旅の準備
トワに魔法を教え続けてもうすでに六年の月日が経っていた。
彼女はもうすでにこの世界の大半の人類ではたどり着けない領域にいるのだろうが、彼女自身それを知らずに過ごしている。
「創造神様、やはりトワはこの集落にいるべきではないと私は考えています」
「……それはなぜだ?」
「トワは……もうすでにこの世界の人類では上位の力を持つ存在となっていますが、それは実戦経験があまり伴っていないので実力とはとても言えません」
確かにトワについては呑気で人にすぐ付いていく事や、魔法を使う素質が高いことほどしか私も正しく理解できていない。
「それでこの集落から旅にでも出して経験を積ませた方がいいという提言か」
「はい……創造神様が必要ないと判断されるのであればそれはそれでよいのですが……」
「いや、いい」
ちょうど私もトワの実戦経験についても考えていた頃合いだ。トワはハイエルフであるため人類としての成長を考えるのならばまだ幼児に過ぎないが経験はあったほうがいいのかもしれない。私自身、世界の地に立って過ごす経験という事も少ないからともに経験をすることを考えてもそれは有益だと考えられる。
「私はトワを連れてしばらく旅に出ることにする」
「左様ですか」
「改めて考えると、崇める神としている私がこの場にいなくてもいいものなのか?」
「大丈夫です、確立された信仰があればそこに実際に神がいなくてもいいのです」
私が絶対にこの集落にいる必要はないという事が分かったことだ。あとはトワ本人に旅に行きたいか聞いてみることにしよう
……
「旅?」
「そうだ、旅だ」
「外行くってこと?」
「そういう事なんじゃないか、細部が間違っている気がするが」
「じゃあ行きたいー」
などとトワ本人はそこそこ乗り気らしい。
ならば早速旅の準備をはじめるとしよう。
旅の準備なんて私が数年前に使っていた物と同じで十分だろう。トワの分については新調する必要があるか。
そうして私はトワの体の大きさに合ったこの世界の冒険者に必要とされている持ち物を創造する。
「これも魔法?」
とトワが質問をしてくる。そういえばトワの前で『創造』の力を使ったのは初めてだった。
「魔法とはまた違うが、部分的には魔法とも捉えられる。これは私が神として『秩序』の力を用いる技術だ」
トワはよくわからないといった表情でわたしを見つめていた
「難しくてわかんないけど、それってわたしでも使えるの?」
「……このように完璧な状態で使うことは難しいかもしれないが、トワなら数年で初歩くらいは使うことができるようになっているかもしれないな」
「ながーい、早く使えるようになりたいよー」
そんな話をしている間にトワに持たせる物の準備は終わった。




