妙な噂
ドラゴンの騒動の後、暫くは平穏な日常が続いた。トワは晴れてAランクになり、とても喜んでいた。
「次はソウちゃんと同じSランクになりたいなー」
と言っているがSランクというものはなかなか認定条件が厳しいらしい。
「SランクはAランク以上に高い壁だ、そう急ぐものではない」
「えーー、すぐなれるよーーきっと」
トワの思考が最近短絡的になっているのは気のせいなのだろうか……
「ところでSランクの条件ってなんなの?」
私が予想していた通り、トワは認定条件について聞いてきた。
「Sランクというものは国家という区切りまで広げても数人しかいない実力者だ、明確な条件はない、圧倒的な力量が必要だ」
私はこの世界に来たばかりの頃、力の調節をかなり間違えていたようですぐにSランクにされてしまったが……
「そのような実力を見せる機会というのもなかなかない、ほとんど実質的な最高ランクのAで暫くは満足しておくべきだ」
「んーーー……」
明らかに不満そうな表情を浮かべて上目遣いをするなどしているが、このようなことで見た目などはまったくもって役に立たない。
「今すぐSランクになるのは運がよければの話になるが、このような大きな出来事が連続して起きるのもあまりないだろう」
『運命』などであればそのような因果を弄ることも可能なわけだが……この世界に来ることはないだろう。
……
「ん? なんか誰かが私の噂をしているような気がしましたけれど……」
「んなわけないでしょ、私達の事知ってる奴なんて限られてるじゃない」
「……でもなんかどこかでなんか起きるって私の『秩序』が知らせてます!」
「そりゃ……『世界』のどこかじゃなんかしらは起きてるでしょーに」
『運命』と『破壊』はある世界のドームと言われる建造物に向かいながら話していた。
……
その頃ギルドでは怪しげな情報が飛び交っていた。
国のお抱えの魔術師が儀式をしてあのドラゴン達を呼び寄せた、Sランクの冒険者のいる街に強力な魔物の群れが近づいている、などと根も葉もない噂が広まっていた。
「実際のところキナ臭いってことっていうかね~」
「最近各地で事件が起こりすぎてるだけですよ」
「そうだといいんだけどね~」
「でもSランクの冒険者が各地に分散してるのは逆に防衛体制としてはいいんじゃないか?」
「……もし、一か所にとんでもない量の魔物とか来たらどうするのかしら?」
「あーー、Sランクって言っても色々な方がいますからね、うちのソウさんとか一応中距離専門って感じじゃないですか、相性もあるんですかね~」
「まぁ、何事も起きないことが一番ですよ」
……
ギルドの方は随分と悠長にしていますね。もう少し、こちらのリスクを無くすべきかもしれませんが。
「……セラさん、よろしくお願いします」
「…………はい」




