混乱の街
「急いで帰るぞ」
「え! なんで?」
トワは魔物と戦うことがまだできておらず、不満げだった。
「ここには魔物は来ない、街に来る」
「ほんとに? じゃあ行こうよ」
「急ぐから《転移魔法》を使おう」
私はそう街に向けて《転移魔法》を使う……が失敗した。
「これは……結界?」
「どうしたの? もしかして結界に魔法弾かれちゃった?」
どうやらトワの予想通りらしい。だが、あの街に結界はなかったはず。非常事態に備えてたとも思えないため、あの男の仕業だろう。
「トワ、走れるか?」
「もちろん」
私達は街に向けて走り出した。
……
「くそっ! 街中が乱戦状態だ! 避難所近くには寄せ付けるなよ!」
「わかってますよ! でもできるかどうかの瀬戸際じゃないですかこれ!」
街が破壊されていく中、冒険者たちはそれを防ごうと応戦を続ける。
「とりあえずソウさんたちが帰ってくるまで耐えなきゃ……」
そのように冒険者達が耐え忍ぶ中、一つ特徴的な声が響いた。
「そうはさせませんよ」
見るからに友好的でなさそうな奇妙な男がそこに立っていた。
「誰だお前?」
「いえ……別に知ってもらわなくて結構です……ここで皆さん死んでもらいますので」
そういうと男は短剣で冒険者たちに襲い掛かった。
「っ……こいつ強いぞ!」
冒険者達は体のあちこちに浅い傷をつけられる。
「こいつの目的は、こいつの消耗だ! 深追いせずに防御に回せ!」
「流石、なかなかの経験値といったところですかね……まぁあまり意味は無いんですが」
突如、男の短剣を受けていた冒険者たちの武器に亀裂が走る。
「武器が壊れた! 誰か変わってくれ!」
「こっちもだから無理だ!」
冒険者たちは慌てふためくが、男は容赦せず攻撃をつづけた。
「これで大半の冒険者は無力化できましたかね」
少し満足げな声で男が言った。
「セラさん……大詰めですよ、よろしくお願いします」
……
「街が見えてきたよ!」
私達は街が見える距離まで近づいた。
「これは……」
ところどころから煙が上がっているところを見ると、襲撃を防ぐことはできなかったらしい。
「もっと速度上げられるか?」
「うん!」
トワを見ると少し悲しそうな顔をしていた。
「急いでいこう……」
速度を上げた瞬間、空から《流星群》の魔法が降り注いだ。
「……また戦うのか?」
そう目の前の少女に話しかける。
「ここまで来たら戻れませんから……勝てないとしても目的が達成されるまで足止めします」
そのように言う少女の足は震えていた。




