トワとドラゴン
トワが放った《流星群》は一帯を焦土へと変えた。
星一つ一つが街を半壊させる威力であるトワの《流星群》は確かにドラゴンに直撃した。
「……あれぇ? ドラゴン倒せてなかったぁ?」
ドラゴンは翼に穴が開く重症を負ったもののまだ倒れてはいなかった。
ドラゴンの一体は翼に傷を受けたことで激怒して、セラに飛びかかった時よりも早くトワに向けて飛びかかる。
「《閃撃》」
トワがそう唱えるとあたりは一瞬輝き、光が収まり、次の瞬間ドラゴンは体の中心に風穴が開き、その先の地面は抉れていた。
……
セラは薄れゆく意識の中呆然としていた。
自分が手も足も出なかったドラゴンをあっけなく倒してしまった。その事実はセラにとってはとても良いこととは言えなかった。
…ただ、さらに恐ろしいものを見てしまった。
ドラゴンの体の中から水晶のような美しい六角錐のクラスターが生えていた。
「綺麗だねー」
トワはそのように感想を述べる。
セラは戦闘による負傷に加えて自分の常識ではあり得ないものを見せられたことによる精神的な疲労も重なり、遂に意識を手放した。
……
「……確かセラと言ったな、手当はしておかないと死ぬかもしれないな」
そう言って私は止血やある程度の縫合を自分の《創造》の力で済ませた。
「ねーソウちゃん、この綺麗なやつどうするの?」
そうだった。ここまで不自然な現場を他のものに見られたら後が面倒なことになってしまう。
私は結晶で固定されたドラゴンの死体に近づいて、触れる。そうすると結晶は粉々に砕け散り跡形もなくなり、ドラゴンの死体にいくつも開いた風穴はこの世界で現実的な程度の損傷まで修復された。
「おーすごい!」
トワは結晶が砕けた際のその欠片が散るのを見て嬉しそうにしていた。
「あ、そういえばなんで勝手に他のドラゴン倒しちゃったの!? 私が倒したかったのに!」
「そうした方がいいと私が判断した、ドラゴンを倒せると分かっただけでもいいことだろう?」
トワは少し不満げに頬を膨らませるが、それだけで何も言わなかった。トワ自身《閃撃》を使った時点で、全て倒し切ることができるかの不安が少しはあったのだろう。
「ひとまず、ギルドの皆に報告と、このセラという少女を治療させに戻るぞ」
「ソウちゃんだけで治せるんじゃないの?」
「できるが、本人の認識とズレがあってはいけないからな」
結局『神』である私は人類と同じ空間で生活する以上ある程度の事は弁えなければならない。
「トワも今日は疲れただろう、早く帰って寝ると良い」
「うーん、今すごく目が覚めてるんだけどなぁ」
「すぐ眠くなるさ、いつものことだろう?」
そうして私達は街へと戻るのだった。




