第43話 新たなる同居人2
洞窟の奥、壮真の部屋。
「ここが俺たちの拠点、俺の部屋だ。」
壮真がミィを案内し部屋を説明する。
「これが・・・異世界の部屋・・・」
ミィは無表情だがシッポがピコピコ動くので興味津々といったとこだ。
「まあ、遠慮せずに気楽にしたらいいのだ。」
部屋着に着替えてシマちゃんを抱き枕にごろごろするサーヤを見て壮真は
「お前は気楽過ぎだ!」と突っ込む。
その言い争いを横目にミィは部屋の中を無言でぐるぐる歩き回っていた。
「ミィ、そんなにキョロキョロしてどうした?やっぱり珍しいか?」
壮真が声をかけると、ミィはぴたっと止まり、指を一本だけ上げた。
「・・・ここ、すごい。全部、初めて見る。」
「まあ、そうだろうな。」
すると横からサーヤが胸を張って割り込んできた。
「ふふん!ミィよ、すごいであろう!」
サーヤは壮真のベッドに立ち上がり腕を組み仁王立ちをし、
「こここそが私が発見した異世界文明の拠点なのだ!!」
「いやいや、俺の部屋だからな!」
「細かいことは気にしないのだ!」
サーヤはドヤ顔でミィの肩を抱いた。
「よいかミィ!この世界の文明はすごいぞ!まずはこれを見ろ!」
サーヤが指差したのは・・・テレビ。
「これはな、絵が動くのだ!」
「・・・絵が、動く?」
ミィは画面をじっと見つめる。
壮真がDVDを再生すると、魔法少女が空を飛び回りながら敵を倒すシーンが流れた。
ミィの目が一瞬で丸くなる。
「・・・動いた」
「そうだ!しかも音も出る!これは幻術ではない!文明の力だ!」
「いやだから俺の世界の技術で・・・」
「私が発見した文明の力だ!!」
「お前ほんとなんなんだよ・・・」
ミィは画面に顔を近づけ、まるで匂いを嗅ぐようにじっと観察する。
「・・・これ、どうやって動いてる?」
「魔法ではないぞ!なんと電気という力で動いているのだ!」
「電気?・・・」
ミィはテレビの裏に回り、コードをつまんでみる。
「・・・これ、何?」
「それは危ない!死ぬぞ!」
サーヤが慌ててミィの手を引っ張る。
「電気はな、触るとビリビリするのだ!私は一度、壮真の部屋の壁にある穴に金属を入れて・・・ぎゃああああ!!思い出しただけでも恐ろしい!!!」
「いいかミィ電機は触るとビリビリして死ぬこともある。だから絶対にこの壁から出ている線とかをちぎったり噛んだり、誰かさんみたいに棒を突っ込んだりしないようにな。」
ミィはこくりと頷いた。
「・・・電気、こわい。・・・覚えた。」
ミィは次に冷蔵庫の前で立ち止まった。
「・・・この箱、何?」
「それは冷蔵庫だ。食べ物を冷やして保存する道具なのだ。」
サーヤがまた胸を張る。
「そうだ!これはな、食べ物を腐らせない魔道具・・・」
「魔道具じゃないって言ってるだろ」
「私が発見した文明の宝だ!!」
「お前ほんとに黙れ。」
ミィは冷蔵庫の中を覗き込み、冷凍弁当を手に取った。
「・・・これ、食べ物?」
「そうだ。温めればすぐ食べられる」
「温める・・・?」
ミィは弁当をじっと見つめ、次の瞬間・・・
「・・・こう?」
弁当を両手で抱きしめ、気合を入れた。
「はぁぁぁぁぁ・・・!」
「ちょっと待てミィ!それは気で温めるものじゃない!」
「えっ?・・・違う?」
「違う!この電子レンジで温めるんだ!」
サーヤがまた割り込む。
「そうだミィ!この電子レンジはな、食べ物を一瞬で温める魔道具なのだ!」
「だから魔道具じゃないって言ってるだろ!」
「私が発見した文明の奇跡だ!!」
「もう突っ込むの疲れた・・・」
ミィは電子レンジの前に座り込み、じっと回る弁当を見つめた。
「・・・回ってる・・・」
「そうだな。」
「・・・なんで回ってる?」
「発見者のサーヤに説明してもらおう・・・」
「電気の力だ!」
「そうだけど、説明になってない!」
チン!と音が鳴り弁当が暖められる。
いい匂いがしてミィが花をヒクヒクさせる。
「食べてもいい?・・・」
「ああ、いいよ。・・・さっきも弁当食べたばかりなのによく食べるな。早いところ食料をまた確保しないとな。」
もぐもぐと食べるミィを見て壮真は早急に食料の備蓄状況を考えないとと思いスマホのToDoリストに書き込んだ。




