第45話 食料確保1
ミィが壮真たちと暮らし始めて数日がたった・・・
壮真の部屋のテーブルには、空になったレトルトご飯の袋が山のように積み上がっていた。
「・・・おい、ミィ・・・」
壮真は震える声で言った。
「お前、これ・・・全部食ったのか?」
ミィは無表情のまま、こくりと頷いた。
「・・・うん。おいしかった」
「いや、うんじゃねぇよ!!」
壮真は頭を抱えた。
「これ、非常食なんだぞ!?俺達が一年以上持つように計算してたんだぞ!?なんで一食で六人分も食うんだよ!!」
「・・・足りなかった」
「足りなかったのかよ!!」
サーヤが腕を組み、ふんと鼻を鳴らす。
「壮真よ、ミィは武闘家だぞ。」
「武道家だからどうした?」
「武闘家は一日に二十食は食べる」
「二十食!?嘘だろ!!」
「そうれは嘘・・・そんなに食べない・・・15人分ぐらい・・・」
「変わらねーよ!!!」
壮真はテーブルに突っ伏した。
「・・・終わった・・・詰んだ・・・」
ミィはそんな壮真の肩をつつき、ぽつりと言った。
「・・・まだ食べていい?」
「食べるな!!」
壮真は深呼吸し、テーブルに地図を広げた。
といっても、紙に殴り書きした簡易地図だ。
「・・・とにかく、食料確保が最優先だ。ミィがこのペースで食ったら、俺の備蓄は1か月で消える。」
「・・・1か月?」
ミィが小首をかしげる。
「・・・じゃあ、もっと食べていい?」
「ダメだ!!」
サーヤが腕を組んで言う。
「壮真よ、ミィを止めるのは無理だぞ。武道家は食べ物を見たら胃袋が勝手に動く。」
「そんな生き物みたいに言うなよ!」
壮真は頭を抱えた。
「・・・とにかく、狩りと採取をするしかない。ミィ、北側の生き物はお前の世界の生き物では無いんだよな?」
「ん・・・。」
「調べ無いといけないけど、そんな危険を背負うより今わかってる範囲で狩りと採取をするか。」
「こちら側といえばチャーキー、ムームー・・・」
「チャーキーはやめとけ。死にかけのやつに群がる鳥だろ」
「味は微妙だが食えなくはないぞ。」
「食いたくねぇよ!!」
ミィが手を挙げた。
「・・・ムームー、おいしい?」
「うむ。乳もうまいぞ」
「・・・じゃあ、狩る。」
「狩るな!!」
壮真が慌てて止める。
「ムームーは草食でおとなしいんだろ!?そんなの狩ったら罪悪感で死ぬわ!」
「・・・じゃあ、乳だけもらう?」
「それは・・・まあ、ありか?」
サーヤが頷く。
「ムームーは温厚だから、慣れれば乳を搾らせてくれるぞ。だが、問題は・・・」
「問題?」
「男じゃないと採らせてくれない・・・」
「なんで!!」
「ムームーは何故か女が乳を搾ろうとすると怒るんだ。逆に男が絞ろうとすると我先にと寄ってくるんだ。」
「何そのセクハラ・・・怖い!」
壮真は地図を指差しながら言った。
「とにかく、食料候補を整理しよう」
●候補1:ムームーの乳
・安全
・栄養価高い
・サーヤの世界では一般的
・壮真しか搾れない
●候補2:チャーキー
・食べられる
・味は微妙
・死にかけのやつに寄ってくるのでなんか嫌
●候補3:ザットン
・肉美味しい、量もある。
・デカいが倒せない事はない。
・スキルなしで勝てるかどうか?
●候補4:海の生き物
・牙のある貝がいる
・サメ怖い
●候補5:地球側の動物
・虎がいる
・ゴリラもいる
・危険度高すぎ
壮真はため息をついた。
「この中ならムームーとザットンだな。」
壮真は気を取り直し、真剣な顔で言った。
「・・・でも狩りだけじゃ不安定かな?食料を安定して確保する方法も考えよう。」
サーヤが手を挙げる。
「畑を作るのはどうだ?」
「畑?」
「うむ。ムジ(米)もあるのだろう?なら育てればいい。」
「いや、米は時間がかかるんだよ・・・田んぼから作らないといけないし・・・」
ミィがぽつりと言う。
「・・・ムームー、育てる?」
「それは・・・まあ、ありか?」
サーヤが頷く。
「ムームーは温厚だから、飼うこともできるぞ。ただし・・・」
「ただし?」
「壮真殿にしか懐かん!!」
「またそれかよ!!」
壮真は深呼吸し、最終案をまとめた。
●壮真の役割
・道具作り
・罠作り
・保存食の研究
・畑の開拓
●サーヤの役割
・狩り(ザットン)
・護衛
・ミィの暴走を止める(できれば)
●ミィの役割
・狩り(ザットン)
・運搬
・食べ過ぎない努力(本気でやれ)
壮真は言った。
「・・・これでいくしかないな」
「・・・サバイバル生活、前途多難すぎる・・・」
ミィは無表情のまま、壮真の袖を引っ張った。
「・・・ご飯、まだある?」
「ないよ!!!!!!」
洞窟に壮真の声が響いた。




