《呪縛》を受ける
「足止めをするのか? あまり邪魔をされては君が死ぬことになるぞ」
セラは私を止めると宣言したが、普通に考えれば不可能なことだ。こちらとしてもあまり時間はかけたくない。
「それでも……死んでもやるしかないの」
「……一応聞いておくが理由は?」
セラは少し体を震わせて言った。
「それしか認められないと思ったから……じゃだめですか」
「……理解できないが、まぁいいだろう」
恐らく彼女は、男から襲撃の動機や詳細については知らされていないだろう。聞くべき事は聞いた。後は彼女を退けるのみ。
「《流星群》」
先に後ろにいたトワが攻撃を仕掛けた。
「っ……《火球》!」
セラはその攻撃の合間を縫って攻撃を仕掛ける。
「時間が無い、早めに終わらせる」
セラの攻撃を私が全て落とし切る。
「くっ……《氷……」
次の魔法を使う前にトワがセラを蹴り飛ばす。
「おーー、思ったよりとんで行ったねーー」
トワが少し拍子抜けしたような顔でそう言った。
「早く街に向かおうか」
そう街に、駆けだそうとした瞬間。
「……《呪縛》」
トワの動きが止まった。
「トワ!」
考えればそうだった、《神聖魔法》は『秩序』由来の魔法、ならば最上位の『秩序』である『創造』の私には効かない。だが、人類であるトワには有効だ。効果を受けていないからこの《神聖魔法》がどのような効果を持っているか見当がつかない。
「トワ! 落ちるな!」
そう言って、私はトワを抱えて駆けだした。
……
「ケㇹ……一矢報いる事はできたかしら……」
私の《神聖魔法》を弄った結果生まれた新しい魔法である《呪縛》……その効果は魔法に込められた“代償”の分だけの身体及び精神操作。この世の存在かどうかすら怪しいあのバケモノには効かなかったがエルフの子供には効いたようだ。
「しばらく……動けそうに……ないわね」
あの《呪縛》に込めたのは、残っていたほとんどの魔力と約一時間の自己回復機能……蹴られた程度の打撲による内出血であれば一時間ならギリギリ耐えることができるだろう。
「これで一時間くらいは、あいつを操れる……」
……と思ったが、私には彼女の体を動かすことはできなかった。
冗談じゃないわね……こっち側が押さえつけられている感覚さえ感じる……
私は彼女の動きを封じ込めることに集中することにした。
……
「さて……まだこちらにあの神が辿り着いてないとなると……セラさんは足止めに成功したようですね」
ギルドの建物の屋根から見下ろすように謎の男は言う。
「ここまでは順調……儀式まで完了できれば上々ですね」
下にいた冒険者たちは手を出せないでいた。
「どうやってあそこまで登ったんだあいつ……」
「弓使えるやつか魔法使えるやつ連れてこい!」
その様子を見ながら男は小さく笑った。




