セラとドラゴン
トワだけでドラゴンを倒すことは可能だろうが、実際に行おうとするのならばそれはまだまだ経験が浅い故に危険であり、ここまで注目されている中派手に動けば、私達が自分達の宣伝のためにドラゴンを誘き寄せたと疑惑が広まることもあるかもしれない。
「今回は私にドラゴンを倒させてくれないだろうか?」
「え、なんでーーー!」
実際、私がドラゴンを倒したと偽証すればいいだけの話ではあるが万が一のことには気をつけなければならない。いくらトワにドラゴンを倒させてあげたいと思っても、だ。
「ドラゴンを倒すという事は注目が集まるという事だ、トワはその年とその見た目にしては冒険者としての成長速度が速すぎるから悪く思われているかもしれない」
「ええーーー! 別にいいじゃん! あとちっさいっていうなーー!」
小さいとは言ってない。
「ともかく、ある程度はやっていいから最後は私がやること……まぁ、やりすぎて倒し切ってもある程度は構わないが」
「なら全部まとめて倒し切ってやるーー!」
トワのやる気が入ってしまったようだ。こうなることは避けたかったが……私は現状のトワがどこまで戦えるかの限界に興味を持った。
……
私は街の外れにある草原でドラゴンと対峙していた。
「……三体ってマジ?」
ここに辿り着く途中で複数体出たらしいという噂を聞いたが、歴史上これはデマだと考えていた。
が、実際いま私の目の前には三体ものドラゴンがいる。
「最初から全力でやらないと死ぬわね……」
この状況から逃げるという事はドラゴンの出せる速度を考えれば不可能だろう。自分に死が近づいていることを実感し、古い記憶が呼び覚まされる。
「……《炎渦》」
死の恐ろしさを知っていても戦う必要があった。
戦っても戦わなくても死ぬというのならと、私は戦うことを選んだ。
《炎渦》はドラゴンの周りに展開され、ドラゴンを一つの領域に閉じ込めることができた。
ドラゴンの力は良く知っている。この程度のサイズなら三体いても《炎渦》は5秒ほどは打ち消されないだろうと考えた。
「《流星群》!!」
《炎渦》で絞った領域の中に幾つもの星が降り注ぐ。
《流星群》を使ったことで私の魔力の残りは僅かになっていた。
煙が晴れて倒したであろうドラゴンの姿が見える。
「うそでしょ……」
ドラゴンは何故か無傷だった。本来《流星群》であればその翼に幾つかの穴を開けるには十分であるはずだった。
ドラゴンの一体が私に飛びかかった。
私は《簡易結界》を使うものの僅かになった魔力では気休めにしかならず、大きく吹き飛ばされる。
「っがは……」
自分の腹のあたりを見れば血が出ていた。
「ッゲッホ……これは本当にっ……死ぬ……」
私は最後の手段として残しておいた《神聖魔法》を行使する準備をする。
狙いを定めて放とうとしたその時、空から星が降り注ぐのが見えた。




