邂逅
その日の夜、私はトワを寝かせた後に昼間の魔物の襲撃の現場に向かった。
静かな星の見える夜とは対照的に、地上のクレーターの多さに少し辟易していた。
「後で直しておくか……」
地形修復に関してはある程度許される範囲であると考えた。そしてクレーターに残った『秩序』の残影を見つける。
「特定一つの『秩序』ではないだと?」
歪められていたとしても『秩序』の本来の形は私には見ればわかる。
だが、そこにあった『秩序』は『破壊』『生命』『時空』『魔法』『星』を始めとしたとても多くの『秩序』が混ざりあった物だった……そしてその中には『創造』、私の『秩序』も存在していた。
「私達最上位神ではないこの世界の『破壊』や『創造』がいたとしてもそれは通常では同時に行使することができない表裏一体の『秩序』のはず……」
明らかにおかしい点は幾つかあった。だがここまで予想外な事が起きているとは。まだ見落としている事実があるかもしれない……
「おやおや、先客がいたとは」
その声がした方向を見るとどこか奇妙な男が立っていた。
「……『破壊』か?」
男はその言葉を聞くと少し動揺した。
「貴方は前々から危険だと思っていましたが、近くで実際に確認してよくわかりました……あなたこの世界の外の『神』ですね?」
私もその言葉を聞いて動揺した。
「何故ハイエルフという可能性を考えなかった……」
「いやそれは『秩序』の種類まで細かく知ることができるハイエルフは私の知っている限りはいませんからね」
迂闊だった……人間が特異な《神聖魔法》を授かっているとしても男の中にある『秩序』は『神』と同格な者……明らかに人間ではない何かであると確信した。
「貴方はいずれ排除するつもりだったのですが……世界を渡れる『神』であるなら難しいでしょうね」
「やたらと『神』について詳しいが本当に何者だ?」
「面倒な事になるとわかり切っているので名乗りませんよ」
……これ以上の情報は得られないか……なら軽くこの世界に存在しない『秩序』……《魔法》を創り出すべきか。
「《読心》」
「……!」
私は心を読む事のできる新しい《魔法》を創造した。
「危ないですね、咄嗟に力を使えてよかった……」
《読心》が破壊された……わかり切っていたからすぐにその残影を注視する……やはり歪められていた。
「お前にはまだ聞きたいことがあるが、暴力的なことをして話すか?」
「たぶん話しませんね」
即答だった。
「これ以上ここにいても私にとっては不都合なばかりなので一度撤退します」
そういうと男は付近の空間ごと消えた。
「……『時空』の力か?」
本質が『破壊』であるとしたら本来ありえない事に私は困惑した。
「より一層注意する必要があるな」
私はこの事はひとまず誰にも言わないことにした。




