表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/93

第48話 食料確保4


 ザットンのBBQ祭りから一夜明けた朝。


 洞窟の外は、鳥の鳴き声と柔らかな朝日で満たされていた。


 壮真はコーヒーを飲みながら本日の予定を考えていた。


「肉は確保できた。あとは野菜か・・・」


 そう考えながら、ふと洞窟の横の空き地を見つめた。


「・・・ここ、畑にできるんじゃないか?」


 地面は柔らかく、日当たりも悪くない。


 水は部屋の蛇口から無限に出る。


 肥料は・・・まあ、なんとかなるだろう。


「よし、畑を作るか。」


 壮真がスコップを持ち上げた瞬間――


「・・・手伝う」


 背後から無表情の声がした。


 振り返ると、ミィがじっと壮真を見上げていた。


「お、おはようミィ。早いな」


「・・・壮真、起きた音・・・聞こえた・・・」


「そんなに早く反応しなくても・・・」


 ミィは無表情のままだが、耳がピコピコしていて全身で“嬉しい”を表していた。


「・・・畑、作る?」


「ああ。食料を安定させるためにな」


「・・・手伝う。役に立ちたい・・・」


「そ、そうか。助かるよ。」


 ミィはこくりと頷き、


 壮真の横にぴたりと張り付くように立った。


 その距離、近い。


 近すぎる。


「ミィ、ちょっと近いぞ?」


「・・・近いほうが・・・いい・・・」


「いや、そう言われても・・・」


 ミィは無表情のまま、壮真の袖をそっとつまんだ。


「・・・離れたくない」


「お、おう・・・?」


 そのとき――


「なにをしているのだ貴様らぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!はっはっ破廉恥なのだ!!!!」


 洞窟の奥から怒号が響いた。


 サーヤが鎧姿のまま飛び出してきて、壮真とミィの間にズバッと割り込む。


「ミィ!おぬし、壮真殿に近づきすぎだ!!」


「・・・近づきたい」


「だめだ!!」


 サーヤはミィの肩を掴んで引きはがそうとするが、


 ミィは無表情のまま壮真の袖を離さない。


「・・・離れない・・・」


「離れろ!!」


「・・・やだ・・・」


「やだじゃない!!」


 壮真は苦笑しながら二人を見た。


「まあまあ、二人とも落ち着けって」


「落ち着けるか!!」


 サーヤが叫ぶ。


「ミィは最近、壮真殿に懐きすぎだ!昨日のBBQでも、タレをもらった瞬間からずっと壮真殿の後ろをついて回って・・・」


「・・・嫉妬?」


 ミィは首をかしげた。


「違う!!」


 サーヤが真っ赤になって叫ぶ。


「ち、違う!!違うからな!!」


「・・・壮真、サーヤが嫉妬してる」


「言うな!!」


 壮真は頭をかきながら笑った。


「まあ、仲良くやろうぜ。畑作りは三人でやったほうが早いしな。」


 サーヤはそっぽを向きながらも、


 耳が真っ赤だった。


「なんかあっさり流されているようで嫌なのだ・・・」


「・・・サーヤも一緒にやる?」


「当たり前だ!!」


 三人は空き地に集まり、畑づくりを始めた。


 壮真はスコップで土を掘り返し、ミィは巨大な石を軽々と持ち上げて運び、サーヤは雑草を剣で切り払っていく。


「おいサーヤ、剣で草刈りするな!刃が痛むだろ!」


「ふん、わが愛剣はこれぐらいどうということはない!」


 ミィは無表情のまま、壮真の横にぴたりと寄り添いながら作業を続ける。


「ミィ、もう少し離れて作業しろって」


「・・・やだ・・・」


「お前なぁ・・・」


 サーヤはその様子を見て、また耳を赤くした。


「ミィ!おぬし、壮真殿の邪魔だろう!」


「・・・邪魔じゃない。壮真、喜んでる・・・」


「喜んでない!!」


 壮真は慌てて否定するが、ミィはじっと見つめてくる。


「・・・喜んでる?」


「いや、まあ・・・嫌ではないけど・・・」


「・・・ほら・・・」


「壮真殿!おぬしは甘やかしすぎだ!!ミィはすぐ調子に乗るのだぞ!!」


 サーヤが叫ぶ。


「・・・乗ってない・・・」


「乗ってる!!」


 ミィは無表情のまま、壮真の袖をまたつまんだ。


「・・・壮真、好き・・・」


「ぶっ!!」


 壮真はスコップを落とし、サーヤは固まった。


「お、おぬし・・・今なんと言った・・・?」


「・・・壮真、好き。ごはんくれるし・・・一緒にいると・・・安心する。ごはんくれるし・・・優しい

し・・・ごはんくれるし・・・」


「ごはんが3回出てきたな!!」


 サーヤが叫ぶ。


「違う・・・それだけじゃない。タレ・・・おいしかった・・・」


「結局ごはんじゃねえか!!!」


 サーヤは口をパクパクさせながら、真っ赤になって叫ぶ。


「そ、壮真殿!!はっ破廉恥だー!!!」


「いや、なんでだよ!?」


「・・・壮真、ごはんくれて助けてくれた・・・感謝・・・だから好き・・・」


「わあっ私だって・・・」


 サーヤは剣を地面に突き刺し、深呼吸した。


「私だって・・・その・・・壮真殿には・・・感謝しているのだ・・・!」


「えっ?」


 壮真が驚くと、サーヤはさらに真っ赤になった。


「ふ、風呂を貸してくれたり・・・食事を分けてくれたり・・・寝床を提供してくれたり・・・その・・・いろいろと・・・!」


「サーヤ・・・」


「だが!!ミィのようにベタベタするのは違う!!私は騎士だ!!節度を持つのだ!!」


「・・・サーヤも、壮真好き?」


「言わせるなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


 洞窟にサーヤの叫びが響き渡った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ