き抜いた。
「くっ・・・!氷の魔力が強すぎる・・・!」
ゴーレムが胸の核を光らせる。
「・・・危険・・・」
ミィが呟いた瞬間――
ゴーレムが氷の槍を放った。
「サーヤ!!」
壮真が叫ぶ。
サーヤは剣で受け止めるが、氷の槍は剣を凍らせながら押し込んでくる。
「ぐっ・・・!!」
ミィが飛び込み、氷の槍を拳で砕いた。
「・・・サーヤ、下がって・・・」
「すまん・・・助かった」
ミィは無表情のまま、しかし拳を握りしめていた。
「・・・あれ、強い・・・」
サーヤが叫ぶ。
「ミィ!連携するぞ!」
「・・・うん・・・」
サーヤがゴーレムの前に立つ。
「ミィ!私が注意を引く!おぬしは核を狙え!!」
「・・・わかった」
ゴーレムが腕を振り下ろす。
サーヤは剣で受け止め、氷の衝撃を必死に耐える。
「ぐっ・・・重い・・・!!」
「・・・サーヤ、がんばれ・・・」
ミィはゴーレムの背後に回り込み、氷の足を蹴り上げた。
ドガァッ!!
ゴーレムがわずかに揺れる。
サーヤが叫ぶ。
「ミィ!今だ!!」
「・・・いく!!」
ミィは跳び上がり、ゴーレムの胸の核に拳を叩き込んだ。
ドゴォォォォォォン!!!
氷が砕け、核が露出する。
サーヤが剣を構える。
「とどめだ!!」
剣が核を貫いた。
ゴーレムは大きく揺れ――
バラバラに砕け散った。
「・・・倒した・・・」
ミィが無表情のまま言う。
サーヤは剣を収め、深く息を吐いた。
「ふぅ・・・ミィ、おぬしの拳がなければ危なかった」
「・・・サーヤが守った・・・」
「いや、おぬしが砕いたのだ!」
壮真は二人を見て笑った。
「お前ら、いいコンビだな!」
ミィは少しだけ頬を赤くし、サーヤは照れ隠しのように咳払いした。
「ま、まあ当然だ。我々は仲間だからな!」
ポポタヌは氷の破片をつつきながら「ポポッ!」と鳴いた。
壮真は砕けたゴーレムが消えそのあとには、青白く光る“氷魔核”があった。
「これ・・・またスマホに吸われるのかな?」
サーヤが目を輝かせる。
「壮真殿!やってみるのだ!!」
ミィは無表情で言う。
「・・・ポイント、おいしい?」
「だから食べ物じゃねぇよ!!」
壮真は苦笑しながら、氷魔核をスマホの横に置いた。
スマホが震え始める。
「・・・また来た!!」
画面が光り――
【AMAZONポイント +5】
「5ポイント・・・」
「少ないのだ!!!!」
ミィは首をかしげる。
「・・・5ポイント、は駄目?」
「駄目じゃないけど、思ったより少ない、じゃあ1階層で拾った魔核のかけらは?」
壮真はヤドカリを倒して手にしたかけらをスマホへ近づける・・・
魔幕のかけらはスマホへ吸い込まれ画面には
【AMAZONポイント +1】と表示されていた。
「これは結構頑張らないと駄目だな。ボスは破格だったからボスを倒した方が早いかもな・・・とりあえず次進むぞ!」
「わかったのだ!」
「・・・ん・・・」
壮真たちは気を取り直して探索をつづけた。




