刃が立たない
「最近、ソウちゃんなんか隠してない?」
謎の男と遭遇した次の日、トワに朝から疑われていた。……こういうところはこの子は本当に勘がいい。
「いや、特にないが?」
「そうちゃん、表情でないけどわかるんだからね!」
と何故か私が何かしていたという事を事実と決めつけられてしまった。
「とりあえず……ソウちゃんきっとこういう時何聞いても答えないんだから暫くほっといてあげる」
「……そうか」
トワは私の事を暫く容認してくれるらしい。こういう重要なときの物分かりも良くて助かる。
……
トワからは相当ひどく言われたものの、トワ自身は宿に一日だけ待機してくれることを了承してくれた。なら、この一日の間にあの男とそれに関わる“何か”を見つけたほうがいい。
「この場所に痕跡はもうないか……」
昨日あの男と戦った場所には不自然なまでに痕跡が消されていた。やはり、広範囲を急いで探すのが優先だろうか。
私は後ろに気配を感じて振り返る。
「……わたしですよ、覚えていませんか?」
そこにいたのはセラだった。
「なんだ、ギルドから調査依頼でもあったのか?」
「ええ……まぁそんなところです」
やることは先に済ませておいたから、ここは早く立ち去ろうとしたとき、首筋に金属の感触がした。
「……!?」
……どうやらセラに刺されたらしい、一体何故だろうか?
「何故急に刺してきたんだ?」
「…………そんなことよりも……なんで首に直接刺したはずなのに……短剣が折れるのよ!?」
どうやら私が短剣で死ぬことを想定していたらしい。
「……面倒だな、消しておくか?」
……
私は、短剣が折れた瞬間、手を出す相手を間違えたと強く後悔した。
この人……人と言っていいのかわからない存在と対立したとき、あの小さいエルフと戦った時以上に本能が警鐘を鳴らしていた。
それこそ『神』の領域に近いものを感じた、自分の持つ《加護》に近い感覚があった。
「《流星群》!!」
すぐさま《流星群》を発動した。ダメ元であったが無いよりはましだと思った。
しかし次の瞬間に降り注ぐ星々は星々は美しくも畏ろしい、どこから生成されたのかもわからない結晶によって粉々に砕かれていた。
「……消すというのも難しくてな、『破壊』の力があるわけでもない私にはある程度しか攻撃ができない……苦しんで死ぬことになるかもしれないがいいか?」
そのように、エルフの見た目をした人類を超越した”何か”は私を見つめていた。
その瞳は私を見ていなかった。どこか私の体よりももっと奥……体の中を見られているような感覚だった。
「やはり《加護》を持っているな……お前は奇妙な男を見たことはあるか?」
……こいつは私達の事を探ろうとしている
……見抜かれないうちに早く終わらせなければ……
私は《神聖魔法》を放つ用意をする。




