少女との決闘
私達は正式に依頼の受注を済ませてギルドから現場から薬草採集をする森の方に向かおうとした。
「ちょっと!」
「……」
「なんで無視するの!」
「……?悪い、私に用があったのか」
一人の少女に呼び止められていたらしく、私は足を止める
「そう、あんたたち、見ない顔だけど。昨日うわさで聞いたわよ?小さいエルフが昨日の夕べにギルドの中にいた連中の誰よりも強いとか言ったんだってね」
少女はトワの実力を疑っているらしい。
「……おそらく、トワに勝てる者は今この中にもいないと私は考えているが」
「っ……」
「嬢ちゃんやめとけって、いくら嬢ちゃんがAランクだったとしても《名無し》……いやソウさんが言うなら間違いないって……」
近くにいた男が少女に対して注意をしたようだが、どうやらあまり効果はないらしい。
「ちっこいエルフのあんた」
「……小さくないもん」
「私と戦いなさい、Aランクの力を見せてあげる」
「ちいさく……ないもん」
トワは少し落ち込んでいたが彼女と戦うことを決めたらしい。
「大丈夫なのか?トワはあまり加減をわかっていないから死ぬかもしれないぞ?」
「新入りのチビに私が負けるわけないわ」
どうやら警告はまったく効果がないらしい。ならば早めに戦った方がいいだろう。
「トワはいいんだな?」
「大丈夫」
「場所はそうだな、森の近くの平原でどうだろうか」
「いいわよ、そこなら私も心置きなくやれるわ」
どうやら彼女は手加減をする気はないらしい。
「トワ、殺してはいけないぞ」
「さすがにわかってるって……」
……
私達は平原に向かった。後ろから野次馬と思われる者達もついてきたが巻き込まれないように注意するくらいはしておくか。
「ここらへんでいいかしら」
「いいよー」
「……生意気ね、世間をわかっていないみたい」
その事実自体はただしいのだが。
「行くわよ……《火球》」
少女の周りに多数の《火球》が現れる。
なるほど、魔法の練度はかなり高いようだ。
「こっちも同じでいいかな?《火球》」
トワの火球は少女のものと比べて威力が高い。
「エルフが使うなんてはじめてみるんだけどっ!」
「使い勝手いいからいいんじゃない?」
少女もよけながら応戦する。
見かけによらずかなり動けるらしい。
「あーもう!キリがないわね!一気に片付ける!《炎渦》!」
周りの野次馬が歓声を上げる。
《炎渦》は二種類の魔法の《複合魔法》だ。元となった魔法もそこそこ威力がある。この魔法を連発できるとは、どうやら優秀らしい。
「……《落雷》」
トワが少し集中した眼差しをしてそう告げると、トワに向かっていた複数の《炎渦》の上から雷が落ちた。
「噓でしょ……」
「じゃぁ今度はわたしから攻撃しようかな?」
トワはそういうと少女に近づいて魔法を放った。
「《氷縛》」
氷が少女の体を凍らせて動きを止めた。
「これはっ……」
「溶かすのが遅い、《火球》」
トワの《精霊魔法》によって威力が増加している《火球》に当たり、少女は後ろに大きく吹き飛ばされた。
「まずいわね……こうなったらできる限りの上位魔法を使うしか……」
体力に限界が近い少女がそういうと、周りの野次馬が大きく距離をとり始めた。
「……?何するのかなー」
「みてなさい、これが私の今使える一番強い魔法……」
「《流星群》」
そう口にすると天から複数の隕石が飛来してきた。
「この魔法で倒せなかった奴は今まではいないわ、これで決着よ!」
「うん、おもしろいね!」
「……なぜ笑っていられるの?」
その問いにトワは魔法で返した。
「《流星群》」
「!!??」
トワの放った《流星群》は少女の放った《流星群》より速く、強く天から飛来した。
「あんた……一応聞くわ、この魔法……何回使えるの?」
「んー、連続で20回くらい?」
「っ……」
とても悔しそうな、だがあきらめたような表情を少女はしていた。
「そりゃ……私には勝てないわね……」




