探り合い
「あれはエルフではないのでしょうか?」
「流石に実際に対峙すれば貴方も流石に気づきますか……」
「あれは一体何なのでしょうか?」
「『神』の類なのでしょうが詳しくは何とも言えませんね……」
『神』というと『絶対神』なのだろうか? ただ私は“類”という言葉に引っかかっていた。
「『神』って『絶対神』だけなのではないのですか?」
「……それに近しい者の可能性があるという事です」
すると突如後方から微かな魔力の気配がした。
……
「下見も何もなく追ってきてしまったわけだがここは洞窟か?」
《転移魔法》で移動した先は暗い洞窟の中だった。
「この先に二人がいるな……」
前方から気配がしたが急いで距離をとっているらしく、すぐに気配が消えかけた。私はもう一度《転移魔法》を使って距離を詰める。
「急になんで!?」
セラは驚いていたが男の方は驚くほど冷静だった。
「ここまですぐに距離を詰めてくるとは……一体なんの『秩序』を持っているのでしょうか?」
「そこまで知っていてわからないのか?」
そう問いかけると男は走りながらも答えた。
「この体とそのような感覚は鈍いんですよ」
その言葉には何か意味があると考えたが、特に知らなくても問題は無いと思い、彼らの捕縛に専念することにした。
「《氷縛》」
確実に壊れないほどの強度に強化した氷の縄は男に触れる前に粉々に崩れ落ちた。
「……やはり『破壊』だな? その力は」
私は男が使っている力は『破壊』の物であると再度確認したが、私の知る『破壊』は《加護》を渡す事を絶対にしないような神だったので疑問は増えるばかりだった。
「《呪縛》!」
セラが《神聖魔法》を放ったが、私には大した効果がない。
「この《神聖魔法》をなんの問題もなく受けきるのですか……」
男は少し面白そうに微笑んでいた。
「やはり、貴方を殺す事は今は叶わなそうだ……」
「おそらく私が死ぬ事など無いと思うが」
ただ、そう言っても男は微笑みながらどこか私を殺せる自信がありげな顔をしていた。理解できなかった。
「一つ聞くが、そこのセラは関係があるのか?」
「ええ、協力関係にあります……」
真偽は定かではないが、今は彼女も敵対していると注意した方がいいだろう。
「これ以上話しても私には利がありませんね……」
そう男は言うともう一度《転移魔法》を使い逃げ出した。
「逃げられると思っているのか?」
私も《転移魔法》を使い、追う。
……
「……痕跡が見当たらない?」
魔力の残影は綺麗に消えてしまっていた。
「まさか、魔力に《破壊》を使ったか……」
こうなってはどうしようもなく、私は付近に残っている痕跡がないか再確認し、何もないことを確認して街に帰った。




