伝言
トワは数週間、冒険者としての下積みともいえる作業をこなしていき、順調にランクを上げていった。
「……すごいですねトワさんは、もうBランクまで昇格したんですか」
「ああ、私達はいろいろな所を旅しなくてはいけないのでな、こういうことはきちんと手っ取り早く済ませておくに越したことはない」
「……その考え方全冒険者に見習ってほしいですよ~」
溜息をつきながら受付の者が私達がこなした依頼の確認と報酬の受け渡しをする。
……少し覚えがある『神』の気配がする。
「トワ、私は少し用事があるから先に帰っていていいぞ」
「どこかいくのー!」
「ちょっと話がある者がいるんだ、別に何も楽しくはないと思うが」
「……わかったよ、早く帰ってきてねー」
やはりトワは私が離れると少し不満げな表情をしている気がする。さて、話を済ませるとするか。
……
「……お前は『狐』だったか?」
「はい、みんな大好き稲荷さんです」
「……お前は人から好かれているのか?」
「おそらく私のことが好きな人類はそこそこ多いんじゃないんでしょうかね?」
「まぁいい、お前今まで私に接触しようとしていなかったのに、今更何の用だ?」
「えっとですね……ある『神』から伝言を頼まれていまして」
「誰だそいつは」
「最高神である『光』です」
「……」
私の存在を知っている『神』自体少ないから予想はある程度できていたが、『光』は何を考えているんだ、『光』ならすぐに私に会いに来ることだって可能なのに……
「……それで何と言っていた?」
すると『狐』から煙がでてそれが晴れるとそこには『光』が立っていた。
「???」
「『創造』元気にしてた?なかなか楽しそうにしているじゃない。私からの言伝でーす!」
テンションが高い……
「なんかねー、あなた世界の政治とかに興味ないでしょうけどなかなかきな臭いことになっているのよ、今。そんなんで『創造』にはこの世界の教会に気をつけてもらいたいと思いまーす」
教会……?たしかこの付近では『絶対神』だったかを信仰していたはず。
「まーこれは『運命』から聞いたわけでもなくて私のちょっとした心配なんだけどね、気をつけて損はないと思うよ!じゃあ!私は推しのライブに行かなきゃいけないから!」
ライブ?……『光』はどこの世界で何をしているのやら……
再び煙が出てそれが晴れるとそこには『狐』が立っていた。
「狐って化けるのが得意なんですよ」
「……まぁ伝言ありがとう」
「いえいえ、あなたたちには逆らうことはできませんしね」
「私は言われた通り気をつけてはおく」
「そうですか。では私はここで。また会う縁はあるでしょう」
……それにしてもなかなか人類の政治とは難しいものなのかもしれない。なぜ宗教に気をつけなければならないのだろうか。この世界で宗教は政治の権利を持たないはず。
「いずれにしても厄介ごとは避けては通れないと考えたほうがいいか……」




