不可抗力の協力関係
私は街を出てあの少女と戦った場所に向かった。
「生きているか?」
「……」
私がそこに着いた時には今にも死にそうなほど衰弱したセラが横たわっていた。
「おおよそ、トワに魔法を破られたことによる反動か……歪められた《神聖魔法》ならかなり身を削るな」
セラは何も答えない、と言うより答えることができないのだろう。
「体の組織を創り直す、ドラゴンと戦った時に致命傷を治したのと同じだ」
私は彼女の体の中の血管、その中を流れる血液を創り出す。
「疲労などは治らないが喋ることくらいはできるだろう? 聞かせてもらおうか、今まで話して来なかった事を」
私がそう言うとセラはゆっくりと口を開いた。
「……あなたに助けられるとはね、そう……情報ね…………喋ればもう私は消されるかもしれないけど言うしかないわね」
「殺されるような事なのか?」
「私の《神聖魔法》が弄られた時にたぶん制約に近い枷をつけられた……気がする」
セラをよく見てみれば本人のものと違う魔力を見つけた。
「なるほど、私がその枷は効果が無いようにする、だから話せ……まずはあの男の話からだな」
「それをすぐに信用できるわけじゃないけど……そうね、あの男はあのエルフの子と戦った後……」
それから私はセラからあの男と知り合った状況とひとまずの目的、それと歪められた《神聖魔法》についての話を聞いた。
「《神聖魔法》は『唯一神』から与えられたのか?」
「ええ、おそらくあの男の物もそうだけど……『唯一神』の意志でその《神聖魔法》を歪められるとは思わないわ……」
元凶は『唯一神』ではなく、あの男なのだろう。
「あの男が次に向かいそうな場所や目的はわかるか?」
「わからない……けどあの服……教会の物を弄ったものだと思う」
どこまでもあの男は何かを弄るのが好きらしい。だが、これで次に調べるべき場所がわかった。
「教会……だな」
「教会に攻撃でも仕掛けるつもりなの? やめた方がいいと思うわ」
「何故だ?」
「教会……『星神教』はこの世界では民衆の拠り所、攻撃でもしたら確実に迫害されるわ」
『星神教』? 『星』の事か? いや、あの神には『唯一神』と呼べるほど複数の『秩序』は持っていない。
「私は宗教には疎くてな、この世界の神話について詳しく聞いてもいいか?」
「その程度ならいいけど……あなた今までどんな暮らしをしてきたの? 子供の頃くらい神話を聞いたことはあるはず……」
そこまで言ってセラは何かに気づいたようにハッとした。
「あなた……本当に『神』なの?」
「……そうだな、私は『創造』、『唯一神』とはまた違うものだが『世界』の神だ」
「……それが知られたら確実にこの世界では処罰されるわ」
「この事を知ったならお前もそのはずだ、私と共に来い、真実を知りに行くぞ」
そう私はセラに手を差し出す。
セラは少し焦って不安そうな表情をしながらその手を取った。




