特にやることはない「神様」
エルフの集落の神になったとはいっても、実情は彼等から日常的に崇められているだけで私がこの世界に来てからの日常が変化するわけではなかった。彼等は私が来る前は寿命の概念がほとんど存在しないと言われている”ハイエルフ”というエルフの中でも特別な存在を中心として生活していたようだ。トワはそのハイエルフの子であるらしい。ハイエルフは精霊を見ることができるようで、きっとトワも同じく見えるようになったのだろう。
……
「で、私は本当に信仰の対象になるだけでいいのだな?」
「はい……もともと私達ハイエルフを中心にただ生活をしていただけなので……」
トワの母が少し引き気味で話す。
「それでも信仰というものは生活に大きな影響を与えます」
「どのようにだ?」
「信仰する対象の力を少し借りることができて、それは強い存在ほど効果があります」
確かに私のようなこの世界全体にも影響をもたらすような『秩序』は珍しいし、そのような力を使いたがるのも当然の事だろう。
「まぁそれほど大きな効果が出るわけでも無いですし、ここに滞在する必要がなければこれまで通りに生活をしてもらっても大丈夫です」
「うん……私は少しトワの面倒を見て行こうと思う」
「そんな事されなくても大丈夫ですのに……」
トワに魔法を教えたのは私なのだからこれくらいのけじめはつけておくべきだと私は考えていた。
……
「ソウちゃんは私にずっと魔法を教えてくれるの?」
「ああ、君が満足するまではわたしができることをしよう」
こうして数年間の間このエルフの集落にてトワに魔法を教える日々が続いた。




