《呪縛》
私はこのセラという少女があの男と関わりを持っているかもしれないと考えたが、一向に口を割ろうとしない。折角でもあるので《読心》を使うのもいいかもしれないと考えた。
「…………《神聖魔法》……」
私はその微かな力に反応できなかった。
「《呪縛》」
私の体が動かなくなる。自分自身の何かを削られる感覚がした。
「……その『秩序』やはり歪められている」
だが、この《神聖魔法》から感じる『秩序』はそれに抗っていた。
「なんで倒れないのよ……」
「この程度で私の『秩序』を消し去る事ができると思ったのか?」
「……どいつもこいつも規格外すぎるのよ」
実際にこの《神聖魔法》には下位神程度なら大きな痛手を負わせることができるほどには強力なものだった。トワが受けていたらそれこそ死んでもおかしくない程だった。
「君の持っている本来の《神聖魔法》よりは威力が強いかもしれないが、その分負担が大きいのだろう?」
セラはどうしてどれを知っているのかと言うような顔でこちらを見た。
「あの男のやりそうな事だとは思ったが、随分と君に負担がかかってないか?」
「負担なんて考えてたら生きていけないわよ……」
トワが異常なだけで一般的な人類というものはやはりこういうものなのか。
一瞬強い風が吹いたかと思えば、数種類の魔法により攻撃されて、私は数歩後ろに下がった。
「これはこれは、1日も経たない間にもう一度会うことになってしまいますとはね……」
「こちらとしては好都合だ、知っていることを話してもらおうか」
私はごく一般的な剣を創り出し、構える。
「私は“これ”を回収しに来ただけなのですがね……しかし昨日のように簡単に逃げ切ることはできないと見ました……」
そういうと男は先ほどと同じく、複数の魔法を展開した。《火球》《氷針》……一つ一つは大したものではないが数がとにかく多かった。
「捌ききれますか?」
「もちろん」
私はそう言った後、同じ数だけの魔法という事はできない魔力の結晶を創り出し、男の魔法の全てにぶつけた。
「これだけ余裕があれば十分です……ではまた会うことがあれば」
そう聞こえたかと思えば、男とセラは消えていた。
「私が二度も簡単に逃すと思ったか?」
私は普通の人類では感じることすら不可能であろう薄さの魔力の残影から、あの男が《転移魔法》を使ったことを確認した。
「何処へ逃げようと、完全に痕跡を消すことができないなら逃げられると思わない方がいいと思うが」
私はそう言って《転移魔法》を使い、男を追った。




