出発
「えっとこれは……誰かからもらったのですか?」
旅に出る前に挨拶をしにトワの母の所に出向いたらこのようなことを言われた。
「もらってはいないぞ、自分で創った」
「あーそういえば『創造』の神様でしたねー、何気に『創造』の神様らしくしているところ見たことありませんでしたねー」
「なんだか口調がいつもと変わっていないか?体調でも悪いのか?」
「トワのことが心配なのはやまやまですが、体調悪くなるほどまでではないので大丈夫ですよー」
「本当にどうしたんだ?」
この世界にきて人類と彼等にとっては長い時間を共に過ごしたが、やはりまだ何を考えているかを私が理解するのは難しい。
「そういえば、かなり現実的な心配事がありましたね」
「なんだ、他にもあったのか」
「ええ、最近人間たちの国家間での争いがちょっと不穏になっているという事で注意してください。なにかと、人間の争いごとはとても面倒なので」
「気をつけよう」
「人間の争いはエルフや他種族にも悪影響が出るくらいには厄介なので、とりあえずお言葉ですがあまり常識のなさそうな創造神様は、偉そうな人間を見たら関わらないほうがいいと思います」
私は彼女に常識がないように思われていたのか……事実だが。
「まぁ、私も人間の集団の中には暫くいたが、トワの力でも十分一人でやっていけると思う」
「うーん……そこじゃないんですよね……」
「どういうことだ?」
「人間って、単純な力より人との繋がりによる立場や権力が重要視されますし、まぁ私達や他の種族もそうなんですが、人間はそれに結構こだわりがあるので」
人間は強い上下関係がある種族らしく、他種族には配慮が多少あるらしいが冒険者は大抵身分が低い者たちがしている職業らしい。
「あまり気にしていてもきりがありません、なんか厄介ごとの予感がしたなと思ったら早めに離れたほうがいいです」
「わかった」
彼女がここまで細かく注意するのならそれは本当に厄介なのだろう。
「では私達は明日の朝にはここを出ることにする」
「わかりました、この集落はまた私がまとめ役としてやらせてもらいます」
トワの母はしっかり者な上、私より圧倒的に経験があるだろう。私がいても実質的なリーダーは彼女のようなものでもあった事実もある。
「あ、ちゃんとたまにはここに戻ってきてくださいよ」
「旅が終わったらきちんと戻ってくるぞ」
「旅の途中でも近くに来たら顔を見せてくださいよ」
「なぜだ?」
「なぜって……あんまりトワの顔見れないと私泣きますよ?」
「?」
トワの顔を見れないと泣くのは何故だろうか、何かの病気なのだろうか?
「すごい不思議そうな顔してますね……」
「泣く理由がよくわからなくてな」
「は~……親は子がとても大事なんですよー、トワちゃんがここにいないと悲しくなっちゃいますよー」
私にはよくわからないが親子とはそういうものなのだろうか?きっと彼女がそういうのであればそうなのだろう。
「わかった、近くを通ったらここに寄ることにする」
「……ありがとうございます」
……
「ちゃんとトワちゃんは旅ができるのかしら……」
明日トワちゃんが旅に出ることを考えて、私は少しだけ泣いてしまいました。




