トワが受ける依頼
旅に出たからといって特段朝にやることは変わらない。私はいつものようにトワを起こすことから始めた。
「起きろ」
「むぅーーーー」
起きたくなさそうな声を出しながらも、トワは珍しくすぐに起きた。
「珍しいな、持ち上げなくても起きるなんて」
「むー、だって旅だもん……」
トワにとって旅とは大きな意味を持つものになったらしい。トワの母が旅を提案したのも納得がいくくらい、この子は満足しているらしい。
「早く支度をするんだぞ」
「いわれなく……ても、わかってるよぉ」
ものすごく眠そうだ。逆に体調を崩している可能性もあるかもしれない。
「どこか体調は悪くないか?」
「むぅ、ちゃんとすぐに起きたからって体調悪いと思わないでよ」
すこし怒られてしまった。人類は皆、環境で性格が少し変わるものなのだろうか。
……
「さぁ!きょうも張り切っていっちゃうよ!」
「起こしてからいつもの倍は準備が早かったな」
「そりゃもう、旅は道連れ世はなんとやらだしね!」
「覚えきれていない上に、ここでは誤用だと思うぞ」
「細かいことは気にしなくていいから!」
私達はまず、トワが朝の準備をしているときにやってみたいと言っていた、ギルドの冒険者としての依頼を受けることにして、さっそく向かっていた。
「ソウちゃんはギルドで依頼受けたことあるんでしょ?最初なにやるとかある?」
「確か薬草採集だったな」
「それなんかつまらくなーい?」
「ランクの高い依頼は受けるなと念押しされたからな」
かつて私が初めてギルドに行った時のことを思い出しながら語る。
「トワのランクは今一番下のEのはずだ」
ギルドにはランクというものがあって、個人のランクと依頼のランクが同じだとちょうどいいといった具合に調整されているらしい。よくできた組織だな。
「むぅ……」
トワは納得いっていないようだがやってもらうしかないだろう。
……
「……ではトワさんは薬草採集の依頼でいいですね?」
「……はい」
不本意そうだがちゃんとやるらしい。やらないと次のランクには行けないので割り切ったのだろう。
「えっと、ソウさんはどうしますか?Sランクの依頼は今ありませんがAランクで何かどうでしょう」
「私はトワと同じものをやるぞ」
「Sランクの方がEランクの依頼をするのはあまりよくないんですが……」
「え、ソウちゃんSランクなの!?」
「私はトワのことを見ていないといけないのでな」
「……そうなら認めますが……あまり繰り返さないでくださいね」
「え、だからソウちゃんSランクなの?」
トワが私がSランクということをしつこく聞いてくるが、それより受付の者との交渉が先だったので無視していた。私がトワと同じ依頼を受けるのは良くないようなので早めにトワのランクは上げてもらいたい。
「そうだな、私はSランクだな」
「やっぱりソウちゃん強いんだね!」
このときギルドにいた者たちの心の声は
(強いなんてもんじゃねえ、バケモンだ!!)
でほぼ一致していた。
そんな中二人を不満そうに見つめる一人の少女がいた。




